“渋谷に来ないで” ハロウィーン前の週末 警戒を強化

ハロウィーン前の週末の28日、警視庁は例年、多くの人で混雑する東京 渋谷に機動隊を配置し、雑踏事故などが起きないよう警戒を強化しています。

きょうの渋谷の街は

東京 渋谷には例年、仮装した若者や外国人などが多く集まって混雑するため、警視庁は28日夕方から数百人規模の機動隊を配置し、雑踏事故やトラブル防止に向けて警戒を強化しています。

警視庁は1か所に人が集中すると身動きがとれなくなるおそれがあるとして、スクランブル交差点の周辺に「DJポリス」を配置し、「ハチ公前広場に集まらないで」とか、「ゆっくり進んでください」などと、日本語に加え英語でも呼びかけています。

また、周辺の車道の一部を規制して、歩行者が横断歩道を安全に渡れるよう誘導を行うとともに、写真撮影などのために立ち止まらないよう注意を呼びかけるなど、事故防止に向けた対策を徹底することにしています。

週末の28日はハロウィーン当日の31日と並び、最も混雑が見込まれるとして区が警戒を強めていますが、夕方4時の時点では、渋谷駅周辺やセンター街に多くの人が訪れているものの、仮装した人はほとんどいませんでした。

午後5時ごろにはJR渋谷駅のハチ公前広場につながる改札が閉鎖されるなどの対策がとられていて、午後6時現在、例年と比べると大きな混雑は見られていません。

買い物で訪れた30代の男性は「混む時間を避けるため早めに来ました。区がメッセージを出すことはいいことだと思います」と話していました。

仕事で訪れた20代の女性は「仕事を終えたら、人混みが好きではないので、早めに帰ろうと思います」と話していました。

区はこのあとさらに人出が増えることが予想されることから、職員などがパトロールを行って路上での飲酒をしないよう指導するほか、人の流れが滞留しないよう移動を促していくことにしています。

異例の呼びかけ 渋谷区の対策は

新型コロナの5類への移行後、渋谷駅周辺では観光客が増加しているうえ、若者や外国人による路上飲酒が横行している状態が続いていて、渋谷区はこれまでのハロウィーンより深刻なトラブルや群集事故が起きるリスクが高まっているとして警戒を強めています。

こうした状況を踏まえて、長谷部区長は「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」と、国内外に異例の呼びかけをしています。

その上で、区は2019年に制定した条例に基づいて、ハロウィーンの期間に渋谷駅周辺の路上飲酒の制限を行っています。

制限期間は27日からハロウィーン当日の31日までで、いずれも午後6時から翌朝5時までの間です。

最も混雑すると見込まれる28日と31日は渋谷駅周辺のコンビニエンスストアなどに酒の販売を自粛するよう要請します。

区はこうした対策を行っても路上飲酒によるトラブルがなくならなければ、路上飲酒を制限する期間を通年化することや、罰則規定を設けることなどを検討するということです。

ネット上に渋谷の仮想空間 トークライブで盛り上がる

渋谷区が「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と呼びかける中、インターネット上の渋谷の街を再現した仮想空間ではハロウィーンを体験できるイベントが開かれました。

31日までのハロウィーンイベントは、渋谷区観光協会やKDDIなどが渋谷駅周辺を忠実に再現した仮想空間で、専用のアプリを使って参加します。

仮想空間には巨大なカボチャやお化けの装飾が飾りつけられ、参加者はスマートフォンやタブレットで、「アバター」と呼ばれる自分の分身となるキャラクターを作って街を歩いたり、ライブなどに参加したりすることができます。

ほかのキャラクターに近づくと会話することもでき、参加した人たちは「きょうはどんなイベントに参加するんですか」などと声をかけ、仮想空間で開かれるトークライブの話で盛り上がっていました。

このほか、アバターを操作して仮想の街にいるゾンビと一緒にダンスを踊ったり、街に落ちているゴミを掃除するミニゲームに参加したりして楽しんでいました。

参加した女性は「町並みがリアルなので、家にいながら外出している気分を味わうことができます。バーチャルで安全にハロウィーンを楽しみたい」と話していました。

KDDIの館林俊平さんは「現実の渋谷に人が集まると危険ですが、バーチャルなら安全なので、盛り上がってほしいです」と話しています。

ハロウィーンイベント実施 墨田区の商業施設で対策強化

一方、ハロウィーンイベントを実施した施設では、誘導にあたるスタッフを増やすなどの対応をとっています。

東京 墨田区の商業施設「東京ソラマチ」には魔女や映画のキャラクターなど、思い思いに仮装した子どもたちと保護者およそ1000人が集まりました。

子どもたちはカボチャのお化けや顔の描かれたちょうちんなど、ハロウィーン仕様に飾りつけられた施設内を練り歩きました。

そして、店の従業員からお菓子をもらったり周りの人に手を振ったりしながら、ゴール地点の広場までおよそ20分かけて歩き終えると、仮装姿で写真を撮っていました。

参加者の中には新型コロナやインフルエンザの感染対策のため、マスクを着用して楽しむ人もいました。

参加した子どもたちは「ふだんと違う洋服を着ることができて楽しい」とか、「お菓子をもらってうれしい」などと喜んでいました。

東京 荒川区から訪れた5歳と1歳の子どもがいる30代の母親は「ハロウィーンには混雑して危ないというイメージもありますが、このイベントは家族みんなで安全に楽しむことができます」と話していました。

新型コロナが5類に移行したことから、施設では28日と29日の2日間の人出を去年の2倍ほどの1万人と見込んでいるうえ、去年、韓国 ソウルの繁華街で、ハロウィーンのために集まった大勢の人が折り重なるように倒れ死亡する事故などにより、心配する声もあることなどから、誘導にあたるスタッフを去年の1.5倍に増員したり、イベントの参加者の数に制限をかけたりするなど、対策を強化しているということです。

ことしのハロウィーン 平均予算はコロナ前水準に 民間調査

新型コロナウイルスの5類への移行後初めての開催となることしのハロウィーン。

平均の予算はコロナ前の水準近くまで回復する見込みであることが、民間の調査会社の分析で分かりました。

民間の調査会社「インテージ」は15歳から79歳の男女5000人を対象に、ハロウィーンの過ごし方などについて、新型コロナの感染が広がる前の2019年とコロナ禍の2021年の状況を比較する、インターネットによるアンケート調査を行いました。

それによりますと、ことしのハロウィーンにかける予算は平均でコロナ禍の年の1.4倍の5620円で、5980円だったコロナ前の水準近くまで回復する見込みだということです。

ハロウィーンでやりたいこととして、
▽「イベント開催中のテーマパークに行く」と答えた人は16.4%と、コロナ禍の6.9%やコロナ前を上回り、
▽「繁華街に繰り出す」は9.2%と、コロナ前よりわずかに増えました。
また
▽「ハロウィーン限定商品を買う」は39.6%でコロナ前と同じとなり、
▽「自宅の飾りつけ」は27.6%、
▽「ハロウィーンにちなんだ料理作り」は24.4%と、
いずれもコロナ前を上回りました。
一方で
▽「お菓子を配る・もらう」という人は26.4%で、コロナ前の33.7%より7.3ポイント減少しました。

会社では「トリック・オア・トリートと言ってお菓子をもらい歩くハロウィーンの文化に対し、感染予防対策や人づきあいの変化などの影響が続いているとみられる」と分析しています。