オリックス 3年連続日本シリーズ進出 59年ぶり関西勢対決へ

プロ野球・パ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージ第4戦はオリックスがロッテに3対2で勝ち、リーグ優勝のチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めた対戦成績を4勝1敗とし、3年連続の日本シリーズ進出を決めました。

この結果、日本シリーズはオリックスと阪神の顔合わせとなり、59年ぶりに関西勢どうしの対決となりました。

オリックスが競り勝ち日本シリーズ進出

パ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージ第4戦は京セラドーム大阪で行われ、リーグ3連覇のオリックスが20日までにアドバンテージの1勝を含めた対戦成績を3勝1敗と日本シリーズ進出に王手をかけ、レギュラーシーズン2位のロッテと対戦しました。

オリックス 森友哉選手が先制ツーラン

オリックスは1回に3番の森友哉選手のツーランホームランで先制し、6回には5番の杉本裕太郎選手のタイムリーツーベースヒットで追加点を奪いました。

オリックス 宮城大弥投手

投手陣では先発の宮城大弥投手が今シーズン6試合に登板し、3勝負けなし、防御率1.06と相性のいいロッテ打線を相手に、6回76球を投げ無失点の好投をみせ、マウンドを降りました。

オリックスは7回から継投に入り、3人のリリーフ陣がリードを守って3対2で勝ちました。

この結果、オリックスはリーグ優勝のチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めた対戦成績を4勝1敗とし、3年連続の日本シリーズ進出を決めました。

日本シリーズはセ・リーグで18年ぶりのリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズも3連勝で制した阪神との対戦となり、今月28日にオリックスの本拠地、京セラドーム大阪で第1戦が行われます。

プロ野球で1950年に今の2リーグ制が始まって以降、オリックスと阪神が日本シリーズで対戦するのは、オリックスの前身の阪急も含め、初めてとなります。

また、関西を本拠地とするチームどうしによる日本シリーズは阪神と、ソフトバンクの前身の南海が対戦した1964年以来59年ぶり2回目となります。

一方、ロッテは右ひじの炎症の影響で先月28日以来の登板となった先発の種市篤暉投手が1回に2点を失い、8回に9番の藤原恭大選手、9回に4番のポランコ選手がそれぞれソロホームランを打って1点ずつ返しましたが、あとが続かずファイナルステージ敗退となりました。

CSのMVP オリックス杉本裕太郎選手に

満員となった球場では試合後、セレモニーが行われ、中嶋聡監督にクライマックスシリーズの優勝旗が手渡されると、多くのファンが大きな拍手を送っていました。

クライマックスシリーズのMVP=最優秀選手には、21日夜の第4戦でタイムリーを打つなど、6安打3打点と活躍した選手会長の杉本裕太郎選手が選ばれました。

セレモニーでは阿部翔太投手が「きょうも応援ありがとうございました。日本シリーズも全員で勝つ」とあいさつし、選手や監督がクラッカーを鳴らすと、ファンからは再び、大きな拍手が送られていました。

《オリックス監督・選手 談話》

中嶋聡監督「『関西シリーズ』熱く盛り上げたい」

オリックスの中嶋聡監督は試合後のインタビューで「本当にしんどいゲームばかりだったので、勝ててホッとしている。ロッテの投手がみんなよくて点が入らない状況だったが、投手陣が最少失点で抑えてくれたことが勝ちにつながった」と振り返りました。

また、1回に先制となるツーランホームランを打った3番の森友哉選手については「なかなか点が入らないゲームだと思っていたが、初回にしっかり打ってくれて、勇気が出るホームランだった」とたたえました。

最後に2年連続の日本一を目指して戦う阪神との日本シリーズに向けて「みなさん待ち望んでいたと思うので『関西シリーズ』、熱く盛り上げていきたい」と意気込んでいました。

宮城大弥「緊張はしたが楽しめた」

6回無失点の好投で勝利投手となった先発の宮城大弥投手は「緊張はしたが、いい感じの緊張で楽しめたと思う。登板の間隔は空いていたが、やることは変わらないので一生懸命にやった」と振り返りました。

