住宅に立てこもり医師殺害 67歳被告の初公判 殺意を否認

去年1月、埼玉県ふじみ野市の住宅に立てこもり、医師を散弾銃で殺害したなどとして、殺人などの罪に問われている67歳の被告の初公判が開かれ、被告は「殺意は全くありません」と述べ起訴された内容の一部を否認しました。

埼玉県ふじみ野市の渡邊宏被告(67)は、去年1月、埼玉県ふじみ野市の住宅で、母親の弔問に訪れた医師の鈴木純一さん(当時44)を散弾銃で殺害したうえ、一緒にいた理学療法士にも大けがをさせたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われています。

この事件で医師を人質にとっておよそ11時間自宅に立てこもりました。

26日、さいたま地方裁判所で裁判員裁判の初公判が開かれ、被告は「殺意は全くありません。大けがをさせようと右足を狙ったが、しっかり構えられず予想外のところに当たった」などと述べ起訴された内容を一部否認しました。

続いて検察は冒頭陳述で「母親が死亡した喪失感から被告は自殺を考えるとともに、死亡したのは医師らが適切な医療行為をしなかったと恨みを募らせ、道連れに殺害しようとした」となどと主張しました。

一方、弁護士は「医師に母親への心臓マッサージを断られたことで医師に大けがをさせようと散弾銃を使用していて殺意はなかった」などと主張しました。

裁判の主な争点は被告に殺意があったかどうかで、審理は26日も含め合わせて13回行われ、判決はことし12月12日に言い渡される予定になっています。

渡邊被告 裁判長の問いかけにはっきりと答える

渡邊宏被告(67)は、黒色のスーツに青色のネクタイで出廷し、裁判長の問いかけにはっきりとした口調で答えていました。

職業を質問された際には「6年間、母の介護をしていたため、介護離職して無職です」と答えていました。

また、検察や弁護士の冒頭陳述の間は、まっすぐと前を向いていました。