【17日詳細】イスラエル パレスチナ 双方の死者 4200人超に

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢です。

※17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

仏外務省 “フランス人 21人死亡 11人行方不明”

フランス外務省は17日、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関連しこれまでにフランス人21人が死亡し、11人が行方不明となっていると発表しました。

行方不明となっている人の中には、ハマスに連れ去られて人質になった可能性がある人もいるということで、フランス政府は解放に向けて全力を尽くすとしています。

仏マクロン大統領 近く中東地域を訪問で調整

フランスのマクロン大統領は17日、訪問先のアルバニアで行った記者会見で、イスラエル・パレスチナ情勢に関連し、近く中東地域を訪れる方向で調整を進めていることを明らかにしました。

この中で、マクロン大統領は「現時点では多くを語ることはできないが、 人質の解放を目指して活発な交渉を行っている」と述べ、イスラム組織ハマスに拘束されたフランス人などの解放に向けて、関係国などと協議していると明らかにしました。

その上で「情勢の悪化を防ぐことや人道問題に関する具体的な合意が得られれば、私は、その地域を訪問したいと考えている」と述べ、近く中東地域を訪れる方向で調整を進めていることを明らかにしました。

訪問の日程については「数日以内か、数週間以内だ」としています。

国連WFP「ガザ地区の商店の食料 数日で無くなる可能性」

イスラエルによる空爆と封鎖が続いている、ガザ地区の状況について、国連WFP=世界食糧計画の中東地域の担当者は17日、スイス・ジュネーブでの定例会見にオンラインで参加し、「ガザ地区で食料を扱う商店は在庫が無くなりつつある。あと4日か、5日しか持たないのではないか」と述べ、ガザ地区の商店の食料が数日で無くなる可能性があるとしています。

また、複数の国連機関は、ガザ地区への支援物資を40キロほど離れたエジプトの都市・アリーシュを経由して送る計画ですが、エジプトとの境界のラファ検問所が開放されていないとして、検問所の早期開放を求めています。

UNRWA “ガザ地区 これまでにスタッフ14人死亡”

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、17日、ガザ地区でこれまでにスタッフ14人が死亡したと発表しました。

また、ガザ地区のすべての病院での燃料の備蓄はあと24時間分しかなく、予備の発電機が停止すれば、何千人もの患者の命が深刻な危険にさらされるとしています。

韓国軍 “ハマスが北朝鮮と連携”との見方示す

韓国軍は、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃についての分析状況を発表し、ハマスが北朝鮮との間で武器の取り引きや訓練支援など、さまざまな連携を行っているという見方を示しました。

この中では、ハマスが所持するロケット弾を発射する兵器や、ハマスが使用したとされる砲弾の一部が北朝鮮製とみられ、北朝鮮が多様な兵器を中東の国家や武装グループに輸出していることも考えられるとしています。

さらに、今月7日のハマスの攻撃について大規模な攻撃で防空システムを無力化したほか、ドローンによって監視・通信システムを破壊したなどとした上で、北朝鮮が訓練や戦術面で支援している可能性があると分析しています。

そして、北朝鮮が、今回のハマスのような奇襲攻撃の戦術を韓国にも仕掛けてくる可能性があるとして、引き続き分析を進めながら対応策の策定に力を入れるとしています。

イスラエル軍 “ハマスの人質問題の責任者を殺害”

イスラエル軍は17日、ハマスの幹部の1人を殺害したと発表しました。

発表ではこの幹部について「ハマスの人質問題の責任者であり、イスラエルに対するテロを指示した」としています。

ロイター通信など複数のメディアは、この幹部が人質の交渉を担当する重要な人物だったと伝えています。

ホワイトハウス “バイデン大統領 18日にイスラエル訪問”

ホワイトハウスは16日、バイデン大統領が18日にイスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談すると発表しました。

これについて中東歴訪中のブリンケン国務長官は17日、記者会見で「イスラエルやこの地域、また世界にとって非常に重要な時を迎える中での訪問となる」と強調しました。

そのうえで、訪問のねらいはイスラエルへの連帯を改めて示すとともに、イランなどを念頭に、イスラエルと敵対する国や勢力が混乱に乗じて介入しないよう、けん制することだとしています。

そしてイスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性が高まるなか、いかに住民の被害を最小限に抑えるかなどについて協議するとしています。

米中央軍司令官 テルアビブに到着

イスラエルを含む中東地域を担当するアメリカ中央軍は、クリラ司令官がイスラエル軍の幹部と会談するため、テルアビブに到着したと発表しました。

イスラエルを防衛する上で必要な物資などを把握するとともに、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの衝突が地域に拡大するのを防ぐためのアメリカの取り組みについて説明するとしています。

国連安保理 ロシア提出の即時停戦など求める決議案 否決

イスラエルとハマスの衝突をめぐっては、ロシアが国連安全保障理事会に、即時停戦や人質の解放、人道支援物資の搬入などを求める一方、ハマスには言及せずに一般市民への暴力やテロ行為を非難する決議案を、提出していました。

決議案の採決は16日夜、日本時間の17日朝行われ
▽ロシア、中国、UAE=アラブ首長国連邦など5か国が賛成しましたが
▽アメリカ、イギリス、フランス、日本の4か国が反対
▽残る6か国が棄権し、採択に必要な賛成を得られず否決されました。

採決のあとロシアのネベンジャ国連大使は「世界は安保理が血で血を洗う事態に終止符を打つことを期待していたが、西側諸国がそれを裏切った」と述べ、決議案に反対した欧米などを非難しました。

これに対してアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「ハマスによるテロはホロコースト以来最悪のユダヤ人虐殺だった。ハマスは無実の人たちを人質にとり、その残虐行為はガザ地区の人たちの人道危機にもつながっている。ハマスを非難しないことはテロリストを擁護することになり、言語道断だ」と述べ、ロシアを非難しました。

安保理では議長国のブラジルがハマスを非難する内容の決議案も提出していて、17日夜に採決が行われる見通しになっています。

米 有力紙 “派遣に備え約2000人の兵士を選抜”

イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、複数のアメリカ国防総省の高官の話として、アメリカ軍がイスラエルを支援するため、およそ2000人の兵士を派遣に備えて選抜したと報じました。

戦闘には従事せず、医療支援などを行うとしていますが、どのような状況で、どこに展開するのかは、明らかになっていないということです。

また、CNNテレビは、国防総省の高官の話として、2000人の兵士は海兵隊などの所属で、イスラエルに敵対するイランとレバノンのイスラム教シーア派組織、ヒズボラの動きを抑えるためだと伝えています。

一方、国防総省のシン副報道官は16日、記者団に対し「現時点で、提供できる情報はない」と述べるにとどめました。

バイデン大統領は15日に放送されたCBSテレビのニュース番組の中で、アメリカ軍が戦闘に参加する可能性について質問され「その必要はない」と述べています。

アメリカとしては、イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、イランなどへのけん制を強めるとともに、イスラエルへの軍事支援を強く打ち出すねらいがあるとみられます。

双方の死者 4200人超に

イスラエル軍とハマスの衝突は16日も続き、ガザ地区ではこれまでに2808人が死亡した一方、イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡し、双方の死者は4200人を超えています。

イスラエル首相上級顧問「テロ不問にすることはできない」

イスラエル軍による激しい空爆が続く中、イスラエルのネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏が、16日、NHKの取材に応じました。

レゲブ氏は軍事作戦については明らかにできないとして、今後の展開への言及は避けつつも「われわれの目標は、ハマスを解体し、ハマスによるガザ地区の支配を終わらせることだ」と述べました。

その上で、ガザ地区の住民やハマスによって捕らえられている民間人について「退避の通告などあらゆる努力をするが、市民の犠牲が出ない保証はない。市民がいるからといって、ハマスのテロ攻撃を不問にすることはできない」と述べ、市民の犠牲を伴うとしても地上侵攻も含めた大規模な攻撃が必要だという考えを強調しました。

ガザ地区 人道回廊設置の調整に時間かかる

一方、ガザ地区では人道状況が悪化していて、国連は「5日連続で電力がなく、保健、水、衛生などの必要なサービスが崩壊寸前になり、食料不安も悪化している」として、危機を訴えています。

