衆院本会議 代表質問 新たな経済対策などめぐり論戦

国会では25日午後、衆議院本会議で2日目の代表質問が行われ、物価高を受けた新たな経済対策などをめぐって論戦が交わされました。岸田総理大臣は、26日に国民への還元策の具体化を与党に指示する考えを示す一方、消費税率の引き下げは否定しました。

維新 馬場代表 経済対策について

日本維新の会の馬場代表は、経済対策について「低所得者と現役世代の双方に迅速に恩恵が届き、賃上げを実感できるよう可処分所得を上げるための方策が必要だ。社会保険料を低所得者は半減し、その他は3割減免することや、消費税率を8%に引き下げ、軽減税率は廃止することを提案する」と訴えました。

これに対し、岸田総理大臣は「幅広い社会保険料の減免は給付と負担の関係をゆがめるなど制度に与える影響が大きく、慎重な検討が必要だ。消費税は社会保障の財源として位置づけられており、税率を引き下げることは考えていない。軽減税率制度も消費税の逆進性を緩和する効果があり、廃止することは考えていない」と述べました。

維新 馬場代表 憲法改正について

また馬場氏は、憲法改正をめぐり「今の国会で緊急事態条項の創設を軸に改正案を取りまとめ、来年の通常国会で国会発議すると約束してもらえるか。この自民党総裁としての任期中に憲法改正を果たせなかったら次期総裁選挙への出馬はしないと退路を断ち、改憲に立ち向かう覚悟はあるか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「自民党総裁としてあえて申し上げれば、総裁任期中に憲法改正を実現したいという思いに、いささかの変わりもない。党内の議論を加速させるなど、憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意だ」と述べました。

公明 石井幹事長 経済対策について

公明党の石井幹事長は、経済対策について「国民の多くは具体的な還元策を期待している。所得税減税は、公明党としては定額減税が望ましいと考える」と訴えました。

これに対し、岸田総理大臣は「国民への還元の具体化に向けて、あす政府与党政策懇談会を開催し、与党の税制調査会における早急な検討を指示する。過去2年のコロナ禍における税収の増収分の一部を分かりやすく国民に還元できればと考えている」と述べました。

公明 石井幹事長 中国の水産物輸入停止について

また石井氏は、中国などによる日本産水産物の輸入停止措置をめぐり「ホタテ産業をはじめ多くの水産業者が厳しい経営状況に直面している。希望を持って事業を継続できるよう基金を活用した機動的な対応や加工機器などの導入支援を迅速に実施するとともに、新たに建屋などの施設整備に向けた支援を実施すべきだ」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「一部の国による輸入規制強化を踏まえ、国内水産業を守るために総額1007億円の政策パッケージを取りまとめ、国内の消費拡大や代替輸出先の販路拡大、設備強化支援などに取り組んでいる。今後も施設整備支援なども含め必要に応じて機動的に予算の確保を行っていく」と述べました。

国民 玉木代表 経済対策について

国民民主党の玉木代表は、経済対策について「賃上げ、賃上げ、賃上げと三唱させてほしい。賃上げが実現すれば年金も上がり、子育てもしやすくなる。3年連続の賃上げを実現するため、ありとあらゆる政策手段を講じてほしい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「賃上げは言うまでもなく岸田政権の最重要課題で、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げが行われる経済を目指す。ことしの春闘で得られた賃上げの流れを来年も持続させることが重要で、あらゆる政策手段を集中的に講じていきたい」と述べました。

共産 志位委員長 最低賃金について

共産党の志位委員長は、最低賃金について「全国加重平均で1004円では労働者の生計費を満たしていない。岸田総理大臣は2030年代半ばに1500円にと言うが、生計費に満たない現状を十数年先まで我慢せよというのか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「今後も着実に引き上げを行うため、最低賃金審議会で毎年の賃上げ額についてしっかりと議論してもらい、その積み上げによって2030年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指す」と述べました。

岸田首相 「トリガー条項」凍結解除について

このほか岸田総理大臣は、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」の凍結解除について「灯油や重油などが支援の対象外となるほか、ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱が生じる可能性があるなど課題がある。このため、燃料油価格の激変緩和措置を今回の経済対策で来年春まで継続することとしている」と述べました。

岸田首相 安定的な皇位継承のあり方について

また岸田総理大臣は、安定的な皇位継承のあり方について「皇族数の減少への対応は国の基本に関わる重要な課題で、立法府の総意が早期に取りまとめられるよう衆参両院の議長のもとで国会での積極的な議論が行われることを期待する。自民党でも国会での議論に資するよう、責任ある政権与党として活発な議論を率先して行っていく決意だ」と述べました。

岸田首相 北朝鮮の動向について

さらに岸田総理大臣は、北朝鮮の動向をめぐり「北朝鮮が仮に偵察衛星を保有するに至った場合、北朝鮮の核・ミサイルの運用能力はさらに向上し、わが国や地域、国際社会の平和と安全を一層脅かすおそれがある」と述べました。