滋賀 東近江市長のフリースクールめぐる発言 撤回求め署名活動

滋賀県東近江市の小椋正清市長が、17日に開かれた不登校対策を話し合う会議で「文部科学省がフリースクールを認めたことにがく然としている。国家の根幹を崩しかねない」などと発言し、滋賀県でフリースクールを運営している団体は、発言は受け入れられないとして、撤回などを求める署名活動を始めました。

会議で、東近江市の小椋市長は「文部科学省がフリースクールの存在を認めたことにがく然としている。よかれと思ってやることが国家の根幹を崩しかねない」などと発言し、会議のあとには「不登校の大半は親の責任だ」とも述べました。

市長「問題提起として発言 撤回はしない」

小椋市長は、NHKの取材に対し「国が十分な議論をせずにフリースクールへの支援を進めようとしているため、議論できるように問題提起として発言した」と説明しました。

そのうえで「アグレッシブに言い過ぎたのは認める。舌足らずの部分があったがフリースクールや、そこに通わせる保護者を否定したわけではない」と釈明しました。

一方、発言に対して批判の声も寄せられていることについては、「問題発言だとは考えていないので、撤回はしない」としています。

これに対し、東近江市などで不登校の子どもの支援活動をしているNPO法人「Since」は、発言は受け入れられないとして、撤回などを求める署名活動を始めました。

19日朝は東近江市のJRの駅前で職員が署名を呼びかけ、通勤や通学の人が応じていました。

団体の代表の麻生知宏さんは「不登校が一概に保護者の責任と片づけられるとやるせない。理解を深めてもらうことが大事だと思う」と話していました。

団体では、18日からオンラインでも署名活動を始めていて、今後、1万人を目標に署名を集めることにしています。

大津のフリースクール代表「よく考えて発言を」

大津市のフリースクールの代表からは憤りの声が聞かれました。

大津市のフリースクール「トライアンフ」には、小学2年生から中学3年生までの不登校の子どもなど13人が通っていて、週4日、子どもどうしが交流したり自由に過ごしたりする場を提供しています。

このフリースクールの代表で、自身の子どもも不登校の経験がある谷川知さんは、「フリースクールは不登校の子どものありのままを認め、チャレンジしていく力を養っていく場所だ」とした上で、今回の小椋市長の発言について、「不登校の子どもに対して親御さんが本当につらい思いで接していることを知らないのだと感じた。市長の立場でこうした発言をすることで、せっかく見つけた安心安全な居場所を否定され、親御さんや子どもの気持ちが壊れていくということを分かっていない。こんなことで不登校の対策を実施できるのか疑問で、よく考えて発言してほしい」と話していました。

県内の40余りのフリースクールや支援者団体などでつくる協議会は「市長の発言は到底容認できない」として、19日午後、小椋市長宛に、発言の撤回などを求める抗議文を提出しました。