「クレージーキャッツ」の犬塚弘さん死去 俳優としても活躍

1960年代に人気を集めたコミックバンド「クレージーキャッツ」のメンバーで、俳優としても活躍した犬塚弘さんが亡くなりました。

犬塚弘さんは1929年に東京で生まれ、貿易関係の仕事をしていた父親の影響で、幼いころから海外の音楽などに親しみました。

兄が組んでいたバンドでベーシストとして活動する中、1955年にハナ肇さんに誘われて、ともにバンドを結成しました。

その後、「クレージーキャッツ」としてハナさんをはじめ、植木等さんや谷啓さんらほかのメンバーとともに、本格的な活動が始まり、1961年にはサラリーマンの悲哀を歌った「スーダラ節」のヒットなどでたちまち人気を集めました。

その後、犬塚さんは音楽以外にも活動の場を広げ、コメディアンとしてテレビや映画などへの出演を重ねました。

俳優としても、植木さん主演のコメディー映画「無責任シリーズ」や、山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズなどでは、コミカルで味のある脇役として親しまれました。

クレージーキャッツのほかのメンバーは全員が亡くなっていて、犬塚さんはただ1人のメンバーとなっていました。

山田洋次監督「ありがとう、ワンちゃん」

犬塚弘さんが亡くなったことについて、犬塚さんが出演した映画「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督は「「ワンちゃん、サヨナラ」遂にワンちゃんもか、という思いです。リーダーのハナ肇さんはじめ、クレージーキャッツのメンバーは、みんなお人好しだったが、その中でもワンちゃんこと犬塚弘さんはとびぬけて好人物、善意が背広を着てコントラバスを演奏しているような人でした。全身からあふれ出すようなその善意で、どれだけ多くの観客を楽しませてくれたことでしょうか。ありがとう、ワンちゃん」という、コメントを発表しました。