米バイデン大統領 「イスラエル ウクライナ支援は重要」と演説

アメリカのバイデン大統領は国民向けに演説し、イスラエルを攻撃するイスラム組織ハマスとウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領を並べて非難し、イスラエルとウクライナへの支援はアメリカの安全保障にとって重要だと強調しました。その上で、20日、議会に対し、両国をともに支援するための予算を要請すると明らかにしました。

バイデン大統領は日本時間の20日午前9時からホワイトハウスの執務室で国民向けに演説しました。

この中で、バイデン大統領は、イスラエルを攻撃するイスラム組織ハマスを「テロリストだ」と呼ぶとともにウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領を「独裁者だ」と、並べて厳しく非難しました。

その上で「テロリストや独裁者が報いを受けなければ彼らはさらなる混乱と死、そして破壊を引き起こす。アメリカや世界に対する脅威は 増大し続ける」と述べ、イスラエルとウクライナへの支援はアメリカの安全保障にとって重要だと強調しました。

そして、議会に対し、20日、両国をともに支援するための予算を要請することを明らかにしました。

その上でバイデン大統領は「アメリカはいまもなお、世界の道しるべだ」と述べ、世界の安全保障に強く関与する姿勢を打ち出しました。

アメリカの複数のメディアは、バイデン大統領が要請する予算の総額はおよそ1000億ドル、日本円にして14兆9000億円規模になると報じています。

大統領執務室からの演説は、アメリカが重大な局面にあるときに行われ、バイデン大統領はイスラエルとウクライナをともに支援するための巨額の予算について国民に広く理解を求める狙いがあったとみられます。

バイデン大統領 演説の内容

「ハマスはパレスチナ人代表ではない」

イスラム組織ハマスについて「ハマスはパレスチナ人の代表ではない。ハマスはパレスチナの市民を人間の盾として使っている。彼らのせいで、罪のないパレスチナ人の家族が大きな被害を受けている」と述べて批判しました。

「『二国家共存』を諦めない」

「私たちは平和を諦めないし、イスラエルとパレスチナという『二国家共存』を諦めない。イスラエルとパレスチナには安全で、尊厳と平和が保障された生活を送る権利がひとしくある」と述べました。

「平和望むパレスチナ人の尊厳無視はいけない」

「ガザの病院の爆発を含め、パレスチナの人の命が失われた悲劇について胸を痛めている。平和を望んでいる罪のないパレスチナ人の人間としての尊厳を無視してはいけない」と述べました。

「アメリカや世界に対する脅威は増大し続ける」

「ウクライナやイスラエルの戦いは遠い出来事と感じるだろうが、なぜこれらを成功させることがアメリカの国家安全保障にとって不可欠なのかを話したい。テロリストや独裁者が代償を払わない時、彼らはさらなる混乱と死、そして破壊を引き起こす。アメリカや世界に対する脅威は増大し続ける」と述べました。

「あらゆる形の憎しみを否定」

「ここアメリカでは私たちが何者であるかを忘れてはならない。イスラム教徒であれ、ユダヤ教徒であれ、誰に対するものであれ、あらゆる形の憎しみを否定する。私たちは偉大な国だ」と述べました。

ロシア大統領府報道官 強く反発しアメリカをけん制

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日「責任ある国家のリーダーにふさわしくない論調だ。ロシアや、われわれの大統領に対するそうした論調は受け入れられない」として強く反発しました。

そのうえで「アメリカはロシアを封じ込めようとしてきたが、それは効果的ではなかった。今後も効果はないだろう」と述べ、ウクライナへの軍事支援を続けるアメリカをけん制しました。