イスラエル高官“軍事作戦行う上で 住民の犠牲避けられない”

イスラエルでネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏が、16日、NHKの取材に応じ、「市民の犠牲が出ない保証はないが、そこに市民がいるからといって、ハマスのテロ攻撃を不問にすることはできない」と述べ、軍事作戦を行う上では、住民の犠牲は避けられないという認識を示しました。

レゲブ氏は、イスラエル政府の報道官や、駐英大使などを歴任し、現在はネタニヤフ首相の上級顧問を務めています。

今後の軍事作戦の詳細については言及しないとした一方「われわれの目標はハマスを解体し、ハマスによるガザ地区の支配を終わらせることだ。そうでなければ、いつかまた国民を危険にさらすことになる」と述べて、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦の重要性を強調しました。

ガザ地区の住民や人質の安全確保について、「退避の通告などあらゆる努力をする。イスラエルはガザ地区の市民を標的にはしていないし、犠牲は避けたいと考えている。ただハマスは市民を『人間の盾』にして、その後ろに隠れている。武力衝突では常に市民の犠牲を伴うことも理解している。市民の犠牲が出ない保証はないが、そこに市民がいるからといって、ハマスのテロ攻撃を不問にすることはできない」と述べ、軍事作戦を行う上で、住民の犠牲は避けられないという認識を示しました。

また、国境を接する隣国レバノンからイスラム教シーア派組織のヒズボラとイスラエル北部で衝突が起きていることについては「イランやヒズボラといった危険な勢力がこの状況を利用しようとしていることを懸念している。イスラエルは南部と北部の二正面作戦は見たくないが、対応は可能だ。もし彼らが戦争を始めれば、われわれは自衛し、反撃する」と述べ、ガザ地区周辺だけでなく北部にも必要な部隊を展開していると強調しました。

ハマスとの停戦の可能性については、「彼らが武器を捨てて降伏するのであれば、停戦はできる。ただ残忍な攻撃を仕掛けたハマスが隣人になることには同意できない」として、最終的にはハマスの解体が不可欠だという認識を示しました。

またガザ地区では、境界を接する隣国のエジプトから支援物資を搬入したり、住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けた動きが進んでいますが関係国の調整には時間がかかっています。

これについてレゲブ氏は、自分たちは検問所を管理していないと強調しました。

その上で、「すべての物資が支援を必要とする人のもとに届くという確信がない。ハマスがガソリンをロケット弾の発射に利用するおそれもある。過去には住宅建設のためのセメントがハマスの地下通路に使われ、配水管はロケット弾に転用された」として支援物資が住民に届かず、ハマスに利用されるおそれがあるとの懸念を示しました。

そして、「各国と協力して、実現可能な枠組みを探るべく、取り組んでいる」と述べ、安全を確保した上で物資の搬入をいかに進めるのか各国と調整していることを明らかにしました。