イスラエル軍 ガザ地区で地上作戦 首相は米大統領と電話会談

イスラエル軍は夜の間にイスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区の中に侵入し、戦車などを使って限定的な地上作戦を行ったと発表しました。またネタニヤフ首相はアメリカのバイデン大統領と電話会談を行い、人質の解放に向けた取り組み状況などについて意見を交わしました。

イスラエル軍は25日夜から朝にかけてガザ地区北部に侵入し、戦車などを使って限定的な地上作戦を行い、複数のハマスの軍事施設を破壊したと発表しました。

公開された暗視カメラによるとみられる白黒の映像には、戦車などの軍用車両、少なくとも10台が進む様子や、軍用のブルドーザーが地面をならす様子、境界線のフェンスの近くと見られる場所から戦車が砲撃し、煙があがる様子が映っています。

イスラエル軍は「次の戦闘の段階に向けた準備だ」として作戦終了後、すべての部隊がガザ地区から引き揚げたとしています。

ネタニヤフ首相は25日の演説でガザ地区への地上侵攻について「われわれは準備しているが、いつ始めるかなど詳細を説明するつもりはない。タイミングは戦時内閣と軍の幹部たちと決定する」と述べ、改めて実施する構えを強調し、空爆に加えて今回のような限定的な地上作戦も行い、ハマスに揺さぶりをかけるねらいがあるものとみられます。

またネタニヤフ首相は、アメリカのバイデン大統領と電話会談を行いました。

ホワイトハウスの25日の発表によると、両者はこのなかで、人質の解放に向けた取り組み状況や、外国籍を持つ住民のガザ地区から脱出、それにガザ地区の民間人への人道支援などについて意見を交わしました。

またバイデン大統領はネタニヤフ首相に対し、イスラエルには自国民を守るためにあらゆる権利があるとしつつも国際人道法を順守して行動する必要性を強調したほか、今回の危機が終わった後、イスラエルとパレスチナの恒久的な和平の道筋についても焦点を当てる重要性を指摘したということです。

今月7日に一連の衝突が始まってからの死者の数は、ガザ地区で7028人、イスラエル側で少なくとも1400人となっていて、双方合わせて8400人以上に達しています。