【20日詳細】西岸などで衝突拡大懸念 ガザの人道状況 日々悪化

イスラエル軍が空爆を続けるなかガザ地区の人道状況は日々悪化していますが、20日にもエジプト側から始まる予定だった人道支援物資の搬入は遅れています。一方、イスラム組織ハマスは金曜日に行われるイスラム教の集団礼拝にあわせてヨルダン川西岸などで抗議活動を呼びかけていて、衝突の拡大が懸念されています。


※20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

《イスラエル・パレスチナの動き》

OCHA “ガザ地区への人道支援物資の搬入 21日以降に”

OCHA=国連人道問題調整事務所の広報官は20日、スイスで開いた記者会見で、ガザ地区への人道支援物資の搬入についての交渉が続いているとしたうえで、搬入が始まるのは21日以降になるという見通しを示しました。

物資の搬入をめぐっては、国連側は支援物資の一環として発電機などに使用する燃料の搬入を求める一方、イスラエル側が認めない姿勢を示しているということで、搬入する支援物資の量や条件などについて、交渉が続いているとみられます。

UNRWAスタッフ2人が死亡 死者は計16人に

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は20日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘でガザ地区で新たにUNRWAのスタッフ2人が死亡し、これまでの死者は合わせて16人にのぼっていると発表しました。

また主にガザ地区南部でUNRWAが管理する避難所には合わせて50万人あまりが身を寄せ過密状態になっているほか、食料や飲み水の提供は限られているということです。

その上で避難所は水不足のため、公衆衛生上のリスクが高まっていると指摘しています。

医薬品の在庫はおよそ15日分と非常に枯渇していているとしていて住民を取り巻く状況は悪化の一途をたどっています。

イスラエル軍 支援物資の搬入時期は未定も検問所開放に向け交渉

ガザ地区への支援物資の搬入が遅れる中、イスラエル軍の報道官は20日、「ラファ検問所からの支援物資の搬入について多くの疑問があることは承知している。現時点では未定だ」と述べて、搬入の具体的な時期は決まっていないことを明らかにしました。

そのうえで、検問所の開放に向けて交渉が進められているとしています。一方で、「われわれは拘束したテロリストを尋問し、多くの情報を集めている。われわれの軍事目標はリーダーに至るまでハマスを解体することだ」と述べて、イスラム組織ハマスに対する攻撃を続ける姿勢を強調しました。

英BBC “ハマスが一部人質を即時停戦条件に解放 提案”

イギリスの公共放送BBCは、イスラム組織ハマスが、ガザ地区でとらえている人質の一部について、即時停戦を条件に解放するとイスラエル側に提案したと20日、伝えました。

しかし、イスラエル側は今のところ、これに合意していないということです。

ガザ地区でとらわれていることが確認された人質について、イスラエル軍の報道官は19日、203人にのぼると発表しています。

BBCは「人質がイスラエル軍の指揮官にとって 地上侵攻の計画を複雑にする要因となっている」とし、「人質の解放が交渉で実現できれば、一人ひとりが生きて帰れる可能性が高くなることは明らかだ」と伝えています。

ガザ地区北部・ヨルダン川西岸 難民キャンプで犠牲者相次ぐ

ロイター通信は19日、ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプでのイスラエル軍による一連の空爆により、18人が死亡したと伝えています。

また、パレスチナの保健当局はヨルダン川西岸のトルカレムにある難民キャンプでも、19日にイスラエル側との衝突で子ども5人を含む13人が死亡したとしています。

翌日の20日にこの難民キャンプで撮影されたとしてロイター通信が配信した映像では建物の壁が壊れて中がむき出しになっているほか、あたり一面でがれきが山のようになっています。難民キャンプで暮らす住民は「イスラエル側の襲撃は24時間以上続きました。電気もインターネットもなく、携帯も充電できず、ニュースを見ることもできません」と話していました。

国連事務総長 ラファ検問所のエジプト側に到着

国連のグテーレス事務総長は現地時間の20日午後1時ごろ、日本時間の午後7時ごろ、エジプトとガザ地区との境界にあるラファ検問所のエジプト側に到着しました。

グテーレス事務総長は「この壁の向こうでは200万人の人々が水も食料も、医薬品も燃料もなく、戦火の中で苦しんでいる。なるべく早くできるだけ多くのトラックを動かさなければならない」と述べ、ガザ地区への人道支援物資の一刻も早い搬入を求めました。

