日銀 6地域で景気判断引き上げ インバウンド需要拡大など背景

日銀は3か月に1度の「地域経済報告」を公表し、インバウンド需要の拡大や企業の堅調な設備投資を背景に、全国9つの地域のうち6つの地域で景気判断を引き上げました。

日銀は19日、支店長会議を開き、景気の現状をまとめたさくらレポート=「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち6つの地域で景気判断を引き上げ、このうち
▽北海道、東北、四国は「持ち直している」
▽北陸、関東甲信越、中国は「緩やかに回復している」としました。

東海、近畿、九州・沖縄の3つの地域はこれまでの判断を据え置きましたが、いずれの地域も持ち直しや回復の傾向を続けています。

背景には、外国人旅行者によるインバウンド需要の拡大に加えて旅行や飲食などサービス消費の増加、それに企業の生産が回復し、設備投資が堅調なことなどがあります。

またレポートでは、物価が上昇する中での消費者の行動について「宿泊料金を引き上げる中でもインバウンド客、国内客ともに旺盛な需要となっている」という宿泊業者の声のほか「物価高による生活防衛意識の高まりで低価格のプライベートブランド商品にシフトする動きが見られ、不要なものは買わない傾向が強まっている」というスーパーの声なども紹介されています。

日銀 大阪支店長「この先どうなるか 所得環境の改善に依存」

日銀は全国9つの地域のうち、「近畿」については「一部に弱めの動きがみられるものの、持ち直している」との景気判断を据え置きました。

記者会見した日銀大阪支店の中島健至 支店長は「消費者の節約志向が物価上昇が始まったころから継続している状況だ。この先どうなるかは、物価の上昇を上回って雇用と所得環境の改善が続くのかに大きく依存してくると思う。企業の賃上げについては今後の業績次第で、明確な方向感が出ているわけではない。ただ、業績がよい企業では、人材確保が重要なテーマになっていて、同業他社に遅れをとらないようしっかり賃上げはやっていくという声が出ている」と述べました。

日銀 札幌支店長「観光客 感染拡大前と遜色ないレベルまで回復」

日銀は、全国9つの地域のうち、「北海道」については、「持ち直している」として景気判断を引き上げました。

記者会見した日銀札幌支店の岡本宜樹支店長は「観光が引き続き個人消費をけん引していて、強い需要のもとで高い単価を維持しつつ、お客の数はインバウンドを含めて新型コロナの感染拡大前と遜色ないレベルまで回復している。設備投資についても緩やかに持ち直していて、北海道内でことし9月、最先端の半導体の開発や量産を目指す大規模な工場が着工した。今後も成長期待の高まりに応じて企業の設備投資が着実に実行されることが期待される」と述べました。