処理水放出 トリチウム16ベクレル検出 東電「安全に影響ない」

福島第一原子力発電所にたまる処理水の2回目の放出が始まった今月5日以降、東京電力が毎日行っている周辺の海水の分析で、16日採取した海水から、これまでで最も濃度が高い、1リットルあたり16ベクレルのトリチウムが検出されました。

原発周辺では10ベクレル以上のトリチウムの検出が続いていますが、東京電力は、潮の流れが弱まった場合などには十分に想定される数値で、安全への影響はないと説明しています。

福島第一原発でたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、東京電力は今月5日から、2回目となる、大量の海水で薄めて海へ放出する作業を始めました。

東京電力は原発から3キロ以内の海域の10か所で、原則として毎日、海水を採取し、トリチウムの濃度を分析して公表しています。

それによりますと、2回目の放出が始まったあと、15日に採取した海水から1リットルあたり14ベクレル、16日に採取した海水からは16ベクレルという値が検出され、これまででもっとも高くなっています。

いずれも放出口にもっとも近い、北側およそ200メートルの同じ地点で採取した海水で、東京電力は「周辺の海域は北向きと南向きの潮の流れが数日単位で入れ替わることがわかっていて、流れが入れ替わるタイミングには一部でよどんで、拡散が弱まることもある」と説明しています。

そのうえで、1リットルあたり十数ベクレルという数値については、「放出の結果として十分に想定される数値で、WHO=世界保健機関の飲料水の水質基準である1万ベクレルと比べても大きく下回る値のため、安全への影響はない」としています。

東京電力の計画では、原発の周辺3キロ以内の海水で▽1リットルあたり350ベクレルを超えた場合は原因などの調査を始め、▽700ベクレルを超えた場合は放出を停止することになっています。