また、「すべての当事者と搬入に向けた条件を詰めている」と述べ、人道支援物資の搬入に向けて国連としても調整を続けていると強調しました。

ラファに避難のNHKスタッフ 人道支援と停戦の必要性訴える

19日夜、ガザ地区では住民が身を寄せていたギリシャ正教の教会の施設が空爆され、教会の関係者によると少なくとも8人が死亡しました。

ガザ地区で人道危機への懸念が高まるなか20日にも人道支援物資を積んだトラックがエジプト側からガザ地区南部のラファ検問所に到着する予定となっていましたが、空爆による検問所周辺の被害などから搬入が遅れています。

ラファに避難しているNHKのスタッフは現地時間の20日朝に送ったボイスメッセージで「飲み水が不足し商店の在庫が尽きかけている。一緒に避難している10人ほどの子どもたちはみな熱を出している。精神的なダメージも受けている。避難を5回もしたがガザに安全な場所などない」と話し、人道支援と停戦の必要性を訴えていました。

イスラエル 北部住民を政府用意の宿泊施設に退避へ

イスラエル軍は20日、レバノン国境に近いイスラエル北部の町、キリヤット・シュモナの住民を政府が用意する宿泊施設に退避させると発表しました。

イスラエル北部ではこのところ、レバノンのイスラム教シーア派組織のヒズボラなどによるロケット弾による攻撃などが相次ぎ、けが人がでているほか、イスラエル軍もヒズボラの拠点に反撃し緊張が高まっています。

双方の死者は5100人超 人道支援のトラック到着せず

イスラエル軍によるガザ地区への激しい空爆は19日も続き、今月7日以降の一連の衝突ではイスラエル側で少なくとも1400人が死亡した一方、ガザ地区の死者は3785人に増え、双方の死者は5100人を超えています。

イスラエル軍による地上侵攻が近いともされる中、ガザ地区との境界に近いイスラエル南部のアシュケロンでは19日、戦車などの軍用車両が集結している様子が確認されました。

ネタニヤフ首相はガザ地区周辺に展開している前線の部隊を視察し「全国民が君たちを後押ししている。われわれは敵に最大限の打撃を与え勝利するだろう」と激励しました。

またガラント国防相は「作戦は大規模で難しいものになるが、われわれは最後までやり遂げる。まもなくガザ地区を中から見ることになるだろう」と述べ、地上侵攻が近いことを示唆しました。

人道危機への懸念が深まるなか、18日にはアメリカのバイデン大統領の働きかけでエジプトからガザ地区に人道支援物資を積んだトラック20台が入ることが合意されています。

しかしこれまでに到着したトラックはなく、水や食料が不足し事態が切迫するなか一刻も早い物資の搬入が待たれています。

こうした中、イスラム組織ハマスは金曜日に行われるイスラム教の集団礼拝にあわせて、エルサレムやヨルダン川西岸などで抗議活動を呼びかけています。

パレスチナの保健省によるとヨルダン川西岸のトルカレムでは19日、イスラエル側との銃撃戦で、子どもを含む13人のパレスチナ人が死亡していて、衝突が拡大することへの警戒感が広がっています。

“イスラエル軍の空爆で10人以上死亡 40人けが”

AP通信は病院の医師の話として、パレスチナのガザ地区南部のハンユニスで、19日、イスラエル軍による空爆があり、10人以上が死亡し、40人がけがをしていると伝えました。

また、ロイター通信が配信した映像では、子どもや国連のベストを着た人が、救急車などで次々と病院に搬送される様子が確認できます。

病院での爆発 米情報機関が分析“死者数は100人~300人の間”

数百人が死亡したガザ地区にある「アハリ・アラブ病院」での爆発をめぐりガザ地区の保健当局はこれまでに確認された死者の数を471人としています。

これについてロイター通信は19日、独自に入手したとするアメリカの情報機関の分析をまとめた報告書の内容を伝えています。

それによりますと、報告書では爆発による死者数を「100人から300人の間で、かつ、その中でも低い方の数字になるだろうと推定している」ということです。

また、被害については病院の構造的な損傷が小さいことや空爆によってできる地面の大きなへこみなどは確認できないと指摘しているとしています。

報告書では「評価は変化する可能性がある」としながらも、「われわれはイスラエルに責任はないと判断する」と結論づけているということです。

報道機関などの分析は

海外のメディアなどは病院の被害状況について、現場の画像などをもとに独自に分析した結果を相次いで公開しています。

このうちイギリスの公共放送BBCは「現場の画像からは焼け跡と焼け焦げた車が確認できるものの病院の建物に大きな被害は見られない」と分析しています。

その上で「現時点で結論は出ていない」としながらも、話を聞いた6人の専門家のうち3人の意見として、「大型の弾薬を使った典型的なイスラエル軍の空爆から予想されるものとは一致しない」としています。

