秋田県知事 四国地方の料理「貧乏くさい」発言で謝罪

秋田県の佐竹知事は23日、秋田市内で行った講演で四国地方の料理について「貧乏くさい」などと述べ、SNSなどで批判が上がったことを受け、25日、県庁で会見し、「大変に不見識な発言だった」と謝罪しました。

佐竹知事は23日、秋田市で開かれた県内の自治体や経済界などのトップが参加する会合で講演し、秋田とほかの地方を比較する中で、過去に全国知事会で四国地方を訪れた際の食事について、「メインディッシュが鉄板で、誰が考えてもステーキです。ふたを開けたらじゃこ天です。貧乏くさいんです」などと述べていました。

これに対して、SNSなどで批判の声が上がったため、知事は25日、県庁で臨時の記者会見を行いました。

この中で佐竹知事は、「大変に不見識な発言だった。四国の方々に不快な思いをさせ心からおわび申し上げたい。地方行政が長くなって自信過剰になり、経験からくる思い上がりでこういうことになってしまった。自分の至らなさを深く反省している」と謝罪しました。

そのうえで、「県内はクマや災害などで非常事態なので、仕事で挽回するよう努力する。発言の内容については理解は得られないと思うが、おわびをしながら、残りの1年間、しっかり向き合って仕事をしたい」と述べました。

愛媛県「ユーモアを交えた発言では」

秋田県の佐竹知事の発言について、愛媛県の広報広聴課はコメントを発表しました。

コメントでは、「秋田県の料理を褒めるためにユーモアを交えて発言されたのではないかと思う。愛媛にはおいしい食べ物や地酒がたくさんあるので、ぜひ、また、お越しになってご堪能いただきたい」としています。

愛媛県によりますと、佐竹知事は10年前に行われた全国知事会議で松山市を訪れたということですが、その際に提供された食事にはじゃこ天は含まれていなかったということです。

SNSには批判の投稿など相次ぐ

秋田県の佐竹知事の発言を受けて、旧ツイッターの「X」には、批判の投稿などが相次いでいます。

このうち、愛媛県民だという人は「愛媛県民として非常に残念です。確かに華美な料理はないかも知れませんが、故郷の海の幸、山の幸をおいしく食べるために先人が工夫を重ねて育んできた郷土料理だけに残念です」と投稿しています。

このほか、
「秋田県知事はじゃこ天のうまさを知らないんだね」とか
「秋田知事は反省しろ!秋田県民の皆さん、香川、高知、愛媛、徳島においしいものがあります。遠いですけど、ぜひ来てくださいです」など、
知事への批判に加え、四国の料理のおいしさを知ってほしいという声も投稿されています。

松山のじゃこ天販売店「うちのじゃこ天を食べてほしい」

秋田県の佐竹知事の発言について、松山市のじゃこ天販売店の責任者は「本場のじゃこ天はとてもおいしいです。うちのじゃこ天を食べてほしいです」と話していました。

じゃこ天は、新鮮な魚を骨や皮ごとすり身にして油で揚げたもので、愛媛県南予地方の特産品として県民に広く親しまれ、観光客にも人気です。

松山市中心部にある創業21年の「東雲かまぼこ」は、県内で水揚げされた「ぐち」や「むつ」のほか、旬の魚を使って作るじゃこ天が看板商品で、多いときには、一日200枚を売り上げるということです。

店の責任者の堀本由美子さんは、「じゃこ天も店によって味が違うので、もしかしたら佐竹知事はあまりおいしくないものを食べたのかもしれません。注文してくれたら送るので、まずはうちのじゃこ天を食べてほしいです」と話していました。

群馬県から松山市を訪れていた60代の夫婦は「魚本来の味がする本場のじゃこ天はとてもおいしいです。貧乏くさいどころかぜいたくな逸品だと思います」と話していました。