ハマス 米国籍の親子2人を解放 各国など全員の解放へ取り組み

イスラム組織ハマスは20日、人質としていたアメリカ国籍の親子2人を解放したと発表しました。

ガザ地区ではおよそ200人の人質が捕らわれているとされ、各国などは全員の解放に向けて取り組むとしています。

今月7日からのイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの一連の衝突で、イスラエル側で少なくとも1400人、ガザ地区では少なくとも4137人が死亡し、双方の死者は5500人を超えています。

一方、イスラエル軍は、ガザ地区では、およそ200人の人質が捕らわれているとしていて、この中には、複数の外国人も含まれているとみられます。

こうした中、ハマスは20日、SNSでカタールによる仲介努力に応えたものだとして「人道的な理由からアメリカ国籍の母親と娘を解放した」と発表しました。

その後、イスラエル側は2人の無事を確認したと明らかにしました。

ただ、アメリカのブリンケン国務長官は、いまなおアメリカ人10人の行方が分からず、一部は人質になっているとして、ハマスに対して残りの人質全員を解放するよう求めました。

また、スイスのジュネーブに本部を置き、中立の立場から人質の解放に向けてハマスと接触しているとするICRC=赤十字国際委員会は、「2人が解放されたことはわずかな希望だ」と述べ、すべての人質の即時の解放と、停戦を求めました。

人質解放への対応についてアメリカのメディア、ブルームバーグが20日、複数の関係者の話として伝えたところによりますと、アメリカやヨーロッパ各国はカタールを介して進めている交渉の時間を稼ぐためイスラエルに対してガザ地区への地上侵攻を遅らせるよう迫っているとしています。

一方、激しい空爆が続くガザ地区では水や食料が不足し人道状況が日々悪化しています。

アメリカのバイデン大統領は「これから24時間から48時間以内に最初の20台のトラックが通過するだろう」と述べ、近くエジプト側からガザ地区に人道支援物資が運び込まれるとしています。

事態が切迫する中、各国などの取り組みが今後、人質の解放や人道状況の改善につながるかが焦点です。

バイデン大統領 声明「解放に協力 カタールやイスラエルに感謝」

アメリカ・ホワイトハウスは20日、バイデン大統領の声明を発表し、イスラム組織ハマスの人質となっていたアメリカ国籍の2人が解放されたことについて、協力したカタールやイスラエルに感謝するとともに、まだ拘束されている人質についても解放に向けて引き続き取り組んでいくとしています。

また、ホワイトハウスによりますとバイデン大統領は20日、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談を行い、人質の解放に向けて協議したとしています。

赤十字国際委員会 “2人をガザ地区からイスラエルに移送”

アメリカ国籍の人質2人の解放について、スイスのジュネーブに本部を置くICRC=赤十字国際委員会は20日、ミリアナ・スポリアリッチ総裁のメッセージ動画を公開し、ICRCが2人をガザ地区からイスラエルまで移送したことを明らかにしました。

そのうえでスポリアリッチ総裁は「2人が解放されたことはわずかな希望だ。私たちはこの紛争の影響を受けるすべての民間人を保護し、その苦しみを和らげる行動を引き続き求める」と述べ、すべての人質の即時の解放と、停戦を求めました。

赤十字国際委員会は、中立の立場から戦争の捕虜への支援などに取り組んでいて、今回も人質の解放に向けてイスラム組織ハマスと接触していることを明らかにしていました。

仲介役を務めたカタール「継続した対話の結果だ」

イスラム組織ハマスの人質となっていたアメリカ国籍の親子2人が解放されたことについて仲介役を務めたカタールの外務省報道官は20日、ロイター通信に対し「すべての関係者との数日間にわたる継続した対話の結果だ」と述べました。

そのうえで「対話がすべての国籍の人質の解放につながる」として引き続き交渉を続ける考えを示しました。

米 国務長官 ハマスに残りの人質の解放求める

アメリカのブリンケン国務長官は20日、記者会見で、アメリカ国籍の人質2人が解放されたとした上で、いまなおアメリカ人10人の行方がわからず、一部は、人質としてとらわれていると明らかにしました。

一方、イスラム組織ハマスが即時停戦を条件に人質の一部解放を提案していると伝えられていることに関連しブリンケン長官は「わたしはハマスの主張を額面どおりには受け取らない」と述べました。

その上で「すべての人質をただちに解放しなければならない」と述べ、ハマスに対し残りの人質全員を解放するよう求めました。