近畿大 剣道部学生逮捕 ほかの部員に暴行か 部員は16日に死亡

近畿大学の剣道部に所属する21歳の男子大学生が今月、剣道部の同じ学年の部員に暴行を加えてけがをさせたとして、傷害の疑いで逮捕されていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。けがをした部員は病院で治療を受けていましたが、16日、死亡したということで、警察が詳しいいきさつを調べています。

近畿大 剣道部学生逮捕 ほかの部員に暴行か

逮捕されたのは近畿大学の剣道部に所属する21歳の男子大学生です。

捜査関係者などによりますと、今月5日の午前2時前、大阪 東大阪市の路上で剣道部の同じ学年の部員に暴行を加えて転倒させ、頭にけがをさせたとして、傷害の疑いが持たれています。

警察は容疑を認めているかどうか明らかにしていません。

2人は当時、剣道部のほかの部員とともに現場近くの飲食店で酒を飲んでいて、店を出た直後に暴行を加えたとみられるということです。

けがをした部員はその後、くも膜下出血で意識不明の重体となり、病院で治療を受けていましたが、16日、死亡したということです。

警察は暴行との関連がないか、詳しいいきさつを調べています。

今回の事件について、近畿大学は18日午後3時から記者会見を開いて説明するとしていて、取材に対し、「現時点では詳細についてコメントできない」としています。

近畿大 剣道部とは

近畿大学剣道部は関西の強豪チームで、男子は団体日本一を決める全日本学生優勝大会で平成8年に優勝を果たしています。

また、ことし9月行われた関西の団体の大会では男子は7回目の優勝を2連覇で飾り、女子もベスト8に進出して、ともに11月の全日本学生優勝大会への出場を決めていました。

このほか、春に行われた関西の個人の大会では男女ともに優勝を果たしていました。

近畿大学会見「誠意を持って対応」

近畿大学は18日記者会見を開き、経緯を説明するとともに陳謝しました。

この中で大学は、今月4日の夜から5日の午前1時すぎにかけて、剣道部の部員6人が東大阪市の飲食店で飲酒をともなう会食を行い、その後、いずれも21歳の2人の部員が路上でけんかのような状態になったことを明らかにしました。

そして、このうちの1人が近くに止めてあった数台の自転車に倒れ込んだまま動かなくなり、もう1人が駆けつけた警察官にその場で逮捕されたということです。

倒れ込んだ部員はくも膜下出血で救急搬送されましたが、意識が戻らないまま16日、死亡したということです。

暴行と死亡との関連は分かっておらず、警察が現在も捜査中だとしています。

大学は調査チームを立ち上げて状況を把握するとともに、捜査の進展を待って関係者の処分を決める予定だということです。

今回の事件について、近畿大学の仲林真子副学長補佐は「亡くなった学生のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族には心より哀悼の意を表します。大学としても前途ある学生の尊い命が失われたことに心を痛めており、引き続き警察の捜査に協力するとともに、誠意を持って対応してまいります」と述べました。

また、会見では、当時20歳未満の部員2人が一緒に酒を飲んでいたことも明らかにされました。

これを受けて、大学が剣道部内で飲酒マナーに関する調査を行ったところ、今回の2人を含む9人の部員が20歳未満で酒を飲んでいたことが分かったということです。

近畿大学では6年前の2017年、男子学生がサークルの集まりで酒の一気飲みを繰り返したあとに死亡していて、大学は再発防止のため、飲酒マナーの徹底に向けた取り組みを進めていました。

剣道部は今月5日から活動を自粛しているということで、仲林副学長補佐は「関係者や応援してくださっている皆様の信頼を裏切り、ご迷惑、ご心配をおかけすることを心よりおわび申し上げます」と陳謝しました。

6年前 酒の一気飲みで死亡 学生の遺族「残念で悔しい」

今回の事件を受け、6年前の2017年、近畿大学のサークルの集まりで酒の一気飲みを繰り返したあと、亡くなった男子学生の父親が取材に応じました。

両親は大学に対して賠償を求めた裁判でことし3月に和解し、大学が学生に対する飲酒事故の啓発活動など再発防止の取り組みを徹底することを約束していました。

今回の事件について父親は「飲酒との関連はまだ分からない」としたうえで「和解から1年もたたずに、このような事件が起きたことは残念で悔しい。当時約束した啓発活動が徹底されていたのか、大学が6年前のことを重く受け止めているのか疑問だ」と話しています。

また、剣道部の20歳未満の部員2人も一緒に酒を飲んでいたことについては「近畿大学のみならず、周辺の飲食店も協力して未成年の飲酒を防ぐ対策を講じてほしい」と話していました。