中国 李尚福国防相を解任 外相に続く閣僚解任 異例の事態に

中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会は24日、2か月近く動静が途絶えていた李尚福国防相の解任を決めました。ことし7月の秦剛前外相の解任に続いて重要閣僚が就任から1年もたたずに解任される異例の事態となっています。

国営の中国中央テレビは、全人代=全国人民代表大会の常務委員会が24日、副首相級の国務委員を兼ねる李尚福国防相の解任を決めたと伝えました。

後任は伝えられていません。

李国防相は、ことし8月末以降、動静が2か月近くにわたって途絶えていましたが、解任の理由などは明らかにされていません。

欧米や香港の一部メディアは、李氏や複数の軍幹部が汚職で調査を受けている可能性を伝えていて、軍内部で大規模な摘発が行われているのではないかとの臆測も広がっています。

李氏はことし3月に国防相に就任したばかりで、ことし7月に解任された秦剛前外相に続いて、重要閣僚が就任から1年もたたずに解任される異例の事態となっています。

李氏をめぐっては、アメリカ政府が制裁対象にしていることに中国が反発し、米中の正式な国防相会談が行われない事態となっていましたが、今後、米中の国防当局間の意思疎通の再開につながるかも注目されます。

また、全人代常務委員会は、秦前外相について、兼任していた副首相級の国務委員を解任することを決めたほか▼財政相を劉昆氏から藍仏安氏に▼科学技術相を王志剛氏から陰和俊氏にそれぞれ交代させることもあわせて決めたとしています。

李尚福氏とは

李尚福氏は、65歳。

中国軍に入隊後、有人宇宙飛行プロジェクトの総指揮を担当するなど、いわゆる技術畑の経験が長く、2017年に兵器など装備品の調達を担当する「装備発展部」のトップに就任しました。

2022年10月、中国軍を統括する「中央軍事委員会」の委員に昇格したあと、ことし3月には国防相に就任するとともに、副首相級の国務委員にも選ばれ、習近平国家主席の信頼が厚いとみられていました。

李氏をめぐっては、「装備発展部」のトップだった2018年に、ロシアから地対空ミサイルシステムなどの兵器を購入したとして、アメリカから制裁を科されています。

中国側はこれに反発して、アメリカの国防長官との会談を拒否し、李氏が国防相に就任して以降、米中の間で正式な国防相会談が行われない事態となっていました。

李氏の動静が途絶えてから、2か月近くとなりますが、このあいだ、中国政府は一切、理由などに触れておらず、中国国防省の報道官は9月の会見で記者からの質問に対し、「状況を把握していない」などと答え、言及を避けていました。