【22日詳細】イスラエル軍“大規模軍事作戦の準備整っている”

イスラエル軍の報道官は22日、イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区への空爆を強化していると明らかにするとともに、「政治レベルでの決定に従い、軍にとって最良の状態で次の段階へ移行するだろう」と述べ、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦への準備は整っていると強調しました。

※22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

イスラエル軍 ハマスの拠点狙った空爆続ける

イスラエル軍はガザ地区で、高い建物やトンネルなどハマスの拠点を狙ったとする激しい空爆を続けていて、地元メディアは21日夜から22日にかけて少なくとも50人が死亡したと伝えています。

また、ガザ地区の周辺ではイスラエル軍が戦車部隊などを展開していて、22日にはガザ地区との境界線のフェンス近くでハマスの戦闘員2人を殺害したと発表しました。

こうしたなか、イスラエル軍の報道官は22日、「戦争の次の段階に向けて、イスラエル軍への脅威を減らすためにガザ地区への攻撃を増やしている」と明らかにするとともに、「政治レベルでの決定に従い、軍にとって最良の状態で次の段階へ移行するだろう」と述べ、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦への準備は整っていると強調しました。

イスラエル軍 ヨルダン川西岸に“異例”の空爆

一方、イスラエル軍はガザ地区から120キロ以上離れ、パレスチナ暫定自治政府が置かれているヨルダン川西岸でも22日、異例ともいえる空爆を行いました。

軍の発表によりますと、空爆されたのはハマスや他の武装組織の拠点として使われていたとするモスクで、「最近、テロ攻撃を計画しているという情報を入手した」と主張しています。

ヨルダン川西岸での空爆は2006年以来と見られ、ガザ地区への地上侵攻の準備を進める中、イスラエルにとってはいわば背後となる地域からの攻撃に警戒を強めているものとみられます。

双方の死者 5700人超

今月7日からの一連の衝突ではイスラエル側で少なくとも1400人が死亡し、外国人を含む210人が人質にとられている一方、ガザ地区では少なくとも4385人が死亡し、双方の死者は5700人を超えています。

《人道支援めぐる動き》

トルコ保健相 医師20人をガザ地区と接するエジプト派遣へ

トルコのコジャ保健相はガザ地区への医療支援に向け、医師20人を22日に、ガザ地区と境界を接するエジプトに派遣すると自身のSNSで発表しました。

この中でコジャ保健相は「エジプト保健省と協議のうえ、ガザ地区南部のラファ検問所に野戦病院を設置できないか検討する」としています。

また、今後、貨物機3機を使って医薬品や医療機器を届ける予定だとしたうえで、必要な調整が済みしだい、野戦病院の資材や救急車を船で現地に送るとしています。

これに先立ち、トルコ大統領府は21日、エルドアン大統領がイスラム組織ハマスの最高幹部ハニーヤ氏と電話会談し、「必要に応じて、けが人をトルコで治療できるように努力する」と述べ、けがをしたガザ地区の住民をトルコの病院に搬送する準備があると伝えたことを明らかにしました。

ただ、イスラエル軍によるガザ地区への空爆や封鎖が続く中、こうした支援が実現するかどうかは不透明な状況です。

支援物資搬入 WHOなど支援継続を呼びかけ

ハマスによる大規模攻撃を受けたイスラエルの完全封鎖により、ガザ地区で人道危機が深まる中、21日、エジプトとの境界にあるラファ検問所が開放され、医薬品や食料、それに水などトラック20台分の支援物資が搬入されました。

WHO=世界保健機関やUNICEF=国連児童基金などの5つの国連機関は21日、共同声明を発表し、支援物資の到着を歓迎する一方で、「今回の物資はほんの始まりにすぎず、十分とは言い難い」として、人道支援が継続して行われるよう協力を呼びかけました。

こうした中、OCHA=国連人道問題調整事務所のトップを務めるマーティン・グリフィス国連事務次長はロイター通信の取材に対し、「22日に新たに20台から30台のトラックがガザ地区に入れるかもしれないと聞いている」として、新たな支援に向けた話し合いが続けられていると明らかにし、今後も支援物資が継続的に搬入され、人道状況の改善につながるかが焦点となっています。

