プロ野球 阪神が9年ぶり日本シリーズへ CSファイナル 広島破る

プロ野球・セ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージ第3戦は阪神が広島に4対2で勝ち、リーグ優勝したチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めた対戦成績を4勝0敗とし、9年ぶりの日本シリーズ進出を決めました。

阪神 CS負けなしで日本シリーズへ

セ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージ第3戦は甲子園球場で行われ、18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神が19日まで2連勝でアドバンテージの1勝を含めて3勝0敗と日本シリーズ進出に王手をかけ、レギュラーシーズン2位の広島と対戦しました。

阪神は1点を追う4回、2アウト一塁二塁と攻め、6番・ノイジー選手と7番・坂本誠志郎選手が連続タイムリーで2点を挙げ逆転しました。

5回に同点に追いつかれましたが6回、2アウト一塁二塁のチャンスで坂本選手が20日2打席連続のタイムリーで1点を勝ち越しました。

投げては、先発の大竹耕太郎投手が5回2失点と試合を作り、2人目の桐敷拓馬投手も2回を投げノーヒット、無失点に抑える好リリーフを見せました。

9回は抑えの岩崎優投手が締めて阪神が4対2で勝ちました。

3連勝の阪神は、リーグ優勝のチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めて対戦成績を4勝0敗とし、レギュラーシーズン2位から勝ち上がった2014年以来、9年ぶりの日本シリーズ進出を決めました。

広島は1点を追う5回、1アウト一塁三塁のチャンスで4番・堂林翔太選手の犠牲フライで同点に追いつきましたが、その後は阪神のリリーフ陣を打ち崩すことができず、3連敗でファイナルステージ敗退となりました。

◆MVPには木浪聖也 第2戦でサヨナラ打

クライマックスシリーズのMVP=最優秀選手には19日の第2戦でサヨナラのタイムリーヒットを打つなど活躍した木浪聖也選手が選ばれました。

試合後の球場ではクライマックスシリーズの優勝セレモニーが行われました。まず岡田彰布監督にクライマックスシリーズ優勝のシャーレが手渡され、ファンから大きな拍手が送られました。

そしてシリーズのMVPが発表され、19日の第2戦でサヨナラタイムリーを打つなど3試合で10打数5安打と活躍した木浪選手が選ばれました。

このあと監督と選手たちは記念撮影を行って、喜びを分かち合っていました。

木浪聖也「チームに貢献できたのが一番よかった」

木浪選手は「MVPになれるとは思わなかったのでうれしい。チーム一丸となって勝ちに行く姿勢を常に見せてきたので、それがよかったと思うし、チームに貢献できたのが一番よかった。守備から集中して入っていけたのが打撃につながったと思う」と振り返りました。

日本シリーズに向けては「まだまだ先があるが、1勝、1勝、目の前の試合を勝って日本一目指して頑張ります」と意気込んでいました。

阪神 岡田監督「優勝チームとして負けられない気持ちがあった」

阪神の岡田彰布監督は試合後のインタビューで「投手陣はシーズンどおりにやってくれたが打つ方はあまりよくなかった。苦しいゲームだったが、優勝チームとして負けられない気持ちがあったので勝ちきれたと思う」と振り返りました。

3試合でそれぞれ先発した村上頌樹投手、伊藤将司投手、大竹耕太郎投手については「3人ともあまり調子がよくなかっと思うが粘り強く投げてくれた。それが3連勝につながったと思う」とたたえました。

最後に38年ぶりの日本一を目指して戦う日本シリーズに向けて「もう1度、打つ方も調子を上げて頑張るので応援よろしくお願いします」と話していました。

広島 新井監督「全員に『ありがとう』と言いたい」

広島の新井貴浩監督は、指揮官として初めて臨んだクライマックスシリーズで、ファーストステージはDeNAに2連勝した一方、ファイナルステージは阪神に3連敗を喫しました。

新井監督はファイナルステージでの戦いについて「最後まで諦めずに3試合とも戦ってくれていい試合だったと同時に、タイガースは強いなと感じた。クライマックスシリーズが初めての選手にはいい経験になったと思う」と振り返り、采配については「チームを預かる者として、勝てなかったことに悔いがある」と話していました。

監督1年目の今シーズン、大きな補強がなく「戦いながら強くなっていく」と臨んで2位となり、5年ぶりにクライマックスシリーズに進出したチームについて「開幕前は評価が低いチームだったが、選手が『なにくそ』と思って頑張ってくれたと思う。開幕時点のチーム力から成長してくれている。みんなの力はそんなものではないと思っていたし、戦いながら成長してくれた。選手の頑張りを戦っていく中で感じたので、全員に『ありがとう』と言いたい。この経験を来年につないでいかないといけない」と話していました。

【解説】阪神“最後は ことしのスタイルで”

リーグチャンピオンの強さを示した阪神が日本シリーズ進出を決めた試合は、これまでの2試合とは変えてフォアボールを選んで地道に塁に出たランナーを得点につなげる今シーズンのスタイルでした。

岡田監督は「ことし1年の得点のスタイルが最後の最後、1番大事なところで出た」と納得の様子でした。

リーグチャンピオンとして初めてクライマックスシリーズに臨んだ18日の第1戦。シーズンを通して貫いてきた攻撃の形とは違っていました。

今シーズンの優勝を語るうえで、欠かせないのがリーグ断然トップをマークしたフォアボールの数。岡田監督はボール球を見極める意識を徹底させ、地道に出塁して得点につなげてきました。

しかし、この試合ではバッターが積極的に“早打ち”。

特に5回の攻撃では木浪聖也選手、村上頌樹投手、近本光司選手がいずれもファーストストライクを打ち3連続ヒットを絡めて3点を奪い、4対1で勝利しました。

この試合、選んだフォアボールはわずか3個。

「なぜなのか…」

岡田監督は「シーズン中の戦い方を見ていて相手はフォアボールが一番、嫌だと感じていた。最初からどんどんストライクが来るから振っていってもいいと選手に伝えていた」と相手の思惑を察し、逆手に取ったことを明かしました。

そして、20日の第3戦は第1戦と第2戦とは変えて、今シーズン続けてきた攻撃のスタイルでした。

4回、4番の大山悠輔選手がフォアボールでつないでチャンスを作り、連続タイムリーで2得点。6回には6番・ノイジー選手がフォアボールでつなぎ、続く坂本誠志郎選手が決勝タイムリー。

さらに7回、森下翔太選手がフォアボールを選びました。これが押し出しとなり、貴重な追加点となりました。

第3戦の4得点にはすべてフォアボールが絡み、この試合は合わせて7個を選びました。

岡田監督は「やっぱり接戦で大事なところになったらストライクで攻められず、最初から簡単にはストライクをとれないということ。ことし1年の得点のスタイルが最後の最後、1番、大事なところで出た」と納得の様子でした。

積極的なバッティングを続ける攻撃の形から、じっくりボールを選んでの地道な出塁を得点につなげるいつものスタイルまで、知将の読みをもとに臨機応変に対応する阪神打線。

38年ぶりの日本一がかかる次の戦いでは、どのような攻め方で相手から得点を奪うのか目が離せません。