“ワグネルの戦闘員 多くが別の部隊に” ロシア 国営通信

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが兵士の犠牲もいとわず攻撃を続ける中、ロシアの国営通信は、民間軍事会社ワグネルに所属した戦闘員の多くが別の部隊に加わっていると伝えました。プーチン政権が、かつて反旗を翻したワグネルを統制下に置きながら兵員不足を補っている実態がうかがえます。

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点アウディーイウカの掌握を狙ってウクライナ軍と激しい戦闘を続けています。

アウディーイウカをめぐってイギリス国防省は28日「ロシアは最大8つの旅団をこの地域に投入したとみられるが、ことしロシア側で最も高い死傷率を記録している可能性がある」と分析しました。

その上で「政治指導部は、より多くの領土を奪うことを要求しているが、軍は効果的な作戦を生み出すことができずにいる」という見方を示しました。

こうした中、国営のロシア通信は28日、民間軍事会社ワグネルに所属した戦闘員の多くが、プーチン大統領に強い忠誠心を示すチェチェンのカディロフ氏が率いる部隊に加わっていると伝えました。

プーチン大統領は先月末、ワグネルの元幹部と会談し、ウクライナ侵攻に参加する志願兵の部隊を組織するよう指示していて、ことし6月に武装反乱を起こしたワグネルを政権の統制下に置きながら兵員不足を補っている実態がうかがえます。

また、ロシア通信は27日「ウクライナ軍の元兵士で組織された志願兵の部隊が、ロシア軍部隊として前線に送られている」とも伝え、これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「捕虜に強要した可能性が高く、戦争捕虜の扱いを定めた条約に違反する」と指摘しています。