紛争から逃れてきた人 難民に準じ保護対象へ 支援金支給の考え

ウクライナを念頭に、紛争から逃れてきた人などを難民に準じて保護の対象とする新たな制度について、小泉法務大臣は記者会見で、希望すれば半年かけて日本語の教育や生活に必要な情報を伝えるガイダンスを行い支援金を支給する考えを明らかにしました。

難民の認定基準を満たさないケースでも、ウクライナを念頭に、紛争から逃れてきた人などを難民に準じて保護の対象とする新たな制度が、ことし12月1日から始まります。

これについて、小泉法務大臣は記者会見で「最後の詰めをしているところだが、生活支援金の支給に加え、日本語教育や生活ガイダンスも受講できるようになり、支援がより手厚くなる」と述べました。

新たな制度では難民条約上の難民と同じように「定住者」の在留資格が与えられます。

そのうえで、希望すれば半年かけて日本語の教育や生活に必要な情報を伝えるガイダンスを受けられ支援金が支給されます。

さらに、ハローワークによる就労支援や専門の相談員による生活相談も利用できます。

また、現在、日本に親族や知人がいないウクライナの人たちに行っている、一日当たり2400円を支給する支援などは、新たな制度が始まっても最長2年間は受けられるということです。

「補完的保護対象者認定制度」支援の詳細は

紛争地域から避難している人などを難民に準じる形で保護する「補完的保護対象者認定制度」は、ことし6月の入管法改正で設けられました。

自国で迫害を受けるおそれがあるのに、その理由が条約で定められた、
▼人種、
▼宗教、
▼国籍、
▼特定の社会的集団の構成員、
▼政治的意見の、
いずれにも該当せず、難民の対象とされない人を、「補完的保護対象者」と認定し、日本で安定した生活が送れるよう支援します。

12月の施行に向けて出入国在留管理庁は20日、支援の内容を公表しました。

認定を受けると、「難民」の場合と同様に「定住者」の在留資格が与えられ、更新の手続き無しで最長の場合で5年間、就労の制限なく日本で暮らすことができます。

また、希望者には、日本で自立した生活を送るための「定住支援プログラム」を提供するとしています。

日本語のほか、日本の法律やごみ出しのしかたといった日常生活のルールなどを学ぶことができ、受講のために必要がある場合は宿泊施設も用意するということです。

ハローワークを中心とした就労支援や、相談員による生活相談なども受けられる予定です。

認定を希望する人は、12月1日以降、住んでいる地域を管轄する出入国在留管理局に申請し、審査を受ける必要があります。

新たな制度によって、10月11日時点で国内に2000人余りいるウクライナからの避難者などが、今より安定した生活を送れるとみられています。

一方、救済には不十分だという指摘もあり、認定NPO法人の「難民支援協会」は、「紛争から逃れてきた人の中にも本来は難民として保護されるべき人がいる。制度ではあくまでも『迫害』からの保護としていて、諸外国の同様の制度より対象が狭くなっている」と話しています。