NTT法見直し “廃止反対” NTT除く大手通信各社が要望書

NTT法の見直しに向けた議論をめぐり、NTTを除く大手通信各社は、19日の自民党のヒアリングで法律の廃止に反対し、通信事業者など180の企業と団体の連名で慎重な検討を求める要望書を提出しました。

要望書は、KDDIやソフトバンク、それに楽天モバイルなどNTTを除く通信事業者と、データ通信のサービスを地域で提供する全国のケーブルテレビ各社など180の企業と団体が連名で自民党と総務省に提出しました。

この中では、国民生活の向上や経済の活性化などに向けて通信政策の見直しを検討していくことには賛成する立場を示した一方、NTT法の廃止には反対し、慎重な検討を望むとしています。

その理由については、仮にNTT法が廃止されるとNTTグループの一体化がさらに進み、公正な競争環境が妨げられ、利用料金の高止まりなどが懸念されるほか、公社時代の通信インフラなどを継承するNTTが公益的な責務を負わなくなるおそれがあるなどとしています。

また、見直しに向けた一連の議論の進め方についても、電気通信市場の将来に向けた非常に大切な議論にもかかわらず、結論までの期間があまりにも短く十分な議論が尽くされているか懸念があるとしています。

大手通信3社 会見で改めて反対の意思表示

自民党の作業チームに出席したNTTを除く大手通信3社のトップは、終了後に都内で記者会見を開き、NTT法の廃止について改めて反対の意思を示しました。

この中でKDDIの高橋誠 社長は「180の企業などが集まった要望書を提出した。NTT法廃止には反対で、より慎重な政策議論が必要だが強引に議論を進めることは世論を無視した大きな問題だ」と述べました。

また、ソフトバンクの宮川潤一 社長は「日本の重要な公共資産の運営をするなら、規制が当たり前であり、NTT法の見直しは賛成だが、廃案は絶対に反対だ」と述べました。

楽天モバイルの鈴木和洋 共同CEOは「NTT法を改正したからといって、アメリカの大手IT企業のような企業が日本に出てくるわけではない。もう少し大きな目で、どのようにすればそういった企業が日本に出てきて育っていくのか包括的に考える必要がある」と述べました。

NTT社長 “法律の廃止が適当”

NTTの島田明社長は自民党の作業チームに出席したあと、都内で記者会見を開き、NTT法について「研究成果の開示義務は国際競争力強化の支障となることから撤廃すべきだ」などと述べ、法律の廃止が適当だという認識を示しました。

また島田社長は、ほかの大手通信各社などがNTT法の廃止に反対し、慎重な検討を求める要望書を提出したことについて、「競合している事業者にとっては何かとNTTに足かせをかけているほうがいいと思われるでしょうから、反対されるのはいたしかたない」と述べました。