宮城投手から見たMVPは誰かと問われると、会見に同席した若月選手を挙げ「キャッチャーとして緊張した場面で助けてくれた」と感謝の気持ちを伝えました。

阪神との日本シリーズに向けては「阪神ファンの大きな声援に負けないように、頼もしい先輩がいっぱいいるので、一生懸命、腕を振っていきたい。日本一を目指してやりたい」と意気込んでいました。

森友哉「日本シリーズ うれしい」

21日夜の試合で先制のツーランホームランを打って勝利に貢献した森友哉選手は試合後の会見で「ホームランはうれしかったしほっとした。フォークボールを見逃していたので、まっすぐが来るだろうと思って打ちにいった」と振り返りました。

阪神との日本シリーズに向けては「これまでクライマックスシリーズは経験していたが、日本シリーズには行ったことがなかったのでうれしい。阪神も勢いがあると思うが、うちも負けないくらい勢いがある。チームに貢献できるならどこでも守るし、勝ちにこだわってやっていきたい」と決意を話していました。

若月健矢「ほっとしている」

オリックスの若月健矢選手は試合後の会見で、まず「ほっとしている気持ちです」と心境を語りました。21日夜の宮城大弥投手とのバッテリーについて「シーズン中は組むことが少なかったが、いい球がどんどん来ていい感じでいけたと思う。立ち上がりからすばららしかった」と振り返った上で、会見に同席していた宮城投手に対し「ナイスピッチ」と声をかけました。

阪神との日本シリーズに向けては「相手がどこであれ、気を取られずにやっていきたい。これからしっかり準備をしたい」と意気込んでいました。

途中交代の杉本裕太郎 左足首に痛み訴え松葉づえ

杉本裕太郎選手は21日夜の試合の8回の打席で三遊間にゴロを打ち走り出したところで、足を引きずるようなしぐさを見せました。そのまま走塁をやめて途中交代となりました。

球団によりますと、杉本選手は左足首に痛みを訴えているということで、近く、病院で診察を受けることを明らかにしました。今後については診断結果を踏まえたうえで検討するとしています。

杉本選手は試合後、左足首にギプスを付けたうえで、松葉づえをついて報道陣の前に姿を見せ「球団が言っているとおりです。痛みは走り出したときに出た。まだ病院に行けてないので、何が起きたかはわからない」と話していました。

紅林弘太郎は左手首に違和感

21日夜の試合でベンチ入りのメンバーから外れたショートの紅林弘太郎選手について、球団は左手首に違和感があることを明らかにしました。紅林選手はクライマックスシリーズファイナルステージの第3戦まで10打数3安打3打点の成績でしたが、21日夜の試合には出場していませんでした。

球団によりますと、左手首に違和感があったため出場を見送り、22日以降、病院で診察を受ける予定だということです。

《ロッテ 監督・球団社長 談話》

吉井監督「もっと勉強していきたい」

ファイナルステージ敗退となったロッテの吉井理人監督は「ここで負けてしまったのは、自分が最後まで先発陣をもたせられなかったのが1つだと思う。先発が足りず、きょうも投手リレーだったが短期決戦では、こういう戦い方はきついと感じた」と就任1年目で臨んだクライマックスシリーズを冷静に振り返りました。

その上で「どこで負けても負けは負けなので、自分たちになにが足りなかったのか、逆になにができたか、次のシーズンまでの期間に振り返ってもらって次に生かしてもらいたい」と話しました。

そして「打線は選手たちが目一杯頑張ってくれたが、こちらの作戦がまずかったのだと思う。この1年、野手について知らないことがたくさんあったので、もっともっと勉強していきたい」と今後に向けての決意を語りました。

高坂 球団社長“吉井監督の来季続投”明らかに

高坂俊介 球団社長は試合後、吉井監督の来シーズンの続投を明らかにし「この1年、強い組織、勝てるチーム作りに取り組んでもらった。データサイエンスへの理解も深く、近年変化が著しい日本のプロ野球でマリーンズの戦い方をアップデートしてくれた。リーグ優勝を成し遂げるために欠かせない存在だと思う」と話しました。

