リニア開業 静岡県内新幹線停車増だと経済効果1600億円 国交省

国土交通省は、「リニア中央新幹線」の開業に伴って、東海道新幹線が静岡県内の駅に停車する回数を増やした場合、10年間で1600億円あまりの経済効果が生まれるという試算をまとめました。具体的な効果を示すことでリニア中央新幹線の着工を認めていない静岡県側の理解につなげたい考えです。

国土交通省によりますと、リニア中央新幹線が開業した場合、東京と、名古屋や大阪の間の輸送需要が東海道新幹線からリニア中央新幹線にシフトして従来の新幹線の輸送力に余力が生じる見込みだということです。

国土交通省ではこの余力を活用して静岡県内で東海道新幹線の停車回数を増やした場合の経済効果を試算し、公表しました。

それによりますと、東海道新幹線が静岡県内の駅で停車する回数を現在の1.5倍程度に引き上げた場合、利便性が向上して県外からの観光客が増えることなどからリニア中央新幹線の停車駅のない静岡県でも経済効果は2046年までの10年間で1679億円に上り、のべ1万5000人あまりの雇用効果もあるとしています。

「リニア中央新幹線」はJR東海が2027年の開業に向けて工事を進めていますが、静岡県は、南アルプスの生態系に影響があるなどとして県内での着工を認めていません。

国土交通省としては、こうした試算を示すことで、静岡県側の理解につなげたい考えです。

斉藤国土交通大臣は、20日の閣議のあとの記者会見で「リニアの開業は、静岡県や東海エリア全体にとって大きな効果をもたらすことが期待される。結果を東海道新幹線沿線の関係者に説明し、意義や効果について、一層の理解を得ていきたい」と述べました。