BBCは、爆発によって残された穴や使用されたミサイルの破片が真相究明につながる重要な証拠になるとしていて、引き続き現場の画像などの収集と分析を進めるとしています。

また、国際的な調査報道グループのベリングキャットは18日、SNS上の画像から「爆発の衝撃でできた可能性のある穴を特定した」とした上で空爆で使用される爆弾の規模とは一致しないようだと分析しています。

その上で今回の発表は「予備的な分析だ」として、引き続き調査を続けるとしています。

一方、中東の衛星テレビ局、アルジャジーラは19日、当時、現場近くを撮影していた中継映像を含む、複数の映像を分析した結果を伝えています。

それによりますと、イスラエル軍が証拠として使用していたアルジャジーラの映像は実際の時間よりも35秒遅れていたとしています。

その上で映像で確認できる光はイスラエル軍のミサイル防衛システム「アイアンドーム」がガザ地区から発射されたミサイルを迎撃し、空中で破壊した際のものだと結論づけています。

エジプト国境のラファ検問所では

ガザ地区への人道支援についてアメリカのバイデン大統領は18日、エジプトとの境界のラファ検問所からトラック20台をガザ地区に通過させることでエジプトのシシ大統領と合意し、20日にも物資が搬入されるとの見通しを示しています。

ラファ検問所のエジプト側では、支援物資を積んだトラックが長い列をつくっていて、ロイター通信によりますと支援関係者などがテントを張って検問所の開放を待っているということです。

エジプト北東部のイスマイリアから来たという支援ボランティアの男性は「戦闘が始まったときからラファの検問所にいます。ガザに援助を入れるまでここを離れません」と話していました。

ラファ検問所の開放めぐり 情報錯そう

ガザ地区への人道支援をめぐり焦点となっているエジプトとの境界にあるラファ検問所の開放が20日に実現するか、情報が錯そうしています。

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズの電子版は20日
▽物資輸送のスケジュールや
▽燃料の搬入を許可するか、それに
▽武器が積まれていないか検査する方法などでエジプトとイスラエルの間で立場の隔たりが残っているため「20日の開放には悲観的」だとする外交筋の話を伝えました。

一方、エジプトのメディアはこれまでに関係者の話として「ラファ検問所は20日に開かれる予定だ」と伝えていました。

しかし、中東の衛星テレビ局、アルジャジーラは、現地時間の20日午前9時すぎラファ検問所付近で重機が動き、道路の整備が続いている様子を中継で伝えていて、搬入がいつ実現するかは不透明です。

家族が人質になっているイスラエルの人たちは【動画あり】

イスラム組織ハマスに家族を人質にとられているイスラエルの人たちは、一刻も早い解放を訴えながらも、イスラエル軍によるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まるなか、複雑な思いを抱えています。

イスラエル軍はこれまでにイスラム組織ハマスにとらわれている人質は203人にのぼると明らかにしています。

イスラエル最大の商業都市テルアビブの大通りでは19日、人質の家族などが集まり、道行く人に人質の解放を優先するよう訴えるチラシを配っていました。

一方、テルアビブの中心部では高層ビルのフロアを貸し切って数百人のボランティアの人たちが集まり、人質の家族などに専門家による精神的なサポートを提供しています。

また、人質の家族や親類から写真の提供を受けるなどして、SNS上で人質の解放を国内外に訴えるキャンペーンも展開しています。

兄がハマス側に人質にとられているというイエラ・ダビドさんは「いまも兄が人質になったことが信じられません。何よりも兄が無事に戻ってくることを願っています」と話していました。

また、いとこ夫妻が人質になっているというシャニ・セガルさんは「イスラエル人もガザ地区の住民も犠牲にならないような方法でイスラエル軍が作戦を進めることを期待します」と話していました。