こうした状況を改善しようとガザ地区では、境界を接する隣国のエジプトから支援物資を搬入したり、住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けた動きが進んでいますが関係国の調整には時間がかかっています。

アメリカのブリンケン国務長官は16日、先週に続き再びイスラエルを訪れてネタニヤフ首相やガラント国防相と会談し、改めて人道回廊の設置などについて協議したとみられます。

一連の会談後、ブリンケン長官は「アメリカは常にイスラエルを支持している」と改めて支持を表明しました。

検問所の通行をめぐって隣国エジプトのシュクリ外相は「イスラエル政府は必要な対応をとっていない」として、協力を求める一方、イスラエル政府のレゲブ上級顧問は、自分たちは検問所を管理していないとした上で、「各国と協力して、実現可能な枠組みを探るべく、取り組んでいる。ただ、ハマスがガソリンをロケット弾の発射に利用するおそれもある」として慎重な見方を示しました。

なぜ検問所開放に時間が?

人道危機が続くガザ地区では、境界を接する隣国のエジプトから支援物資を搬入したり、住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けた動きが進んでいますが関係国の調整には時間がかかっています。

アメリカのブリンケン長官は、エジプトなどと協議し、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所が支援物資を運び込むために開放される予定だと明らかにしていますが現時点で搬入は確認されていません。

エジプト政府はラファ検問所から支援物資を搬入する用意はできていてエジプト側の検問所は通常どおり開いているが、検問所のガザ地区側がイスラエル軍による攻撃などで機能していないため、搬入ができないとしています。

また、エジプトのシュクリ外相は、エジプト側は検問所を開けていると強調した上で「イスラエル政府は支援物資をガザ地区に入れるために必要な対応も、外国人の退避に必要な対応も行っていない」として、イスラエル側の協力が必要だとの認識を示しました。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏はNHKとのインタビューでラファ検問所はエジプトとガザ地区の境界にあり自分たちは管理していないと強調しました。

その上で「すべての物資が支援を必要とする人のもとに届くという確信がない。ハマスがガソリンをロケット弾の発射に利用するおそれもある。過去には住宅建設のためのセメントが地下通路に使われ、配水管はロケット弾に転用された」として支援物資が住民に届かず、ハマスに利用されるおそれがあるとの懸念を示しました。

その上で「各国と協力して、実現可能な枠組みを探るべく、取り組んでいる」と述べ、安全を確保した上で物資の搬入をいかに進めるのか各国と調整していることを明らかにしています。

ハマス「人質200人から250人 外国籍は解放」

イスラム組織ハマスの軍事部門、カッサム旅団の報道官は16日、SNSに投稿した動画で、ガザ地区で拘束している人質の数についてイスラエル軍の攻撃が続いているため正確な数は把握できていないとした上で「200人から250人の間だ」と明らかにしました。そして「状況が許せば外国の国籍を持つ人々は解放する」と主張しています。

ハマス 人質だとする女性の映像を公開

イスラム組織ハマスは、今月7日のイスラエルへの大規模な奇襲攻撃の際に連れ去り、ガザ地区内で拘束している人質だとする女性の映像を公開しました。

イスラム組織ハマスの軍事部門のカッサム旅団は16日、SNSで映像を公開しました。およそ1分20秒の映像には、ハマスが今月7日のイスラエル側への大規模な奇襲攻撃の際に連れ去り、ガザ地区内で拘束している人質だとする女性1人が映っています。

この中で女性はカメラに向かってイスラエル中部出身の21歳だとして名前を名乗り、ガザ地区内で拘束されているとヘブライ語で話しています。

女性は「土曜日の夜明けにガザ地区に近いスデロットでのパーティーから戻っていたところで連れ去られました。手に重傷を負い、3時間におよぶ手術や手当をして薬をもらいました。私は大丈夫ですが、早く家に帰りたいです。家族へ、お父さん、お母さん、きょうだいへ、早くここから出してください。ありがとう」と話しています。

女性が話している途中にも背後では爆発音のような大きな音が聞こえます。ハマスが人質だとする映像を公開するのはこれが初めてです。映像がいつ撮影されたのかはわかっていません。

