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セ・リーグCS 阪神が広島にサヨナラ勝ち 日本シリーズ進出王手
目次
投手戦となった試合 最後は木浪聖也がサヨナラ打
セ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージは、18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神と、レギュラーシーズン2位の広島が対戦していて、19日夜、第2戦が甲子園球場で行われました。
阪神は0対1で追う2回、1アウト一塁の場面で6番のノイジー選手がライトへヒットを打ち、この当たりを広島のライト、末包昇大選手が後ろにそらす間にランナーがかえって同点に追いつきました。
先発した伊藤将司投手は、今シーズン2勝負けなし、防御率1.17と相性のいい広島打線を相手に7回99球を投げ1失点の好投でマウンドを降りました。
阪神は1対1のまま9回、2アウト満塁とし、8番の木浪聖也選手がライト前にヒットを打ち2対1でサヨナラ勝ちしました。
2連勝の阪神は、リーグ優勝のチームに与えられるアドバンテージの1勝を含めて対戦成績を3勝0敗とし、日本シリーズ進出に王手をかけました。
第3戦で勝つか引き分ければ日本シリーズ進出が決まります。
一方、広島は、先発の大瀬良大地投手が、7回80球を投げ1失点と好投しましたが、9回に登板した栗林良吏投手が踏ん張れませんでした。
《第3戦 予告先発(20日)》
▽阪神:大竹耕太郎投手
▽広島:床田寛樹投手
《阪神 監督・選手談話》
岡田監督「1年間 木浪がキーポイント よく打ちましたね」
阪神の岡田彰布監督は、サヨナラヒットを打った木浪聖也選手について「1年間、8番の木浪選手がキーポイントだった。よく打ちましたね」とたたえました。
また、ランナーを出しながらも7回を1点に抑えた先発の伊藤将司投手については「ことし一番、悪かったのではないか。本当にしのいで、しのいで、しのぐことしか考えていなかった。正直、点を入れることは考えていなかった」と振り返りました。
日本シリーズ進出がかかる第3戦に向けて「ヒットが出ていない選手がたくさんいるので、力みにつながっているのかもしれない。これであと1つなので、思い切っていってくれるでしょう」と話していました。
サヨナラ打 木浪聖也「自分らしく食らいついて」
9回にサヨナラヒットを打った木浪聖也選手は「前のバッターの坂本選手がフォアボールで出て『任せたぞ』と合図を出してくれたので、なんとかここで決めようと思った。2球目でボール球に手を出したので『やばい』と思ったが、自分らしく食らいついて最後に打ててよかった」と振り返りました。
そのうえで第3戦に向け「野手がピッチャーを助けて、楽に投げさせたい。とにかく自分たちの野球をしっかりやっていきたい。きょうみたいな足の震える応援をお願いします」とファンに呼びかけました。
抑え 岩崎優「抑えたくて うずうずしていた」
同点の9回に登板して無失点に抑え、サヨナラ勝ちを呼び込んだ抑えの岩崎優投手は登板を振り返り「いつもどおり抑えたくて、うずうずしていた。投手陣のみんなが、いい流れを作っているので、そこに入っているだけだ。最高の雰囲気でやらせてもらっている、なんとか勝ってよかった」と話していました。
《広島 監督・選手談話》
新井監督「まずは あした」
新井貴浩監督は「打たれたのはしょうがない。9回は栗林に任せていて、そういうときもある。こちらは納得している」と話していました。
そして、先発の大瀬良大地投手を「“これが大瀬良大地だ”というピッチングで、気迫がみなぎっていた」とたたえ、阪神を上回るヒット7本を打ちながら1点にとどまった打線には「結果的に1点だったが、捉えた当たりが野手の正面にいくことが多く、これも勝負の運だと思う。みんなよくやった」と話し、この試合も選手を責めることはありませんでした。
そのうえで「まずはあした。負けたら終わりの試合で選手たちがどういう姿でプレーしてくれるのか逆に楽しみだ」と話していました。
抑え 栗林良吏「大事なところでの1球が投げきれず悔しい」
9回にサヨナラヒットを打たれた広島の抑え、栗林良吏投手は「大山選手に打たれたツーベースヒットがいちばんもったいなかった。9回の同点の場面で長打にフォアボールとやってはいけないことが続き、最後もワンバウンドを狙ったフォークが高めにいってしまった。大事なところでの1球が投げきれず悔しい」と振り返っていました。
- 注目
【解説】“恐怖の8番”試合を決める
阪神の岡田彰布監督がたたえたのが、サヨナラヒットを打った8番・木浪聖也選手。29歳、プロ5年目でようやくレギュラーをつかみとった苦労人ですが“恐怖の8番”とも言われているんです。
木浪選手は、ルーキーイヤーに開幕戦に先発出場し、合わせて113試合に出場しました。
しかし、その後はポジションを奪われるなど出場機会が減少し、昨シーズンはけがもあって41試合の出場にとどまりました。
試合に出られない悔しさや結果を残せないもどかしさを味わい、絶対にいつか見返してやると汗を流し続けてきました。
岡田監督が就任し、強い覚悟を持って臨んだ去年の秋のキャンプで目に留まりました。
さらに今シーズンは春のキャンプでも猛アピール。激しい争いを制して開幕直後にレギュラーをつかみました。
シーズンを通してほとんどを「8番・ショート」で固定され、打率はチーム4位の2割6分7厘をマーク。つなぐ役割を果たした一方、満塁での打率は4割4分4厘と勝負強さも兼ね備えて“恐怖の8番”とも言われてきました。
この試合は、勝てば9年ぶりの日本シリーズ進出に王手がかかる試合。1対1と緊迫した展開のなか、9回、2アウト満塁で打席が回りました。
フォアボールで出塁した7番の坂本誠志郎選手から「任せた」と言われ「応えようと思った」と気持ちが入っていました。
追い込まれたあと高めのボールを2球続けて粘り、6球目を振り抜いてサヨナラヒットで試合を決めました。
木浪選手は「みんなのために、チームのためにと思えた。受け身になることなく、攻めていけた」と振り返りました。
岡田監督も「1年間、8番の木浪選手がキーポイントだった。よく打ちましたね」と褒めていました。
ようやく手にした自分のポジションと打順で、監督からたたえられたサヨナラの一打。これまでの決意と覚悟、そして努力が、少しは報われたのかもしれません。