御嶽山噴火 国などに賠償求める裁判の2審始まる 東京高裁

戦後最悪の火山災害となった9年前の御嶽山の噴火をめぐり、一部の遺族などが国と長野県に賠償を求めている裁判の2審が18日から始まり、遺族などは「気象庁が噴火警戒レベルを引き上げていれば、立ち入りを規制でき、被害は防げた」などと主張して、訴えを認めるよう求めました。

9年前の2014年9月、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が噴火し、死者・行方不明者が63人にのぼった火山災害では、一部の遺族など32人が、国や長野県の事前の対応が不適切だったなどとして、合わせて3億7600万円の賠償を求めました。

1審の長野地方裁判所松本支部は去年7月、噴火2日前の気象庁の噴火警戒レベルに対する判断について、「合理性が欠けた」とする一方、「その段階から適切に対応していたとしても、被害を防げたとは言えない」として、賠償は認めませんでした。

判決を不服として遺族らが控訴し、18日から東京高等裁判所で2審が始まりました。

このなかで遺族らは「気象庁は遅くとも噴火の前日までに、噴火警戒レベルを引き上げることが可能で、それがあれば地元の自治体も事前に登山者の立ち入りを規制できた」として、気象庁の判断によって被害を防ぐことができたと主張しました。

一方、国は、「噴火警戒レベルの引き上げにつながる明確な観測データはなく、当時の判断が合理性を欠くとは言えない」などとして、訴えを退けるよう求めました。

原告「国の防災体制の見直しにつながること願う」

裁判のあとの記者会見で、原告の1人で、一緒に登っていた友人を亡くし、自身も大けがをした、長野県茅野市の田幸秀敏さんは、「2審で国の責任と賠償が認められることを願って、きょうを迎えました。遺族や負傷者の誰もが二度と噴火災害が起きてほしくないと思っているので、国の防災体制の見直しにつながることを願っています」と話していました。