臨時国会召集 物価高への対応などで論戦交わされる見通し

先の内閣改造後、初めての本格的な論戦の舞台となる臨時国会が20日、召集されました。岸田総理大臣が、物価高への対応など政権の取り組みを丁寧に説明する考えを示したのに対し、立憲民主党の泉代表は、政府の経済対策の遅れを批判したうえで、対案となる政策を訴えていくと強調しました。

第212臨時国会が20日に召集され、参議院では午前10時からの本会議で常任委員長の選任などが行われました。

衆議院では正午からの本会議で細田議長の辞任が許可されたあと、後任の議長に自民党の額賀元財務大臣が選出される見通しです。

そして、午後3時から天皇陛下をお迎えして開会式が行われます。

これに先立って、岸田総理大臣は記者団に対し「経済政策や物価高対策などについて議論を深めることを通じて、岸田政権がどのような変化をチャンスに変えようとしているか、そのチャンスを力に変えようとしているか、丁寧に説明していく国会にしたい」と述べました。

一方、立憲民主党の泉代表は党の会合で「政府の施策が遅いことは決定的な問題で、われわれの経済対策として、必要なところに重点的に手当てすることを訴えていきたい。たまりにたまった国民からの思い、苦しみ、痛みを、この国会でぶつけたい」と述べました。

臨時国会の会期は12月13日までの55日間で、岸田総理大臣の所信表明演説は、週明け23日に行われ、翌24日から3日間、各党の代表質問が予定されています。

政府・与党は新たな経済対策を策定したあと、裏付けとなる今年度の補正予算案を速やかに国会に提出し、成立を目指すことにしています。

これに対し、野党側は物価高への政府の対応や、先の内閣改造で新たに就任した閣僚の資質などをただしていく方針です。

また、岸田総理大臣は、期限付きの所得税の減税を検討するよう、与党に指示することにしていて、減税を含む負担軽減策をめぐっても論戦が交わされる見通しです。

松野官房長官「国会審議 誠実に対応」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「政府としては、それぞれの法案などの趣旨や必要性をしっかり説明して国会審議に誠実に対応していきたい。足元の物価高から国民生活を守り、賃上げと投資拡大の流れを強化することなどの観点から、真に必要で効果的な総合経済対策を取りまとめ、その後速やかに補正予算案を編成し成立を目指したい」と述べました。

鈴木財務相「財政状況 厳しさ増す 政府としてやるべき事を」

岸田総理大臣が与党に対し、期限付きの所得税の減税を検討するよう指示することについて、鈴木財務大臣は、閣議のあとの会見で減税の効果や財政に与える影響を問われたのに対し、「所得減税も含めて、経済対策に盛り込まれる政策や仕組みが明らかではない中で、コメントすることは困難だ」と述べるにとどめました。

そのうえで、検討される減税も含めて経済対策を実施することについて、鈴木大臣は「日本の財政状況はコロナ禍の影響で厳しさが一層増している。一方で今は価格高騰が国民生活にいろいろな影響を与えている。財政状況を早くコロナ前に戻し、財政規律を守るという基本的な考えの中でも、政府としてやるべきことはやらなければならない」と述べ、足元の物価上昇への対策に取り組む必要があるという考えを示しました。

自民 世耕参院幹事長「非常に厳しい日程 緊張感持って取り組む」

自民党の世耕参議院幹事長は、党の参議院議員総会で「この国会は補正予算案が提出されるうえ、岸田総理大臣や閣僚の海外出張も複数セットされる予定で、非常に厳しい日程になることが想定される。緊張感を持って出口を預かる参議院として取り組みたい」と述べました。

その後の記者会見で「生活困窮世帯には給付金が非常に助けになるが、税を払っている年収の層でも物価高が生活を相当圧迫し消費のブレーキにつながっている面があり、減税も1つの有効な手段だ。減税する場合、手取りが増えたという実感がわくことも重要だ」と述べました。

その上で所得税減税の具体的な方法について「テクニカルな検討も必要なので、党での議論を待ちたい。定率減税は相当所得の高い世帯までメリットを受けることになり、おそらくあり得ないだろう」と述べました。

立民 泉代表「国民からの思いをぶつけたい」

立憲民主党の泉代表は、会派の参議院議員総会で「いよいよ国会がスタートするが、ここまで、経済対策も国会の開会も遅れたこと自体が国難だ。物価高の中、政府の施策が遅いことは決定的な問題で、われわれの経済対策として、必要なところに重点的に手当てし、未来への投資をしていくことを訴えていきたい。たまりにたまった国民からの思い、苦しみ、痛みを、この国会でぶつけたい」と述べました。

また、記者団に対しては「茶番であり芝居だ。『減税』ということばを衆参の補欠選挙の前にただ使えばいいということで、真剣さや、どういう人たちを救いたいのかメッセージが伝わらないまま、ことばだけが踊っている。こういう姿勢は不誠実だ」と批判しました。

その上で「所得税の減税を採用する場合は、給付も必ずセットにしないと生活の苦しい方に支援が行き渡らない。また、減税が行われるのはずいぶん先になり、当面、何をするのかも疑問だ。立憲民主党が主張する『インフレ手当』の3万円をいち早く届け、子育て世帯への給付などを行う方が国民生活に役立つことを訴えたい」と述べました。

維新 馬場代表「効率性の高い経済対策へ 厳しく議論」

日本維新の会の馬場代表は、党の代議士会で「臨時国会の最大の課題は経済対策だ。わが党は社会保険料の軽減や消費税の減税などの経済対策を出している。岸田総理大臣はついに『増税メガネ』というあだ名が嫌になって、所得税減税を指示するやに報道されている。困窮する国民が日々増えている中で、即効性があり、効率性の高い経済対策をやっていくよう厳しく議論していきたい」と述べました。

公明 山口代表「日本経済 成長軌道に乗せる正念場に」

公明党の山口代表は、党の両院議員総会で「この国会の焦点は経済対策の裏付けとなる補正予算案の審議だ。物価高から国民生活を守り、持続的な賃上げの好循環を生み出すことで日本経済を成長軌道にしっかり乗せていくための正念場となる」と述べました。

また「物価高対策で税制を活用するということで、岸田総理大臣から与党の政務調査会長と税制調査会長に指示があると聞いており、きのう私にも電話があった。内容はきょう示されると思うので、しっかり具体化していきたい」と述べました。

共産 志位委員長「時限的な減税 焼け石に水」

共産党の志位委員長は、党の国会議員団総会で「岸田政権の行き詰まりは目を覆うばかりだ。国民不在の政治に対し、不信と怒りが広がっている。岸田政権と正面から対決するとともに、暮らしでも平和でも、こうすれば日本がよくなるという提案を示し、国民に明るい希望を届ける論戦に取り組みたい。時限的な所得税の減税では、今の物価高騰に苦しむ国民の暮らしを守るうえでは、焼け石に水だ。そもそも所得税の減税は所得の少ない人への恩恵は少ない。減税するのであれば、消費税を5%に引き下げ、インボイスを中止することが何よりも大事だ」と述べました。

国民 玉木代表「国民に直接届く生活減税 必要性訴える」

国民民主党の玉木代表は、党の代議士会で「内閣改造のあと新しい岸田内閣になって初めての本格論戦の場なので、われわれが取りまとめた経済対策をしっかりと訴える場にしたい。特に、所得税、ガソリン税、消費税の減税をはじめとした国民に直接届く生活減税を中心に必要性を訴えていく」と述べました。