市民団体の責任者の1人の女性は「私たちの目標は人質を家族のもとに返すことで、それを政府に訴えています。イスラエル軍が地上侵攻をするにしても、人質や住民が誰も傷つかないことを願います」と話していました。

《各国の反応》

米元国防長官「イスラエルには国を防衛する権利がある」

アメリカで民主党のオバマ政権時に国防長官やCIA長官を務めたレオン・パネッタ氏がNHKのインタビューに応じ、イスラエルがガザ地区でイスラム組織ハマスの排除に乗り出すことについて「正当性がある」とした上で、イスラエルは、どのような形で実行すべきか慎重に検討しているとの見方を示しました。

この中でパネッタ氏はイスラエルによるガザ地区への地上侵攻が近いとの見方が出ていることについて「アメリカは、イスラエルが防衛のためにどのような戦術をとるべきかを言う立場にはない」と断ったうえで「ハマスというテロリストによって1400人もの国民が残忍な攻撃を受けたイスラエルには、国を防衛する権利がある。それはまさに同時多発テロ事件で3000人が殺されたアメリカが、攻撃に関わったアルカイダとの戦争に踏み切ったのと同じだ」と述べ、かつてのアメリカによるテロとの戦いと関連付けて、イスラエルがハマスの排除に乗り出すことには「正当性がある」という考えを示しました。

そのうえで「どのような方法をとるか、イスラエルは今まさに決定しようとしている。その1つがガザ地区への侵攻だ。この道を選べば戦争は長期化し、確実に大勢の犠牲者が出る。もう1つは、ガザ地区のなかに緩衝地帯を設置し、そこからハマスの指導部を標的にし、追うというやり方だ。そして拘束されている人質の奪還を試みることになる」と述べ、イスラエル軍はさまざまな戦術をとり得ると指摘しました。

また「バイデン大統領はイスラエルがガザ地区に軍を留め置き、支配し続けることは賢明ではないとはっきり言っている。最終的な目標は、パレスチナの人たちが強力な指導部を打ち立て、ハマスではなく、自分たちでガザ地区を管理することにある」と述べました。

一方で、アメリカが軍事的に介入する可能性については「バイデン大統領はレバノンのヒズボラなどイランに支えられているテロ組織、そしてイランに対し、この戦争の拡大に加担するべきではなく、もし加担すれば代償を支払わせると明確にしている」と述べ、状況次第ではアメリカ軍が介入に乗り出す可能性はあるとの見方を示しました。

国連事務総長 一刻も早い支援物資搬入の必要性強調

19日国連のグテーレス事務総長はエジプトを訪れ、シュクリ外相と共同会見を行いました。

このなかで、グテーレス事務総長は中東地域が過去数十年で最も深刻な危機に直面しているとの認識を示したうえで「支援物資が集まっているエジプトのアリーシュ空港とラファ検問所が、私たちの唯一の希望だ」と述べ一刻も早く支援物資が搬入される必要性を強調しました。

また「ハマスは無条件ですべての人質を解放し、イスラエル側はただちに制限なしに人道支援物資を搬入できるようにすべきだ」と述べた上で、双方に即時停戦するよう改めて求めました。

一方で、地元メディアは、グテーレス事務総長はこのあとラファ検問所を訪れ、エジプトからの人道支援物資の搬入状況などを視察する予定だと報じています。

グテーレス事務総長は21日にエジプトで予定されているガザ地区への支援などを協議する国際会議にも出席するとしています。

国連事務次長「支援のトラック 1日100台まで増やす必要」

エジプトを訪れているグリフィス国連事務次長はアメリカのCNNの取材に対し、ガザ地区への支援計画について、関係国と調整を続けていると説明したうえで「本格的な台数のトラックが入れるようにすることから始め1日100台まで増やす必要がある。毎日計画的に、繰り返し、確実に、大規模に入ることができるという保証が必要だ」と述べました。

そのうえで、ガザ地区内にはUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の地元のスタッフなどおよそ1万4000人の職員がいるとして「彼らは支援物資の配布に携わることができる。今後数日のうちに支援の計画を始められるよう願っている」と強調しました。

WHO事務局長“即時停戦が必要”

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、19日、人道支援物資をガザ地区の住民に無事に届けるためには、安全の確保が欠かせないとして、即時、停戦が必要だという考えを示しました。

