入管施設 女性死亡 当時の局長ら不起訴で検察が遺族に理由説明

名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性が死亡した問題で、捜査を担当した検事が24日、遺族などと面会し、検察審査会の議決を受けて再捜査した結果、入管の当時の局長など13人を改めて不起訴とした理由を説明しました。
遺族などによりますと「死因が分からないため起訴できない」などと説明されたということで、「納得いかない」としています。

おととし、名古屋出入国在留管理局の施設でスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が収容中に体調不良を訴えて死亡した問題では、遺族などが入管の当時の局長らを殺人などの疑いで告訴・告発しました。

名古屋地方検察庁は不起訴としましたが、検察審査会が「業務上過失致死罪が成立するかどうか再検討すべきで、不起訴は不当だ」と議決したことを受けて再捜査した結果、先月29日に当時の局長ら13人を改めて不起訴としていました。

これについて、24日都内で遺族と代理人の弁護士が捜査を担当した検事から説明を受けました。

弁護士によりますと、死因が分からないため犯罪行為があったと認められず起訴できないとしたうえで、仮に死因が栄養不足や脱水だったとしても診察をした医師でさえ体調不良の理由などが分からない中、対応にあたっていた入管の職員が亡くなることを予測したり、回避したりすることはできなかったなどと説明されたということです。

ウィシュマさんの妹のポールニマさんは会見で「説明を聞いても入管寄りの判断だと感じ、一切納得がいかない。本当に残念です」と話していました。

代理人の指宿昭一弁護士は「救急車を呼んだり、点滴を打ったりしていれば死亡が回避できたのは明らかだ。この事件が起きてからだいぶ時間がたっているが、何も解決していないし誰も責任をとっていない。社会的、法的責任を引き続き追及していきたい」と話していました。