バイデン大統領「検問所の運用維持へすべての当事者と協力」

アメリカのバイデン大統領は21日、声明を発表し、ガザ地区への人道支援物資の搬入について、「最高レベルによる外交の成果だ」として、エジプトのシシ大統領やイスラエルのネタニヤフ首相、国連に感謝の意を示しました。

そして、「アメリカはガザの人たちがハマスによる横流しを受けずに、食料や水、医療、そしてそのほかの支援を確実に受けられるよう取り組んでいく」と強調しました。

その上で、「ラファ検問所の運用を維持できるよう、すべての当事者と協力していく」としています。

一方、イスラエル軍による地上侵攻が近いともされるなか、バイデン大統領は21日、地元の東部デラウェア州で、記者団から「地上侵攻を遅らせるようイスラエルに促しているのか」と問われたのに対し、「イスラエルとは協議している」と応じるにとどめました。

「カイロ平和サミット」各国の間で立場に隔たり

人道危機が深刻化するガザ地区の情勢などについて話し合う国際会議「カイロ平和サミット」が21日、エジプト・カイロで行われ、合わせて30以上の国や国際機関などの代表が参加しました。

会議の冒頭、エジプトのシシ大統領が「争いが続いている現状を変えよう」などと参加者に呼びかけ、イスラエル・パレスチナ情勢の緊張緩和やガザ地区の人道状況の改善に向けた協力などについて参加者の間で意見が交わされました。

会議では、ガザ地区が深刻な人道危機に直面していて、一刻も早く、継続した人道支援物資の搬入が求められているという意見が多く出た一方で、ハマスとイスラエルを巡っては参加した各国の間で立場の隔たりが見られました。

このうち、イラクのスダニ首相は「パレスチナでは住宅、教会、病院が攻撃され、民間人に対する、ジェノサイドが行われている」として、イスラエルを非難しました。

一方で、EU=ヨーロッパ連合やドイツなどはあくまでハマスがテロ攻撃を行ったことが今回の一連の衝突の原因だと批判し、フランスのコロナ外相は「今回のようなテロが繰り返されないためにも、イスラエルには国際法の範囲内で自衛の権利がある」と述べました。

今回の会議で共同声明などは発表されませんでしたが、今後、各国が立場の隔たりを越え、事態の緊張緩和や、ガザ地区への継続的な人道支援物資の搬入を実現できるかが注目されます。

支援物資に30万人分の医薬品など 搬入許可待ちの食料も

ガザ地区に到着した支援物資はトラック20台分の医薬品や食料、それに水などです。

支援物資の中身についてパレスチナ赤新月社は21日に、「トラック20台分の医薬品や食料などを受け取った」と発表し、WHO=世界保健機関は支援物資には30万人分の医薬品などが含まれているとしています。

また、UNICEF=国連児童基金は2万2000人の1日分にあたる4万4000本以上の飲料水が検問所を通過したとしています。

このほか、WFP=世界食糧計画は食料60トン分を積んだトラックが検問所を通過し、検問所の外では930トン分の食料が搬入の許可を待っているということです。

支援物資は住民への配布に向けて、ガザ地区にあるUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の倉庫に運び込まれたということです。

ガザ地区に支援物資到着も イスラエル軍 大規模な軍事作戦を示唆

ハマスによる大規模攻撃を受けたイスラエルがガザ地区を完全に封鎖し、人道危機が深まる中、21日、エジプトとの境界にあるラファ検問所が開放され、人道支援物資を載せたトラックが入りました。

これについてハマスが実効支配するガザ地区の当局は声明を発表し、「限られた数のトラックではガザ地区の人道危機は改善できない」として、不足している燃料を含むすべての必要な物資の搬入を要求しています。

一方、イスラエル軍の報道官は21日、軍事目的で使用される可能性のあるガソリンなどの燃料については支援物資に含めることを認めない考えを示しました。

ガザ地区で必要とされる支援物資については、国連が一日当たりトラック100台分の搬入が必要だとする一方、今回、ガザ地区に入ったのは20台で、次の物資が到着するめども現時点で立っておらず、人道危機が深刻化する中で、十分な物資を安定的に行き渡らせることができるかが課題となっています。

