国際

人道状況悪化 パレスチナ ガザ地区 人道回廊設置への調整は

パレスチナのガザ地区では境界を接するエジプトとの間で人道状況の悪化が続いています。
こうした中、支援物資を搬入したり、住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けた動きが進んでいますが、関係国の調整には時間がかかっています。

目次

イスラエル軍とハマスの衝突は17日も続き、ガザ地区ではこれまでに2808人が死亡した一方、イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡し、双方の死者は4200人を超えています。

人道回廊 関係国の調整には時間かかるか

ガザ地区では人道状況が悪化していて、国連は「5日連続で電力がなく、保健、水、衛生などの必要なサービスが崩壊寸前になり、食料不安も悪化している」として、危機を訴えています。

こうした状況を改善しようとガザ地区では、境界を接する隣国のエジプトから支援物資を搬入したり、住民を避難させたりするための人道回廊の設置に向けた動きが進んでいますが関係国の調整には時間がかかっています。

アメリカのブリンケン国務長官は16日、先週に続き再びイスラエルを訪れてネタニヤフ首相やガラント国防相と会談し、改めて人道回廊の設置などについて協議したとみられます。

一連の会談後、ブリンケン長官は「アメリカは常にイスラエルを支持している」と改めて支持を表明しました。

なぜ 検問所開放に時間が?

さらにアメリカのブリンケン長官は、エジプトなどと協議し、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所が支援物資を運び込むために開放される予定だと明らかにしていますが、現時点で搬入は確認されていません。

エジプト政府はラファ検問所から支援物資を搬入する用意はできていてエジプト側の検問所は通常どおり開いているが、検問所のガザ地区側がイスラエル軍による攻撃などで機能していないため、搬入ができないとしています。

また、エジプトのシュクリ外相は、エジプト側は検問所を開けていると強調した上で「イスラエル政府は支援物資をガザ地区に入れるために必要な対応も、外国人の退避に必要な対応も行っていない」として、イスラエル側の協力が必要だとの認識を示しました。

イスラエル首相上級顧問「検問所 自分たちは管理していない」

一方、イスラエルのネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏はNHKとのインタビューでラファ検問所はエジプトとガザ地区の境界にあり自分たちは管理していないと強調しました。

そして「すべての物資が支援を必要とする人のもとに届くという確信がない。ハマスがガソリンをロケット弾の発射に利用するおそれもある。過去には住宅建設のためのセメントが地下通路に使われ、配水管はロケット弾に転用された」として支援物資が住民に届かず、ハマスに利用されるおそれがあるとの懸念を示しました。

その上で「各国と協力して、実現可能な枠組みを探るべく、取り組んでいる」と述べ、安全を確保した上で物資の搬入をいかに進めるのか各国と調整していることを明らかにしています。

ガザ地区の小児病院 病床には子どもや赤ちゃんが

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区北部の住民に対し、南部に退避するよう通告する中、ロイター通信は15日、北部にある小児病院の様子を伝えました。

配信された映像には、多くの病床に子どもや赤ちゃんが横たわり、治療を受けている様子が写っています。

医師によりますとこの病院はガザ地区北部で集中治療室がある唯一の小児病院で、多くの子どもたちが人工呼吸器などの医療機器に頼って治療を受けていて、病床や薬を確保することが急務だとしています。

医師は「私たちは病院から避難するよう求められているが、子どもたちをどこへ避難させればいいのでしょうか。子どもたちをこの場所から移動させることは、彼らにとって死刑宣告を意味します」と訴えています。

そして「私たちを殺したいのであれば、ここで働き続けている間に殺して下さい。ここから去るつもりはありません」と怒りをにじませました。

ガザ地区南部 手作業で井戸水くみ上げ 電力不足で

イスラエル軍の空爆が続くガザ地区で多くの住民が避難している南部のラファやその周辺では、今回の空爆による電力不足で井戸水をポンプでくみあげることができず、これまで発電機を使ってポンプを動かして飲み水を確保してきました。

しかし、発電機を動かすための燃料も底をつき始めていて、16日夜には住民が協力して手作業で井戸水をくみ上げ、その後、大人や子どもがバケツを使って貯水タンクまで水を運んでいました。

現地にいるNHKのスタッフによりますと、この地区では発電機を動かす燃料があと1日分しかなく、一刻も早い燃料や食料、飲み水などの人道支援を必要としているということです。

ガザ地区の商店の食料 “数日で無くなる可能性” 国連WFP

イスラエルによる空爆と封鎖が続いている、ガザ地区の状況について、国連WFP=世界食糧計画の中東地域の担当者は17日、スイス・ジュネーブでの定例会見にオンラインで参加し「ガザ地区で食料を扱う商店は在庫が無くなりつつある。あと4日か、5日しか持たないのではないか」と述べ、ガザ地区の商店の食料が数日で無くなる可能性があるとしています。

また、複数の国連機関は、ガザ地区への支援物資を40キロほど離れたエジプトの都市・アリーシュを経由して送る計画ですが、エジプトとの境界のラファ検問所が開放されていないとして、検問所の早期開放を求めています。

上川外相 ガザ地区への緊急人道支援を表明

上川外務大臣は、閣議のあとの記者会見で、ガザ地区の一般市民に対する支援として、総額1000万ドル=日本円にしておよそ15億円規模の緊急人道支援を、国際機関を通じて実施すると明らかにしました。

そして「罪のない一般市民やパレスチナ難民に食料、水、医療、保健などの必要な支援が行き届くよう、人道状況改善のための外交努力を続けていく」と述べました。

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