スイスのジュネーブで記者会見をしたWHOのテドロス事務局長は、ガザ地区の病院で起きた爆発について「誰に責任があるにせよ、容認することはできない」と述べて強く非難し、医療機関は保護されるべきだと訴えました。

また、焦点となっているガザ地区への支援物資の搬入について「病院や発電機などには燃料も必要だ。私たちのトラックは燃料を積み出発の準備ができている」と述べ、エジプトとの境界にあるラファ検問所が開放され次第、医薬品や燃料などを届けることができると強調し、検問所の早期の開放を求めました。

一方で、人道支援物資をガザ地区の住民に無事に届けるためには、安全の確保が欠かせないとして、即時、停戦が必要だという考えを示しました。

英 スナク首相 サウジアラビアにリーダーシップ発揮求める

イギリスの首相官邸によりますと、スナク首相はイスラエルでネタニヤフ首相と会談したあとサウジアラビアを訪れました。

そして19日、ムハンマド皇太子と会談し、中東地域のさらなる緊張の回避に向けて取り組むとともに、イスラエル軍とイスラム勢力ハマスの戦闘が続くガザ地区に水と食料、それに医薬品を支援する差し迫った必要性があるという見方で一致しました。

その上でスナク首相は、地域の安定維持に向け、サウジアラビアにリーダーシップを発揮するよう求めたということです。

一方、サウジアラビアの国営通信によりますと、ムハンマド皇太子は「ガザ地区の民間人を狙うのは凶悪な犯罪で、残忍な攻撃だ」と述べたということで、イスラエルをけん制する発言も報じられています。

イギリスはクレバリー外相もエジプト、カタール、トルコを相次いで訪れ、戦闘の拡大を防ぐための働きかけを強めています。

フランス パレスチナ支持のデモ禁止も会場に多数の人

フランス政府は、イスラム組織ハマスとイスラエル軍の衝突が起きたあと、治安上の理由だとして、パレスチナへの支持を訴える全てのデモや集会を禁止する方針を打ち出しています。

19日、パリの中心部で予定されていた集会も、開始までに自治体からの許可は下りませんでしたが、会場の広場には多くの人が集まりました。

参加者は、パレスチナの旗や、「沈黙はガザの人を殺す」などと書かれたプラカードを掲げ、多くの警官隊が広場を取り囲むなか、パレスチナへの支援を訴えました。

30代の男性は「ガザ地区の病院で起きたことはとてもショックで、現地の映像もとてもひどいものでした。長年黙殺されてきたパレスチナの人たちのために来ました」と話していました。

両親がモロッコ出身の30代の女性は「民主主義のフランスで、デモを禁止するのは不当です。私はフランスで生まれましたがこんなことは異常です。私たちは平和のためにここにいます」と述べ、政府の対応に不満を示していました。

抗議活動の最中には、警官隊が放水車を広場に入れ、参加者を解散させようとする場面もありましたが、集まった参加者は、抗議活動を続けていました。

パレスチナ支持のデモを禁止する政府の方針については行政訴訟を担う最高裁判所にあたる国務院が「一律に禁止するのではなく個別に審議すべきだ」という判断を18日に示し、今後の対応が注目されています。

米国務省幹部 イスラエルへの軍事支援に反対し辞任へ

アメリカ国務省で武器供与の調整などを担当していた幹部職員がイスラエルへの軍事支援に反対し、辞任すると表明しました。

これは、アメリカ国務省で同盟国などへの武器供与について議会との調整などを担当していたジョシュア・ポール部長が18日、自身のSNSに投稿し、明らかにしました。

この中で、ポール氏は、イスラエルに対して大規模な攻撃を行ったイスラム組織ハマスについて「極悪非道だ」と厳しく非難する一方、「イスラエルの対応はイスラエルとパレスチナの人々の双方により大きな被害をもたらすだけだ」とガザ地区への空爆を続けるイスラエルを批判しています。

その上で「私は紛争の片方に武器を供与する政策を推進することはできない。われわれが支持する価値観やルールに基づく秩序を中心にした世界と相反するものだ」として、アメリカによるイスラエルへの軍事支援に反対する姿勢を示しています。

これについて、国務省は「個人的なことについてはコメントを差し控える」としています。

【動画】イスラエルとハマス 戦闘の経緯

今回のイスラエルとハマスの戦闘の経緯を動画でまとめました。
(動画は2分55秒)