こうした中、21日もガザ地区では激しい空爆が続いていて、イスラエル軍の報道官は「戦争の次の段階に向けて、ガザ地区北部にあるハマスの拠点への攻撃を強化する」と述べて、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦に移ることを示唆した形です。

これに対して、ハマス側も報復として、中部テルアビブなどに向けてロケット弾を発射しています。

今月7日からの一連の衝突では、イスラエル側で少なくとも1400人が死亡し、外国人を含む210人が人質にとられている一方、ガザ地区では少なくとも4385人が死亡し、双方の死者は5700人を超えています。

イスラエル軍がガザ地区への地上侵攻に踏み切れば犠牲者の増加は避けられず、人道危機のさらなる悪化の懸念が続いています。

イスラエル政府 エジプトとヨルダン滞在の自国民に出国を勧告

パレスチナのガザ地区への大規模な空爆で多くの住民が犠牲になる中、イスラム諸国などでイスラエルに対する抗議活動が強まっていることを受けて、イスラエル政府はエジプトとヨルダンに滞在している自国民に対し、直ちに出国するよう勧告しました。

勧告はイスラエル首相府とイスラエル外務省が21日に発表したもので、エジプトとヨルダン、そしてモロッコの3か国について、渡航に関する警戒レベルを引き上げています。

このうち、エジプトとヨルダンについては最も高い警戒レベル4とし、イスラエル国民に対し渡航を控えるとともに、滞在している人は直ちに出国するよう求めています。

また、モロッコについては警戒レベル3とし、不要不急な渡航を避けるよう勧告しています。

このほか、トルコやUAE=アラブ首長国連邦など中東の国々や、イスラム教徒が多いインドネシアなどについても滞在を避けることを推奨しています。

声明では「戦争が続くなか、反イスラエルの抗議活動の著しい増加を、ここ数日、中東のアラブ諸国を中心に世界各国で目撃している」として、反イスラエル感情が各国で広がり、その矛先が海外にいるイスラエル国民に向かうおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

《軍事的な動き》

病院爆発めぐり各国政府や軍など原因分析進める

今月17日に起きたガザ地区北部の病院での爆発をめぐっては、各国政府や軍などが原因の分析を進めています。

この爆発についてハマス側はこれまで、イスラエル軍の空爆によるものだとしていますが、イスラエル側は関与を否定し、ハマスとは別の武装組織「イスラム聖戦」が発射したロケット弾によるものだと主張しています。

各国政府や軍なども原因の分析を進めていて、このうち、カナダの国防省と軍は21日、「独自に行った分析では、イスラエルは病院を攻撃していなかったことがうかがえる。この攻撃はガザ地区で発射されたロケット弾の誤爆による可能性が高い」とする声明を発表しました。

これは病院やその周辺への被害と、飛しょう体の飛行パターンを分析した結果で、高い信頼性を持てるとしています。

これまでにアメリカのバイデン大統領も国防総省の分析情報をもとに、「ガザ地区のテロ組織がロケット弾の発射に失敗したためのようだ」と述べ、関与を否定するイスラエルの主張を支持しています。

一方、イギリスのスナク首相は「何が起こったかという事実を確定するためには時間をかける必要がある」としています。

これに対し、エジプトやヨルダン、それにサウジアラビアなどのアラブ諸国は病院での爆発はイスラエルによる攻撃だとして非難しています。

専門家「地上戦への突入 最終的に止めることは難しい」

防衛大学校の立山良司名誉教授は、人質の存在を踏まえても、イスラエル側の大規模な動員や兵士の士気の観点から、「地上戦への突入を最終的に止めることは難しい」と指摘しています。

イスラム組織ハマスは20日、人質としていたアメリカ国籍の親子2人を解放しました。

立山名誉教授はこうしたハマス側の動きについて、「結果的に人質の中にいろいろな国籍の人がいたということだと思う。各国が自国民の安全のため、特に地上戦への突入をできるだけ回避するよう働きかける中、人質解放に積極的な姿勢を見せて、地上戦への突入を少しでも遅らせようという考えはあると思う」と話しています。

一方でイスラエル側にとっては、「多数の国民が人質になっていて、『人質を見捨てるな』という国内の批判だけでなく、各国からの働きかけも全く無視できるものではなく、イスラエル軍はジレンマに直面している」と話しています。

