自民 経済対策 低所得世帯支援など提言 所得税減税盛り込まず

新たな経済対策について、自民党は所得が低い世帯への必要な支援や賃上げに取り組む企業への減税措置の強化などを盛り込むよう政府に提言しました。一方、党内から求める声が出ていた所得税の減税は盛り込んでおらず、萩生田政務調査会長は「いま必要な緊急の対策を優先した」としています。

自民党は新たな経済対策の提言をまとめ17日、萩生田政務調査会長が総理大臣官邸で岸田総理大臣に手渡しました。

提言では
▼過去の給付措置も参考に所得が低い世帯への必要な支援を検討することや
▼ガソリン価格を抑えるための補助金や電気・ガス料金の負担軽減策を継続すること
▼半導体や蓄電池などの戦略分野で国内投資や研究開発を支援することなどを求めています。

また、減税措置では
▼賃上げに取り組む企業への減税措置の強化や
▼GX=グリーントランスフォーメーションなどの分野の、国内投資や生産を促進するための減税措置の創設なども行うべきだとしています。

一方、党内から求める声が出ていた所得税の減税は盛り込みませんでした。

萩生田氏は記者団に対し「税の在り方については岸田総理大臣から指示がない段階であり、仮に所得税に手を付けるとしても年末や年度末に効果は出ない。いま必要な緊急の対策を優先しようというのが党のマインドだ」と述べました。

岸田首相「国民への還元 早急に具体化図る」

岸田総理大臣は17日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「賃上げが物価高に追いついていない状況にある一方で、わが国の経済は30年ぶりに変革を果たす大きなチャンスを迎えている。物価高に苦しんでいる国民を支援し、新しい経済ステージへのチャンスをつかみ取る。この2つを果たすために大胆な取り組みに踏み込みたい。国民への還元のあり方は、与党の提言も踏まえて早急に具体化を図っていく。補正予算案については、今月中をめどに経済対策をまとめた上で、速やかに臨時国会に提出する」と述べました。

村井官房副長官「与党の提言も踏まえ検討」

村井官房副長官は記者会見で「与党の提言も踏まえ今月中をめどに総合経済対策を取りまとめるよう検討を進める。経済対策を取りまとめたのち速やかに補正予算案を編成し、臨時国会に提出したい」と述べました。

また自民・公明両党の提言に所得税の減税が盛り込まれなかったことについて「成長の成果を国民に還元するよう、各種の給付措置に加え、税や社会保障負担の軽減など、あらゆる手法を検討していく。提言も踏まえ還元の具体的な方策の検討を進めるが、現時点で、それ以上のことを申し上げるのは控えたい」と述べました。

国民 玉木代表「減税の期待を裏切ることに」

国民民主党の玉木代表は記者会見で「消費税や所得税、それにガソリン税の減税が入っておらず、これでは日本経済は全くよくならず、物価高騰に苦しむ生活者の支援にはならない。減税を期待していた多くの国民の期待を裏切ることになる。与党案を超える決断を岸田総理大臣に求めたい」と述べました。