国連安保理 イスラエルとパレスチナが非難の応酬

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐり、国連の安全保障理事会で閣僚級の会合が開かれ、イスラエルとパレスチナの双方の外相による激しい非難の応酬となりました。

一方、アメリカのブリンケン国務長官はイスラエルを支持する立場を示しつつも、ガザ地区への人道支援を行うため、一時的な戦闘の停止が必要だと呼びかけました。

24日に開かれた安保理の閣僚級会合では、はじめにグテーレス事務総長が「ガザ地区に人道支援物資を届け、人質の解放を促すためにも、人道的な即時停戦を改めて求める」と訴えました。

このあと、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相はイスラエル軍の攻撃について、「一般市民を標的にしたもので、非人道的で不法な無差別攻撃だ。これは国際法違反の集団的懲罰にあたる。一般市民の殺害はイスラエル人もパレスチナ人もいっさい正当化できない」と、声を震わせながら非難しました。

これに対して、イスラエルのコーヘン外相はハマスにとらわれた人質の家族を議場に同席させ、「この虐殺は歴史に刻まれる。ハマスは新たなナチスだ。文明世界がナチスを打ち負かすために団結したように、ハマスを打ち負かすために、世界は団結しなければならない。イスラエルにとってハマスを破壊することは権利ではなく義務だ」と述べ、激しい非難の応酬となりました。

一方、アメリカのブリンケン国務長官はハマスによる攻撃や誘拐を非難し、イスラエルを支持する姿勢を示しつつも、「ハマスはパレスチナの人たちの代表だとは思っていない。すべての一般市民は保護されなければならず、人道目的の一時的な戦闘停止を検討しなければならない」と訴えました。

さらに、この衝突が中東全域に広がることに懸念を示し、「火に油を注ぐことは許されない」と述べ、イスラエルと敵対してきたイランを強くけん制しました。

アメリカ戦略広報調整官「一時的な停止は停戦とは違う」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は24日、記者会見で、ブリンケン国務長官が国連安保理の閣僚級会合でガザ地区への人道支援を行うため、一時的な戦闘の停止が必要だと呼びかけたことについて、「民間人を保護するための措置が必要だと考えており、作戦の一時的な停止はそれを行うための手段だ。停戦とは違う」と述べました。

そして、「今のところ、停戦はハマスに利益をもたらすものだとわれわれは考えている」と述べて、ブリンケン長官の発言の意図は停戦ではなく、あくまで人道支援を行うための一時的な戦闘停止の呼びかけだとして、停戦自体には否定的な考えを示しました。

イスラエル グテーレス事務総長の辞任を要求

国連安保理の会合でグテーレス事務総長はイスラム組織ハマスによる攻撃や一般市民の誘拐を強く非難し、すべての人質の解放を求めた一方、「ハマスによる攻撃は理由もなく起きたわけではないことを認識することも重要だ。パレスチナの人たちは56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」と指摘しました。

これについて、イスラエルのコーヘン外相は安保理会合のあと記者会見し、グテーレス事務総長の発言は容認できないとして、この日、予定していた事務総長との会談をキャンセルしたことを明らかにしました。

さらに、会見に同席したイスラエルのエルダン国連大使は「テロリストの行為を容認し正当化している。事務総長は辞任しなければならない」と述べた上で、謝罪するよう求めました。