ただ、立山名誉教授は、こうした状況を踏まえても、「地上戦への突入を最終的に止めることは難しい」と指摘しています。

理由について、「大規模な動員が行われ、長期化すれば社会・経済活動への影響も避けられず、ずっとこのままの状態ではいられない。兵士の士気も今は頂点付近にあり、このレベルをずっと保ち続けるのは難しい」と述べました。

また、具体的な時期については、「イスラエル軍にとって空爆と地上作戦はつながっている。地上作戦はそう遠くない、数日以内に行われるのではないかとは思うが、いつかは分からない。人質がどこにいるか分からず、作戦の進め方を複雑にしていくだろう」と話していました。

「イラク西部で民兵組織が米軍駐留基地を攻撃」イラン国営通信

イラク西部で隣国イランの支援を受ける民兵組織が、アメリカ軍の駐留する基地に対し、ロケット弾やミサイルで攻撃を行ったと21日、イランの国営通信が伝えました。

攻撃を受けたとされる基地はイラク西部のアンバール県にあり、攻撃の様子を撮影したとする動画では、無人機が飛び立つ様子もうつされています。

どのような被害があったのか、詳細は明らかになっていません。

また、今のところアメリカ側から今回の攻撃について発表はありませんが、国防総省は17日から18日にかけてイラクやシリアにある基地に無人機による攻撃が相次いだと発表していました。

シリア国営通信 “空港がイスラエル軍の攻撃受けた”

シリアの国営通信は22日、首都ダマスカスと北部アレッポにある国際空港がイスラエル軍によるミサイル攻撃を受け、作業員1人が死亡、もう1人がけがをしたうえ、施設などにも被害が出たと伝えました。

今月に入ってからシリアでは複数回にわたって空港が攻撃を受けていて、シリア側は今回の攻撃も含めて、すべてイスラエル軍によるものだとしています。

イスラエルはこれまでも、シリア国内に展開するイランの支援を受ける民兵組織の関連施設などにたびたび空爆などを行っています。

ハマスの襲撃から逃れたタイ人「タイ語で呼びかけられた」

タイ政府によりますと、イスラエルではこれまでにタイ人30人が死亡し、19人が人質となっているということです。

イスラエル国内にはおよそ3万人のタイ人がいて、その多くが農業などで働く労働者でした。

ガザ地区に近い農園で働いていたクリアンサック・パンスリーさん(37)は、ハマスの襲撃から逃れて今月13日にタイに帰国しました。

クリアンサックさんによりますと、今月7日の朝、ロケット弾の大きな音を聞いて、ほかのタイ人とともにシェルターに隠れると、その直後には近くで銃声が聞こえたといいます。

その後、いったん宿舎に戻ると、再び激しい銃声が近くで聞こえ、その場にいたタイ人たちは一斉に身を伏せました。

すると玄関から、「タイ人のみなさん、こんにちは」とタイ語で呼びかけられたということです。

不審に思い、応答しないでいると、今度は玄関に火を放ってきたといいます。

クリアンサックさんは着の身着のままで、その場から逃れましたが、仲間のタイ人の中には銃で撃たれてけがをした人や、人質となった人がいたということです。

クリアンサックさんは「ハマスは銃を撃ち、手りゅう弾を投げて、『タイ人のみなさん、こんにちは(サワディー・タイランド)』と言いました。ハマスはそこにタイ人がいることを知っていて、私たちタイ人を追い出して、二度とイスラエルのために働かせないようにしたいのだと思いました」と話していました。

タイの地元メディアは、退避した複数のタイ人労働者がハマスによる攻撃の際にタイ語で呼びかけられたという証言を伝えていて、外国人が標的となった可能性も出てきています。

イスラエル軍 ヨルダン川西岸地区のモスク空爆と発表

イスラエル軍はパレスチナ暫定自治区のヨルダン川西岸地区、ジェニンにあるモスクを空爆したと22日発表しました。

ロイター通信が配信した映像にはモスクの外壁や窓が壊され、がれきが散乱している様子が映されています。

イスラエル軍はこのモスクの地下がイスラム組織「ハマス」や、ハマスと連携する武装組織「イスラム聖戦」が活動を計画したり、実行したりするための拠点として使われていたとして、「差し迫ったテロ攻撃を計画しているとの情報を入手した」と主張しています。