【解説】CS不調の森 第4戦での活躍の陰には

今シーズンオリックスに移籍した森友哉選手はレギュラーシーズンではチームトップの18本のホームラン、打率はリーグ4位をマークし、リーグ3連覇に貢献しました。しかし、クライマックスシリーズでは第3戦までわずか2安打、打率2割台と苦しんでいました。

不調の中、21日夜の第4戦で見せた豪快なバッティングの裏にあったのが、今シーズンから専属トレーナーとなった久米健夫さんの存在でした。

久米さんは森選手と同じ大阪桐蔭高校野球部のチームメートで大阪・堺市出身。久米さんとともに今シーズンは体幹に意識を向けてトレーニングを重ね「体の軸でバットを振る」スイングを心がけて好成績につなげてきました。

この2人、実は第3戦の試合後、一緒に車で球場をあとにしていました。

久米さんは「クライマックスシリーズではキャッチャーではなく、慣れないライトも守っていて疲れているかもしれない。それでもトレーニングで続けてきた体幹を意識して試合に入ってほしい」と伝えたということです。

一方の森選手、その言葉を受けて試合に臨み、結果を出しました。

森選手は「久米は自分のいいときも悪いときも知ってくれている。声のかけ方ひとつとっても、よいタイミングでかけてくれる。すごく感謝していると」と話していて、久米さんのアドバイスが大事な試合で生かされたのかもしれません。

日本シリーズの相手は大阪出身の2人にとってなじみの深い阪神。久米さんは「やってきたことを全部出して、打率よりもいいところで1本打つ活躍をして欲しい」と期待を寄せれば、森選手は「阪神ファンは圧力がすごいので冷静さを持ちながら戦いたい。失敗を恐れず、攻める気持ちを常に持ちながらいきたい」と決意を話していました。

【解説】調整続く佐々木朗希がベンチ入り 吉井監督の意図は

負ければロッテの敗退が決まるクライマックスシリーズ第4戦の試合前に発表されたベンチ入りメンバーの中には、ファーストステージ第1戦で先発した佐々木朗希投手の名前がありました。

佐々木投手はシーズン後半、わき腹のけがや体調不良で離脱が続き、ファイナルシリーズに入っても、吉井監督が「ぎりぎりの状態」と語るなど難しいコンディション調整が続いていました。

先発投手は登板日以外はベンチには入らないことが一般的で、負ければ敗退が決まる一戦でのリリーフでの登板も予想されました。

しかし、結局登板はなく、試合後に吉井監督は「試合で使うつもりはなかった」と明かしました。

ベンチ入りの理由について「言い方が違うかもしれないが、レギュラーシーズンは『予選』で、ポストシーズンが『本戦』だと思っている。ここから優勝を目指すのが今のプロ野球のルールだ。彼は先発しかやったことがないので、ふだんブルペンでなにが起こっているのか味わってほしかったというのと、ポストシーズンの重みを感じてほしかった」と話しました。

その上で「彼がどう感じたかは聞いていない。これから彼がいろんなことを考えてやってくれると思う。朗希らしく、郎希のやりかたでやってほしい。それをこちらは見守るだけで、間違った方向に行ったら直すヒントを出したい」と親心のようにも感じられる表現で今後のさらなる成長に期待を込めました。

佐々木朗希投手は試合後の取材で「シーズン前半についてはいい感じで投げられたがシーズン後半はチームに貢献できず、もったいなかった」と、後半戦開始直後に離脱してチームの失速の一因となり、一度は復帰したものの、順位争いが佳境を迎えていたレギュラーシーズン最終盤で再び離脱する結果となった自身の今シーズンを振り返りました。

そして、21日のブルペン待機を含めたクライマックスシリーズの戦いについては「すごく粘り強い試合が続いていたので、出番が回ってくると思って投げる準備はしていた」と話したうえで「今回、短期決戦の難しさやおもしろさを新たに経験できた。次は結果を出したい」と来シーズンの巻き返しを誓っていました。