イスラエル軍によりますとガザ地区でハマスにとらわれている人質は確認されているだけで199人にのぼっています。

拘束されている女性の家族が会見「娘を家に帰してほしい」

イスラム組織ハマスに人質として拘束されている女性の家族が、イスラエル国内で会見を開き、即時の解放を訴えました。

この女性の家族が17日、テルアビブ市内で会見を行い、女性の母親は「映像を見て、娘が生きていることを知り、思わず叫び声が出ました。とてもうれしくなりましたが、同時に不安にもなりました」といまの心境を明らかにしました。

家族によりますと女性は、ガザ地区との境界に近い場所で開かれていた音楽イベントに参加していたところ、ハマスによる襲撃を受け、拘束されたとみられるということです。

母親は、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性について聞かれると「いまは娘の無事だけを考えるようにしています。イスラエル政府はすべての手段を尽くし、人質全員を取り戻してくれると信じています。娘は肩をけがしているようで、とても怖がっているように見えました。娘を家に帰してほしい」と述べ、世界各国に対しても人質の解放のために協力してほしいと訴えました。

フランスメディアによりますと、この女性はイスラエル中部出身の21歳で、フランスとイスラエルの二重国籍を持っているということです。

フランスのマクロン大統領は「彼女の無条件の即時解放を求める。フランスは、フランス人の人質すべての解放のために、関係者と協力している」とするコメントを寄せました。

バイデン大統領 予定変更し安全保障チームの会議出席

ホワイトハウスは16日、バイデン大統領が西部コロラド州を訪問する予定を急きょ変更し、ワシントンに残って安全保障チームとの会議に出席したと発表しました。

バイデン大統領は安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官や情報機関を統括するヘインズ国家情報長官、CIA=中央情報局のバーンズ長官から、イスラエル・パレスチナの最新の情勢について説明を受けたということです。

EU 人道支援物資届ける航空便運航へ

ガザ地区での人道危機が深刻化する中、EU=ヨーロッパ連合は、16日、人道支援物資を届けるための航空便を、ガザ地区に隣接するエジプトまで運航すると発表しました。

今週中に、医薬品や衛生用品などUNICEF=国連児童基金の支援物資を運ぶ2便を運航するとしています。

EUで危機管理を担当するレナルチッチ委員は「ガザ地区の人道状況は限界に達しようとしている。ガザ地区に閉じ込められた人たちに燃料や水、食料、医薬品を今すぐに届けなければならない」としたうえで、
▽物資の搬入のため、ガザ地区南部とエジプトの境界にあるラファ検問所をすみやかに開けること
▽支援団体のスタッフがガザ地区内で支障なく活動できるようにすること
などを求めています。

ドイツ ショルツ首相 イスラエル訪問へ 外国の首脳で初

ドイツのショルツ首相は、16日、訪問先のアルバニアで開いた記者会見で、イスラエルを訪問すると明らかにしました。

日程は明らかにしていませんが、ドイツメディアは17日に現地を訪れるとしていてイスラム組織ハマスによるイスラエル側への大規模な奇襲攻撃が起きて以降、イスラエルを訪れる初めての外国の首脳になると伝えています。

ショルツ首相は訪問の目的について、「イスラエルに連帯の精神を表明することは重要なことだ」と述べた上で「ハマスによる攻撃は無責任なテロ行為だ。

イスラエルには自衛のためのあらゆる権利がある」として、改めてイスラエル寄りの姿勢を示しました。

一連の訪問では、過去のイスラエルとハマスの大規模衝突での仲介の実績もあり、今回、ガザ地区への支援物資の搬入が注目されている隣国エジプトも訪れるということです。

ショルツ首相は、今月12日の演説で、ナチスによるユダヤ人の大量虐殺ホロコーストを踏まえイスラエルの生存と安全を支えることがドイツの責務だと強調していました。

フランス 反ユダヤ主義的な行為などで102人拘束

フランスのダルマナン内相は16日、記者会見で、今月7日にイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃が行われて以降、反ユダヤ主義的な行為やテロを礼賛する行為などでフランス、これまでにあわせて102人を拘束したと明らかにしました。この中には外国人27人も含まれているとしています。

