台風などで大雨の予想 子連れの避難 どうする?

台風が来そうなとき。

大雨の予報が出ているとき。

小さな子どもがいると不安がよぎります。

いつ避難しよう?どこに逃げよう?

自身も0歳児のお母さんで、防災の専門家である名古屋大学減災連携研究センターの木作(きさく)尚子特任准教授に子連れ避難のポイントを聞きました。

(大阪放送局 記者 中本史)

“高齢者等避難”で避難を

まず聞いたのは避難のタイミング。

小さな子ども連れの場合、いつ避難すればいいのでしょう?

木作さんはこう言い切ります。

「市町村から“高齢者等避難”が出たとき」

災害時には市町村から様々な避難の情報が出ます。

危険がより切迫している“避難指示”より、前の段階で出されるのが“高齢者等避難”です。

避難に時間がかかる人たちに早めに避難を呼びかけるものです。
高齢者「等」に乳幼児も含まれているんです。

たしかに子どもと行動するのって時間がかかりますよね。
ふだんでも外出の直前に「トイレいく」とか「出かけたくない」とか。

災害時ではこうした時間の経過は危険を招いてしまいます。

そして、嫌がって暴れる子どもを抱えて、大雨で足元や視界が悪いなかを歩くことは被災する危険度を高めます。

(名古屋大学 木作尚子 特任准教授)
「子連れ避難は時間がかかります。だからこそ“高齢者等避難”が出た時点で早めに避難してください。子どもが怖がるくらいの雨や雷になったときは避難にはもう遅いです。そのときは、自宅避難への切り替えも視野に入れて、上の階などの、より安全な場所に移ってください」

市町村が出す避難情報を入手するには、「NHKニュース・防災」アプリや天気アプリで通知設定をしておくと便利です。

移動にベビーカーはNG

そして移動時にベビーカーは使わないでください。
だっこひもを使いましょう。
おんぶではなく体の前でだっこしてください。
子どもの頭を守りやすくなります。

靴は、親も子どもも、ふだんの靴を。
長靴では歩きにくくなります。

どこに避難?知人宅・ホテル・車中泊も

どこに避難するかも大切です。

子どもがいると、避難所に行くことをためらっていませんか?
「迷惑をかけそう」「周りに気疲れしそう」と尻込みしちゃう気持ちもありますよね。

そうしているうちに、避難が遅れてリスクが高まってしまいます。

木作さんは「避難先になるのは自治体の指定避難所だけではありません」と言います。

知人宅・ホテル・車中泊も選択肢に入れて、事前に避難先を考えておいてください。

このとき、必ず「ハザードマップ」の確認を。
それぞれの場所が土砂災害・洪水・浸水のどの災害に弱いエリアなのかわかります。

自宅が大丈夫そうであれば自宅避難を考えてもいいですし、安全なエリアの知人宅や車中泊なども検討してください。

ただ、木作さんは、自治体の指定避難所にはメリットもあると言います。

(名古屋大学 木作尚子特任准教授)
「指定避難所に行けばおむつやミルクなどの支援物資が手に入りやすくなります。乳幼児連れには別の部屋を案内するなどの配慮がされた『福祉避難所』を設ける自治体も増えています。地域にあれば活用を検討してください」

はぐれることに備えて写真を

いざ避難するとき、子どもとはぐれることも想定しておいて下さい。

名前や親の連絡先を書いた身元のわかるメモを子どもに持たせておきましょう。

加えて、意外と便利なのが写真です。

避難前に子どもの写真を親のスマートフォンで撮っておくと、一目瞭然で服装や特徴を周囲に伝えられるので、見つけやすくなります。

日常の合間にちょっと想像を

防災対策はふだんからの備えが大事。

分かってはいるけどついつい先送りにしているという人も多いはず。
小さな子どもがいると日々の忙しさに追われてしまいますよね。

木作さんは、日常の合間に少し意識するだけでもいざというときに役に立つとアドバイスしています。

(名古屋大学 木作尚子 特任准教授)
「私も乳児の母として、子どもを連れての避難は、すごく難しいと思っています。ですが、例えば保育園の送り迎え中に、今大雨が降ってきたらどうしようかなと少し考えてみる。そういったことでも防災につながります。ふとしたときに頭の片隅でもしものときを考えるということを積み重ねてください」

できるときに、できることを少しずつ。

そんな積み重ねで、いざというときにも幼い命を守っていきたいですね。