【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ提唱の和平案を協議 地中海の島国マルタで

ウクライナが提唱するロシアとの和平案について話し合う協議が66の国や国際機関の代表らが参加して地中海の島国マルタで開かれ、原子力と放射線の安全や食料の安全保障などの分野で連携強化を進めていくことを確認しました。

この協議は、ウクライナが提唱するロシアとの和平案について話し合うもので、ことし6月と8月に続いて3回目です。

28日から地中海の島国マルタで開かれた協議には、G7=主要7か国や新興国など、過去2回を上回る66の国や国際機関の代表らが参加しました。

ただ、前回参加した中国や中東のエジプト、UAE=アラブ首長国連邦などは欠席しました。

28日の協議ではゼレンスキー大統領がメッセージを寄せ「私たちが提唱する『平和の公式』は普遍的なものであるべきだし、そうなれる」と述べ、ウクライナが提唱する10項目の和平案への賛同を求めました。

10項目の和平案には、ロシア軍の全面撤退などが含まれていますが、今回の協議では、原子力と放射線の安全や食料の安全保障など、各国が一致しやすい5つの分野で連携強化を進めていくことを確認しました。

29日は、ウクライナのイエルマク大統領府長官が各国の代表と個別に会談を行っていて、ウクライナへの支援の継続を訴えているものとみられます。

ロシア外務省 “原発にウクライナ軍が無人機で攻撃”と発表

ロシア外務省は28日、ウクライナと国境を接するロシア西部のクルスク州にある原子力発電所に対してウクライナ軍が26日、無人機3機による攻撃を行い、このうち1機が使用済み核燃料の貯蔵施設に墜落して外壁が損傷を受けたと発表しました。ロシアの原子力当局は原発の運転に影響はなかったとしています。

ロシア外務省のザハロワ報道官は「周辺諸国にも影響を及ぼす核の惨事につながりかねない攻撃だ。欧米の許可や指示なしには行えなかったはずだ」と主張してウクライナや欧米を非難しました。

これに先立つ今月25日、ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナでは、西部のフメリニツキー州で無人機による攻撃があり、ゼレンスキー大統領は原子力発電所の敷地内にある建物が被害を受けたとしたうえで「原発を標的にしていた可能性が高い」とロシアを強く非難していました。

ロシア国営通信“ワグネルに所属した戦闘員 多くが別部隊に”

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点アウディーイウカの掌握を狙ってウクライナ軍と激しい戦闘を続けています。

アウディーイウカをめぐってイギリス国防省は28日、「ロシアは最大8つの旅団をこの地域に投入したとみられるが、ことしロシア側で最も高い死傷率を記録している可能性がある」と分析しました。

そのうえで「政治指導部は、より多くの領土を奪うことを要求しているが、軍は効果的な作戦を生み出すことができずにいる」という見方を示しました。

こうした中、国営のロシア通信は28日、民間軍事会社ワグネルに所属した戦闘員の多くが、プーチン大統領に強い忠誠心を示すチェチェンのカディロフ氏が率いる部隊に加わっていると伝えました。

プーチン大統領は先月末ワグネルの元幹部と会談し、ウクライナ侵攻に参加する志願兵の部隊を組織するよう指示していて、ことし6月に武装反乱を起こしたワグネルを政権の統制下に置きながら兵員不足を補っている実態がうかがえます。

また、ロシア通信は27日「ウクライナ軍の元兵士で組織された志願兵の部隊が、ロシア軍部隊として前線に送られている」とも伝え、これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「捕虜に強要した可能性が高く、戦争捕虜の扱いを定めた条約に違反する」と指摘しています。