【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア議会 上院もCTBT批准の撤回を可決

ロシアではプーチン大統領が今月5日、CTBTの批准を撤回する可能性を示唆し、これを受けて、撤回を巡り議会で審議が行われ、下院で18日に可決されたのに続き、25日、上院でも可決されました。

今後、プーチン大統領が署名し、ロシアは2000年に行っていたCTBTの批准を撤回することになります。

ロシアはこれまでも、アメリカはCTBTに批准しておらず均衡を保つ必要があると強調していて、議会で演説したロシアのリャプコフ外務次官は25日「アメリカが本格的な核実験に向けて動けば、われわれも報復的な対応をとらなければならない」と述べて核実験を再開する可能性も示し、ウクライナ侵攻で対立を深めるアメリカへのけん制を一段と強めています。

一方、リャプコフ次官は、記者団に対し、協議が中断しているアメリカとの核軍縮などを巡る戦略対話の枠組みについて、アメリカ側から非公式の提案があったと明らかにしました。

そのうえで「新しいものは何もない。われわれは冷静に分析し、適切な時期に返答する」と述べ、核軍縮をめぐる分野ではアメリカと再開を模索する動きが続いていることを示唆しました。

英防衛研 ウクライナでの戦況分析を公表

ウクライナでの戦況について分析しているイギリス王立防衛安全保障研究所は、今月19日、ジャック・ワトリング上級研究員の分析を公表しました。

この中でウクライナ軍の5か月にわたる反転攻勢について、南部ザポリージャ州にあるロシア側の強固な防衛線を突破するにはいたっておらず、ウクライナ軍がことし、ロシア側が占領する拠点、トクマクへの突破口を開く可能性は非常に低いとの見方を示しました。

一方、ロシア軍は、弾薬やミサイルの数を増やしていて長距離ミサイルについては月に100発以上と、去年10月に比べて2倍以上を生産しているとした上で「NATOが防空用のレーダーなどの生産を拡大できるかが非常に重要だ」と指摘しています。

こうした中でも、ウクライナには南部でのロシアの状況を悪化させるための方策があるとしています。

まず、アメリカから供与された射程の長い地対地ミサイルATACMSなどを使いロシアの防空網に穴を開けることで、ミサイルの数に限りがあってもロシア軍の補給など後方支援の拠点を効果的に破壊し、混乱させることができるとしています。

そして、ウクライナが南部ヘルソン州を流れるドニプロ川を渡ってロシア側が占領を続ける東岸の地域で作戦を展開していることに触れ、ロシアが防衛しなければならない戦線を拡大し、消耗させる重要性を指摘しました。

また、ウクライナ軍はロシア黒海艦隊の活動を阻止していくことが来年、占領されている南部クリミアをロシアから切り離し、奪還につなげるための条件を整えることになると強調しました。

その上でワトリング氏は「アメリカが政治的に機能不全に陥っている中、ウクライナの来年の計画がどうなるかはヨーロッパ各国により委ねられている」として各国は、来年の作戦を成功させるためにもいまから取り組みを始めるべきだとしています。

ゼレンスキー大統領 “備えている” 冬期のインフラ攻撃に警戒

ゼレンスキー大統領は25日SNSで「エネルギーのインフラ施設に対するテロ攻撃にわれわれは備えている。今年は自分たちを守るだけで無く、それに対応していく」と投稿し、冬の間のインフラへの攻撃に対し警戒を続けています。

ロシア国防相 冬の戦闘準備を指示

ロシア国防省は、軍事侵攻を続けるウクライナ東部のドネツク州の南方方面で戦闘を行う指揮所にショイグ国防相が訪問したと25日、発表しました。

ショイグ国防相は戦況とともに、無人機を扱うロシア軍の部隊についても報告を受けたということです。

さらに、今後の冬の戦闘に向けて寒さ対策の軍需物資の支給など部隊に準備を指示したとしています。

また、ウクライナ空軍は25日、ロシア軍が夜間、11機のイラン製の無人機を使って各地で攻撃を行い、いずれも撃墜したと発表しました。

ただ、西部フメリニツキー州では破壊した無人機の破片が落下し、16人がけがをし、インフラ施設が損傷したということです。

米シンクタンク “ロシア製の新無人機 使用の可能性”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日、ロシア軍が23日にキーウ州で攻撃した際、ロシア製の新たな長距離無人機「イタルマス」を初めて使用した可能性があると指摘しました。

