“料金振り込まれず”ブッキング・ドットコムを宿泊施設側提訴

オランダに本社がある宿泊予約サイト大手の「ブッキング・ドットコム」から利用客が支払った宿泊料金が振り込まれないとして、全国11の宿泊施設のオーナーが本社と日本支社に対し3600万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。

20日、東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、全国8都府県にあるホテルや旅館など11の宿泊施設のオーナー10人です。

訴状などによりますと、ことし7月以降、予約サイトを通じて利用客が支払った宿泊料金が、支払い予定日を過ぎても「ブッキング・ドットコム」から宿泊施設側にほとんど振り込まれていないということです。

このため、オランダの本社と日本支社に対し3600万円余りの損害賠償を求めています。

オーナーは、これまで複数回にわたって振り込むよう催促しているものの、日本支社からは「本国に問い合わせている」、「オランダの本社にしか分からない」などといった回答が繰り返されているということです。

この影響で、オーナーの中には、従業員の給与が支払えなかったり、不動産を売却して資金を確保したりしたケースがあるということです。

代理人の弁護士によりますと、訴えを起こしたオーナーのほかにも、50を超える宿泊施設から相談があり、振り込まれていない宿泊料金は億単位になるとみられるということです。

ブッキング・ドットコムの日本支社は、訴状が届いておらず内容を確認していないとしたうえで「支払いシステムの更新が一部のパートナーにご迷惑と影響を与えたことを十分に認識しています。計画されたメンテナンス作業の一部でしたが、計画通りに進みませんでした。このような遅延が発生し、ご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」とコメントしています。

原告「非常に残念 早期解決を」

原告の1人、松野久美子さんは都内で12か所の宿泊施設を経営していて、ブッキング・ドットコムとは5年ほど前から契約しています。

宿泊予約全体のおよそ7割がブッキング・ドットコムの予約サイトからで、その影響力は非常に大きいといいます。

これまでトラブルはありませんでしたが、ことし7月から入金が滞り始め、390万円あまりが振り込まれていないということです。

松野さんは、会見で、「世界最大級のプラットフォームで信用して取り引きしていた。ブッキング・ドットコムに頼るしかない実情のなか、このような仕打ちは非常に残念だ。早期解決を求めたい」と話しました。

斉藤国交相「支払い遅延続いている 会社に対応求めた」

斉藤国土交通大臣は閣議のあとの会見で、ことし8月、ブッキング・ドットコムに対し、宿泊施設の事業者への状況の説明と迅速な対応を指示したことを明らかにしたうえで「今も支払いが遅延する状況が続いている。そのため、10月11日にも再度、会社に対応するよう求めた」と述べました。