地元メディアによりますと、フランスには、ヨーロッパ最大規模のユダヤ人コミュニティーがあり、およそ50万人のユダヤ人が居住しているとされ、イスラエル・パレスチナ情勢を受けて、国内の不安定化につながるのではないかという懸念が強まっていて、政府は、ユダヤ教の礼拝所・シナゴーグの警備を強化するなどの対策を打ち出しています。

イギリス スナク首相 パレスチナに追加支援表明

イギリスのスナク首相は16日、議会での演説で、イスラエルによる軍事作戦を支持する一方、国際人道法に基づき、ガザ地区の民間人に危害が及ばないようできるかぎりの予防措置を求めました。

また「パレスチナの人たちもハマスの被害者だ」と述べ、パレスチナに1000万ポンド、日本円で18億円余りの追加支援を表明するとともに、支援がガザ地区に届くよう境界を接するイスラエルとエジプトの両国に協力を要請しました。

さらに「どんなに困難であっても、地域の安定に向け、イスラエルとパレスチナの二国家共存という長期的展望を復活させる必要がある」と呼びかけました。

スナク首相はこの日、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と電話で会談し、こうした立場を伝えたということです。

首相は、また、ハマスによる今月7日の攻撃以降、30か国以上の国民が死亡、または行方不明となっていて、このうちイギリス人は少なくとも6人が死亡し、10人が行方不明になっていると明らかにしました。

プーチン大統領 中東首脳らと相次ぎ電話会談

ロシア大統領府は16日、プーチン大統領が、イスラエル・パレスチナ情勢をめぐり、中東の首脳らと相次いで電話会談を行ったと発表しました。

プーチン大統領は、
▽イスラエルのネタニヤフ首相
▽パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長
▽イランのライシ大統領
▽シリアのアサド大統領
▽エジプトのシシ大統領
と電話で会談したとしています。

これに先立ち、大統領府のウシャコフ補佐官は「緊張の拡大を阻止するために積極的な措置を講じるべきだ」と述べた上で、プーチン大統領がロシア側のこうした立場を説明するとしていました。

また、ロシア大統領府は、プーチン大統領が首都モスクワ郊外の公邸で国防や治安当局のトップなどと会議を行い、この中では、ウクライナの戦況とともにイスラエル・パレスチナ情勢についても協議したと発表しました。

ロシアとしては、ウクライナ情勢をめぐってアメリカなどとの対立が続く中、欧米側とは一線を画した立場で中東情勢においてみずからの存在感を示したいねらいもあるとみられます。

国連安保理 2つの決議案採決へ

イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突をめぐり、国連安全保障理事会では16日午後、日本時間の17日午前7時から、ロシアが提出した決議案と、10月の議長国のブラジルが提出した決議案の、双方の採決が行われる予定です。

いずれの決議案も
▽ガザ地区での即時停戦
▽すべての人質の解放
▽人道支援物資の搬入
などを求めていますが、
ロシアの決議案がハマスには言及せずに一般市民への攻撃を非難しているのに対し、
ブラジルの決議案はハマスによる攻撃や誘拐を非難していて、各国の対応が注目されます。

ガザ地区北部 小児病院医師「殺したいのであれば殺せ」

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区北部の住民に対し、南部に退避するよう通告する中、ロイター通信は15日、北部にある小児病院の様子を伝えました。

配信された映像には、多くの病床に子どもや赤ちゃんが横たわり、治療を受けている様子が写っています。

医師によりますとこの病院はガザ地区北部で集中治療室がある唯一の小児病院で、多くの子どもたちが人工呼吸器などの医療機器に頼って治療を受けていて、病床や薬を確保することが急務だとしています。

医師は「私たちは病院から避難するよう求められているが、子どもたちをどこへ避難させればいいのでしょうか。子どもたちをこの場所から移動させることは、彼らにとって死刑宣告を意味します」と訴えています。

そして「私たちを殺したいのであれば、ここで働き続けている間に殺してください。ここから去るつもりはありません」と怒りをにじませました。