ロシアは冬の時期に向けてインフラ施設を標的にした攻撃を強めていくとみられていて「戦争研究所」は「イラン製の無人機だけでなくより安く、軽量な国産の無人機で攻撃を補おうとしている」として攻撃の手法を多様化しようとしていると分析しています。

ゼレンスキー大統領 クリミア巡る戦闘での戦果を強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、チェコの首都プラハで開かれた、ウクライナ南部のクリミアを巡る国際会議にオンラインで参加しました。

この中でゼレンスキー大統領は「ロシアの艦隊はもはや黒海の西部で活動することができず、クリミアから徐々に逃げ出している。これは歴史的な成果だ」と述べ、ロシアが一方的に併合した南部クリミアを巡る戦闘での戦果を強調しました。

そのうえで、「ロシアのテロリストにとって、クリミアと黒海とアゾフ海沿岸の占領地域で安全な基地や補給ルートは残されていない。クリミアや沿岸地域はまだ完全には攻撃射程に入っていないが、達成されるのは時間の問題だ」と述べました。

クリミアを巡ってロシア国防省は24日、沖合で無人艇3隻を発見し破壊したと発表するとともに、黒海艦隊が駐留する軍港セバストポリの沖合で機雷や敵の破壊工作に対する作戦を実施していると主張していて、ウクライナ軍が攻撃を強めているとみられます。

ゼレンスキー大統領としては、アメリカから供与された射程の長い地対地ミサイルATACMSなどの活用も念頭に、領土の奪還を目指す決意を強調したものとみられます。

バルト海上空でロシア空軍戦闘機が緊急発進

ロシア国防省は24日、「バルト海の上空でロシアの国境に接近する標的を発見し、ロシア空軍のスホイ27戦闘機を緊急発進させた。その結果、アメリカ空軍のB1戦略爆撃機2機を確認した」と発表しました。

そのうえで、「アメリカの戦略爆撃機は引き返し、領空侵犯はなかった。ロシア軍の戦闘機の飛行は国際法に厳密に従い、安全対策も順守して行った」と主張しています。

さらに、ロシア国防省は24日、黒海上空の空域でもアメリカ空軍の無人偵察機グローバルホークが接近したとして、ロシア空軍の戦闘機を緊急発進させたとし、アメリカ空軍の偵察機は引き返したと発表しました。

ロシアがウクライナへの侵攻を続ける中、ウクライナ南部に面する黒海のほか、NATO=北大西洋条約機構の加盟国などが面するバルト海の一帯でもロシアと欧米側とのけん制が続いています。

CIA訓練のウクライナ情報機関 ロシア国内での暗殺事件に関与か

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは23日、複数のウクライナやアメリカの当局者の話として、アメリカのCIAから長年、訓練を受けてきたウクライナの情報機関が、ロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア国内で起きた暗殺事件など秘密工作に関わっていたと伝えました。

具体的には、去年8月、首都モスクワ郊外で走行中の乗用車が爆発し、プーチン大統領の外交政策に影響を与えてきたとされる思想家ドゥーギン氏の娘が死亡した事件では、ウクライナ保安庁の工作員がペット用のキャリーバッグに仕掛けた爆弾によって起きたものだったと報じています。

また、ウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で2度にわたって起きた爆発や、ことし5月にモスクワのクレムリンに仕掛けられた無人機による攻撃などにもウクライナの情報機関が関わったとしています。

一方、ウクライナ側が行った作戦そのものにはCIAは関与していないとしています。

これについてウクライナ側はコメントしていませんが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、「ウクライナの情報機関にアメリカやイギリスが関与してきたというのは、まさに、われわれが指摘してきたことだ」と述べ批判しました。