パ・リーグCS オリックスが勝利 3勝1敗 日本シリーズ進出王手

プロ野球、パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第3戦は、オリックスがロッテに2対0で勝ち、レギュラーシーズンでリーグ優勝したチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めて対戦成績を3勝1敗として3年連続の日本シリーズ進出に王手をかけました。

オリックス 終盤8回に均衡破り 日本シリーズ進出に王手

パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージはリーグ3連覇のオリックスと2位のロッテが対戦し、第1戦はオリックスが、19日の第2戦はロッテが勝って、オリックスがアドバンテージの1勝を含め2勝1敗として20日夜、京セラドーム大阪で第3戦が行われました。

オリックス 若月健矢選手が先制打

試合は両チーム無得点で終盤まで進み、オリックスは8回、2アウト三塁のチャンスで8番・若月健矢選手の先制タイムリーで均衡を破り、パ・リーグ首位打者の代打・頓宮裕真選手もタイムリーツーベースで続き、この回2点を奪いました。

オリックス 代打・頓宮裕真選手もタイムリー

投げては先発の東晃平投手が、緩急をつかったピッチングで5回無失点の好投をみせ、6回からは小木田敦也投手、山岡泰輔投手、宇田川優希投手と1イニングずつ無失点でつなぎました。

9回はベテランの平野佳寿投手が抑えてロッテ打線に最後まで得点を与えず、2対0で勝ちました。

この結果、オリックスはリーグ優勝のチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めて対戦成績を3勝1敗とし、日本シリーズ進出に王手をかけました。21日の第4戦で勝つか引き分ければ3年連続の日本シリーズ進出が決まります。

一方、ロッテは、今シーズン、リリーフとしての起用が続いた澤村拓一投手が先発して1回無失点に抑えたあと、リリーフ陣が粘ってつなぎ7回までオリックス打線に得点を許しませんでしたが、8回に西村天裕投手が2失点し敗れました。

《第4戦 予告先発(21日)》

▽オリックス:宮城大弥投手
今季、3年連続の2桁、10勝。ロッテ戦では6試合に先発し3勝負けなし。
▽ロッテ:種市篤暉投手
右ひじを痛め先月末に1軍を離脱し、20日、1軍に合流。

《オリックス 監督・選手談話》

中嶋監督「きょうの結果を次の試合につなげる」

中嶋聡監督は、試合を振り返り「なかなか点が取れない中『苦しいな』と試合を見ていた。ただ、このチームはこういう展開が似合う、これがうちの野球なんだなと思った」と話しました。

8回の若月選手の先制タイムリーについて「よく打ってくれた。もう何でもいいから、点が入れという気持ちだった」と祈っていたことを明かしました。

また、先発のマウンドに上がり5回を無失点に抑えた東投手については「東らしさを出して、思い切りよくいってくれた。ふだんなら5回では交代しないが彼にとってクライマックスシリーズは初めての経験だったので、考慮して早めにかえた」と話していました。

21日の試合に向けては「きょうの結果を次の試合につなげないといけない。もう1回、やらないといけないので、しっかり対策をしたい」と意気込みを語っていました。

(左)若月健矢選手(右)頓宮裕真選手

若月健矢「絶対に決めてやろうと言う気持ちで打席に」

8回に均衡を破るタイムリーを打った若月健矢選手は「追い込まれていたので絶対に決めてやろうと言う気持ちで打席に入りました。抜けたのを確認して自然とガッツポーズが出てしまいました」と振り返りました。

ロッテ打線を無失点に抑えた投手陣については「前の2試合とも初回に点を取られていたので、きょうは東がしめてくれてそのあとのピッチャーもよく投げてくれました。ナイスピッチャーです」と話しました。

頓宮裕真「みんなの声援が力に」

代打で貴重な追加点となる2点目のタイムリーを打った頓宮裕真選手は、終盤まで得点が入らない試合展開に「ベンチで『早く打ってほしい』と思っていました。若月選手が前の打席でタイムリーを打ってくれたので気軽に初球から打っていこうと決めていました。いい場面で使ってくれた監督に感謝しますし、みんなの声援が力になりました」と話しました。

《ロッテ 監督・選手談話》

吉井監督「最後の最後まで勝つチャンスを作ってくれた」

中継ぎ陣による投手リレーで20日の試合に臨んだ吉井理人監督は、「立ち上がりからピンチはあったがよく粘って、最後の最後まで勝つチャンスをみんなで作ってくれた」と選手たちをねぎらい、8回に登板して2失点だった西村天裕投手については「西村はああいう場面でいつも抑えてくれていたので、今回はやられてしまったがしょうがない。打球が飛んだコースが悪かった」とかばっていました。

チャンスを作りながらも0点に終わった打線については「ヒットは出るけど点が入らないというのはレギュラーシーズン中からの課題で、きょうはそこが出てしまった。改善できるようにやっていきたい」と話していました。

あと1敗でクライマックスシリーズ敗退の状況に追い込まれた中、21日の先発を右ひじのけがで1軍を離脱し、先月28日以来の登板となる種市篤暉投手に託すことについて「ぶっつけ本番になってしまうがやる気になってくれているので彼のピッチングをしてくれたらいいと思う」と期待を寄せました。

西村天裕「もっとできたことがあったのでは」

0対0の8回に5人目で登板し、2失点で負け投手となった西村天裕投手は、オリックスの若月健矢選手に先制のタイムリーヒットを打たれた場面について「ゴロを打たせたいとは思っていたが投げどころが悪く結果、間を抜かれてしまった。焦るところではなく、一塁が空いていたので無理してストライクストライクでなくてもよかったかなとも思う。もっとできたことがあったのではないかと思ってしまう」と悔しそうに振り返りました。

そして今後の戦いに向けて「切り替えて、やり返せるようにやっていきたい」と前を向いていました。

【解説】オリックス先発 東晃平“育成出身が好投”

オリックスの先発、23歳の東晃平投手は育成出身。去年はベンチ入りできずテレビで観戦していた大舞台に入団から6年で初めて立って結果を出しました。

「この舞台に立ててめちゃくちゃうれしかった。たくさんのお客さんが入っているのも分かっていて、球場の歓声も聞こえていた」。

東投手は試合後、晴れやかな表情で話しました。

2017年に神戸弘陵高校から育成で入団し昨シーズン中にようやく支配下登録されました。

入団時は食が細く「食事もトレーニングの一貫」として、とにかく食事に気を遣い食べる量を増やしました。70キロ台前半だった体重は現在およそ90キロ、20キロ近くも増えました。そのかいがあって今シーズンはストレートが最速155キロとなりました。

去年のクライマックスシリーズは宮崎県で行われる若手を育成する目的に設けられた「フェニックス・リーグ」に参加していてテレビでの観戦となり「宿舎の食事会場で試合を見ていたので、正直、あまり楽しくなかった」と振り返ります。

その悔しさを忘れずに迎えた今シーズンはストレートを軸に負け無しで6勝を挙げ、第3戦の先発を任されました。

ところが1回、いきなりヒットとフォアボールで一塁・二塁のピンチ。

東投手は「緊張では無く、気持ちが高ぶりすぎてしまった。調子は悪くなかったので、100%の力で投げ込んだらうまくいった。ここを0点で切り抜けられたので落ち着いて投げられた」と尻上がりに調子を上げ、5回を無失点で大役を果たしました。

オリックスではクライマックスシリーズファイナルステージの舞台で育成で入団したピッチャーが先発するのは初めてで、今度は日本シリーズでの登板を目指します。