G7貿易相会合 中国念頭 不必要な貿易制限撤廃求める声明を採択

大阪で行われていたG7=主要7か国の貿易相会合は、2日間の議論を終えて閉幕しました。

中国による日本産の水産物の輸入停止を念頭に、不必要に貿易を制限するいかなる措置も直ちに撤廃することなどを求めた閣僚声明を採択しました。

今回の会合は、経済的な影響力を強める中国を念頭に、輸出入の規制などで、相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対応などをテーマに議論が行われ、閣僚声明を採択し、閉幕しました。

声明では、中国による日本産の水産物の輸入停止を念頭に、「不必要に貿易を制限するいかなる措置も直ちに撤廃されることを強く求める」として、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出後、国際会議の成果文書に初めて、輸入規制の撤廃要求が盛り込まれました。

また、電気自動車のバッテリーの材料となるリチウムなどの重要鉱物や、半導体のサプライチェーンの強化では、「経済的依存関係を武器化する行為を非難する」などと指摘し、G7以外の国々とも、連携を加速させていくとしました。

さらに、国有企業の優遇や技術移転の強制など、保護主義や市場をゆがめる措置に対しては、「より強固な国際的ルールや規範を構築する」などとして、公平な競争条件を確保するための協力を継続するとしています。

このほか、機能不全に陥っているWTO=世界貿易機関については、紛争解決制度の改革などに取り組み、来年2月のWTO閣僚会議に向けて、議論をさらに深めることも確認しました。

西村経産相「G7各国から幅広く支持」

今回の会合で共同議長を務めた西村経済産業大臣は記者会見で、「声明の中に日本の食品への輸入規制を含め、不必要に貿易を制限する措置の即時撤回が明記された。科学的根拠に基づかず、全く受け入れられないという日本の考え方を明確に伝え、G7各国から幅広く支持を得た」と述べました。

さらに、中国を念頭にした経済的威圧への対応については、「経済的依存関係を武器化するような行為に対して、G7として深い懸念を共有することも声明には盛り込んだ」と述べたうえで、G7各国で情報を共有しながら結束して対応していくと、会合の成果を強調しました。

上川外相「G7が一致したメッセージ発信できた」

上川外務大臣は、記者会見で「声明には、自由で公正な多角的貿易体制の維持・強化、経済的威圧への対応などG7としての連携を強化していくことが盛り込まれた。議長国としての取り組みの集大成として国際社会に対し、G7が一致したメッセージを発信することができた」と強調しました。

また、中国による日本産水産物の輸入停止措置について「科学的根拠に基づく冷静な対応が必要だと改めて説明し、各国から支持するという発言があった。引き続き丁寧な情報提供を通じ国際社会の理解と支持を求めていく」と述べました。