水田機能維持し麦など生産“不適切交付”130億円余 会計検査院

水田の機能を維持しながら麦や大豆などの作物を生産する農家への交付金事業を、会計検査院が調査した結果、水田としての活用が実質的に難しいものや、必要な収量確認が適切に行われてないケースに、130億円余りが交付されていたことが分かりました。

農林水産省は、食料自給率の向上などを目的に、水田機能を維持しながら麦や大豆、それに飼料作物を生産する農家や企業への交付金事業を行っていて、会計検査院は2020年度と2021年度に交付されたおよそ2400億円の状況を調査しました。

その結果、
▽農業用ハウスなどが設置され水田の維持が難しくなっていた、延べ1547の農業者に7000万円余りが交付されていたほか、
▽代わりの作物の収量が基準を下回っていた、延べ3177の農業者に40億円が交付されていたことが分かりました。

また、
▽生産実績や収量が正確に把握できていないケースなども、延べ1万件余りあり、100億円が交付されていました。

これらの適切でないケースに、重複を除き130億円余りが交付されていたということです。

会計検査院は農林水産省に対し、水田の機能を維持していると判断する基準を明確に定め、収量の適切な把握をするよう改善を求めました。

農林水産省は「指摘を真摯(しんし)に受け止め、交付金の適切な運用に努めていく」としています。