アメリカ 中東にミサイル「パトリオット」など追加配備へ

アメリカのオースティン国防長官は21日声明を発表し、中東に地対空ミサイルシステム「パトリオット」を追加配備するとともに、迎撃ミサイルシステム「THAAD」を配備すると明らかにしました。

オースティン長官はこれに先立ち、イスラエルと敵対するイランや、イランが支援する勢力による緊張を高める動きについて、バイデン大統領と協議したとしていて、今回の配備はアメリカ軍の部隊を守るとともに、イスラエルの防衛を支援するためだとしています。

アメリカ国防総省は19日、アメリカ軍のミサイル駆逐艦が紅海の海上で、イランが支援するイエメンの反政府勢力フーシ派がイスラエルに向けて発射したとみられる複数の巡航ミサイルなどを撃ち落としたと明らかにしており、イランなどへの警戒を強めています。

ハマス “新たに2人解放の用意 イスラエルが拒否”と主張

イスラム組織ハマスは拘束している女性2人を22日に新たに解放する用意ができているとSNSで発表しました。

20日に解放した2人と同じ手順で解放するとしていますが、イスラエルが受け入れを拒否したと主張しています。

これに対し、イスラエル首相府は声明で、「ハマスによるプロパガンダに付き合うつもりはない」とハマス側の主張を否定したうえで、「すべての人が帰れるために必要なことはすべて行う」としていて、イスラエル軍が大規模な地上侵攻への準備を進める中、人質の解放に向けた交渉がどう進められるのかも焦点です。

イスラエル元高官 侵攻間近に迫るも“政府は冷静に見極め”

イスラエル軍がガザ地区への地上侵攻を示唆する中、イスラエルの国家安全保障会議のトップをことし1月まで務めていたエヤル・フラタ氏が21日、NHKのインタビューに応じ、侵攻は間近に迫っているという見通しを示したうえで、イスラエル政府が侵攻開始の時期を冷静に見極めているという見方を示しました。

フラタ氏はイスラエル軍が示唆するガザ地区への地上侵攻について、「イスラエルの市民だけでなく、政府内でもハマスに対する大きな怒りがあるが、政府は冷静な意思決定をしている。軍は注意深く準備をしていて、向こう見ずな判断はしていない」と述べました。

そのうえで、「地上作戦は間近に迫っている。イスラエル軍は効果的かつ積極的に動いている」として、ハマスの能力や装備などを分析し、侵攻開始の時期を冷静に見極めているという見方を示しました。

また、フラタ氏は「イスラエルにガザを占領しようという意志はない。しかし、ガザがテロリストや過激派、またハマスのようにユダヤ教徒やイスラエル市民の殺害を優先する者に統治されないようにしなければならない」と述べ、ハマスを排除し、イスラエル市民の安全を確保することが最大の優先課題だと強調しました。

さらに、「地上作戦はガザ地区の市民の犠牲を最小限にとどめるものでなければならない」と述べ、ガザ地区の市民の犠牲を望んでいないとも述べました。

一方で、「イスラエル政府はどれだけ時間がかかろうとも、目的を達成することに対して市民の支持を得ている。イスラエル軍はできるだけ迅速に効果的に作戦をやり遂げると信じているが、事態がどう動くか注視する必要がある」と述べて、地上侵攻が始まった場合、長期にわたって続く可能性があるという見方も示しました。

イスラエル軍参謀総長「ガザ地区に突入」地上侵攻迫ること示唆

イスラエル軍が大規模な地上侵攻への準備を進めるなか、21日夜、イスラエル軍トップのハレビ参謀総長がガザ地区周辺に展開している精鋭部隊を視察しました。

このなかでハレビ参謀総長は「ガザ地区に突入する。そしてハマスの工作員や施設を破壊する作戦を始める。われわれは2週間前の安息日に犠牲となった人々の姿や光景を思い起こすだろう」と述べ、地上侵攻が迫っていることを示唆しました。

そのうえで、「ガザ地区は込み入った人口密集地で、敵も多くの準備をしているだろうが、われわれもまた準備ができている」と、集まった部隊の指揮官たちにげきを飛ばしました。