350万年前の地層から見つかった化石のチョウ 新種と判明 群馬

群馬県内のおよそ350万年前の地層から見つかった化石のチョウが、はねや触角の特徴などから新種とわかりました。柔らかい体の構造をしているチョウが化石として残るのは極めて珍しく、チョウの進化を考える上でも貴重な資料として注目されます。

これは慶応義塾幼稚舎の相場博明教諭や鹿児島大学の研究グループなどが、古生物に関する国際誌に今月発表しました。

群馬県内にあるおよそ350万年前の「鮮新世」と呼ばれる時代の地層から40年ほど前に見つかっていた3センチほどのチョウの化石について、高性能の顕微鏡で詳細に調査したところ、はねや触角の特徴などから、新種であることが判明しました。

チョウは体の構造が柔らかく、水中に沈みにくいことなどから、植物や貝にくらべて化石として残りにくく、世界でこれまでに報告された成虫のチョウの化石はわずか60個余りとされ、新種のチョウの化石が日本から見つかったのは今回が初めてだということです。

この新種は現在も日本に生息している「ミスジチョウ」に近縁の、すでに絶滅した種とみられ、はねの特徴などからチョウの進化の過程を考える上で貴重な資料だということです。

研究チームの相場さんは「チョウが化石として残るのは奇跡的な出来事で、新種の発見は価値が高いと感じています。人類の祖先がいた時代のチョウなので、われわれの祖先がどこかで眺めていたかもしれないという夢があります」と話していました。