熊本 天草 イワシ大量死 周辺海域の酸素濃度 通常の6割ほどに

18日、大量の死んだイワシが見つかった熊本県天草市の港周辺では、19日も漁業関係者などが回収作業にあたりました。熊本県によりますと、周辺の海域の酸素濃度が通常の6割ほどに低下していたということで、詳しい原因を調べています。

18日朝、天草市五和町の御領漁港で、地元の住民から「イワシが大量に死んでいる」という連絡が、市に寄せられました。

死んだイワシは港の周辺の広い範囲で海面に浮かんだ状態で確認され、18日は、地元の漁協や市の職員などがおよそ20トン分回収したということです。

港の周辺では19日も朝から漁業関係者らがおよそ100人がかりで死んだイワシをオイルフェンスで集め、クレーン車や手作業で、網ですくって回収する作業が行われました。

県や市によりますと、19日は合わせておよそ30トン分が回収され、回収したイワシは港や住宅地から離れた場所で仮に保管していて、処分方法についてはまだ決まっていないということです。

熊本県が調べたところ、周辺の海域ではプランクトンの量に異常はなく、赤潮も確認されていないということですが、酸素濃度が通常の6割ほどに低下していたことが分かったということで県が詳しい原因を調べています。

天草市の宮本周幸経済部長は「初めてのことで住民の人たちも心配しているので、まずは一刻も早く処理を進めたい」と話していました。

大量に死んだイワシは、海を挟んだ対岸にある長崎県南島原市にある漁港でも見つかっていて、長崎県が原因を調べています。

漁業営む男性「生けすのタコやエビなどが全滅 ショック」

漁業を営む男性は「生けすにいたタコやエビなどが全滅してしまい、市場に出荷できません。30年漁師をしていますが、今回のような事態は初めてで、ショックです。皆さんが回収作業を手伝ってくださるので助かります」と話していました。

住民「窓開けられない状態」「ものすごいにおい」

港の様子を見に来ていた70代の女性は「きのう、外に出たら魚の腐ったようなにおいがして、『何だろう』と思いました。窓を開けられない状態です」と話していました。

近くに住む20代の男性は「朝、外に出たらものすごいにおいが漂っていました」と話していました。

水族館「魚にとって適さない環境に陥ってしまったか」

隣接する上天草市にある海中水族館「シードーナツ」の河野壮志館長は「イワシは群れで動く魚で、イワシより大きな魚などに追われて港に入り込んでしまったとみられます。酸素が足りない状態など、魚にとって適さない環境に陥ってしまい、多くが死んでしまったのではないかと考えられます」と話していました。