食中毒500人超 駅弁メーカー吉田屋 社長が謝罪 青森 八戸

青森県八戸市の駅弁メーカー「吉田屋」の弁当を食べた人が相次いで体調不良を訴え、全国で500人以上が食中毒と確認された問題で、メーカーの社長が21日、初めて記者会見を開き、多くの人に健康被害を出したことについて謝罪しました。

八戸市の駅弁メーカー「吉田屋」の弁当を食べた人が相次いで下痢やおう吐などの体調不良を訴えた問題では、これまでに29の都道府県であわせて521人が食中毒と確認されています。

問題の発生から1か月余りが経過した21日、「吉田屋」の吉田広城社長が初めて記者会見を開き、「食中毒事故を通じて、弁当を製造することが社会的にこれほど大きな影響をもたらすことを改めて痛感した。責任は大きいと感じており体調不良になった人などに心からおわび申し上げる。また駅弁を愛するファンはじめ多くの人に弁当に対する信頼を失墜させてしまい申し訳なく思っている」と謝罪しました。

吉田社長「リスクを理解しないまま売り上げ重視した」

食中毒が発生した経緯について吉田社長は、問題の弁当が製造された日の1日当たりの発注数が1万8000個にのぼり、自社だけで対応できず外部にごはんの製造を委託したと説明したうえで、「不適切な温度管理の中、時間の経過に伴って菌が増殖するリスクを十分理解していなかった。過去の実績に基づいてリスクを理解しないまま売り上げを重視した。自分に慢心と油断があったと反省している」と話しました。

そのうえで再発防止策については、1日に製造する弁当の数を1万5000個までとした上で、外部にごはんの製造を委託しないことや製造中の温度管理や衛生管理を徹底することなどをあげました。

このほか吉田社長は「体調不良になった人への対応などを進めて、信頼回復を図りたい。営業再開に向けて保健所と調整している」と話し営業再開を目指す考えを示しました。

吉田屋で起きた食中毒問題とは

青森県八戸市の弁当メーカー「吉田屋」の弁当をめぐっては食中毒と確認された人が今月6日の時点で29都道府県のあわせて521人にのぼっています。

八戸市保健所によりますと、原因と見られる弁当は先月16日と17日までの消費期限の弁当あわせて59種類、2万2100個余りで、そのほとんどが商社を通じて全国各地に流通していたということです。

八戸市保健所は弁当から食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出されたことなどから、先月23日、弁当が原因の食中毒と断定し、「吉田屋」を営業禁止の処分にしました。

また、保健所はその後も調査を続け、今月16日、推定される主な原因について発表しました。

それによりますと、委託業者から仕入れたごはんについては従来より高い温度で受け入れを行い温度管理が不適切だったため施設内で冷却するまでの間に細菌が増殖した可能性があるとしたほか、仕入れたごはんの箱についてアルコールで拭き取る作業をしていないなど衛生管理も徹底されていなかったとしています。

八戸保健所はこうした管理の不徹底などが食中毒につながった可能性があるとして「吉田屋」に改善を指導しました。

一方、「吉田屋」は問題が起きて以降、ホームページでコメントを発表してきたものの記者会見は1度も開いておらず、青森県の宮下知事から「社会的な問題になっているにもかかわらずしっかりとした説明責任を果たしていない」などと指摘されていました。