“ハマス襲撃時 戦闘員がタイ語で呼びかけ” タイ人証言

今月7日、イスラム組織ハマスによるイスラエル側への大規模な奇襲攻撃では外国人も犠牲となったほか、今も多くが人質となっています。こうした中、攻撃から逃れたタイ人の男性が取材に応じ、襲撃時にハマスの戦闘員からタイ語で呼びかけられたことを明らかにし、外国人が標的となった可能性も出てきています。

タイ政府によりますと、イスラエルではこれまでにタイ人30人が死亡し、19人が人質となっているということです。

イスラエル国内にはおよそ3万人のタイ人がいて、その多くが農業などで働く労働者でした。

ガザ地区に近い農園で働いていたクリアンサック・パンスリーさん(37)はハマスの襲撃から逃れて、今月13日にタイに帰国しました。

クリアンサックさんによりますと、今月7日の朝、ロケット弾の大きな音を聞いて、ほかのタイ人とともにシェルターに隠れると、その直後には近くで銃声が聞こえたといいます。

その後、いったん宿舎に戻ると、再び激しい銃声が近くで聞こえ、その場にいたタイ人たちは一斉に身を伏せました。

すると、玄関から「タイ人の皆さん、こんにちは」とタイ語で呼びかけられたということです。

不審に思い、応答しないでいると、今度は玄関に火を放ってきたといいます。

クリアンサックさんは着の身着のままでその場から逃れましたが、仲間のタイ人の中には銃で撃たれてけがをした人や、人質となった人がいたということです。

クリアンサックさんは「ハマスは銃を撃ち、手りゅう弾を投げて『タイ人の皆さん、こんにちは』と言いました。ハマスはそこにタイ人がいることを知っていて、私たちタイ人を追い出して、二度とイスラエルのために働かせないようにしたいのだと思いました」と話していました。

タイの地元メディアは、退避した複数のタイ人労働者がハマスによる攻撃の際にタイ語で呼びかけられたという証言を伝えていて、外国人が標的となった可能性も出てきています。