木原防衛相 「自衛隊に報いる」応援演説での発言撤回する考え

木原防衛大臣は、15日の衆議院補欠選挙の応援演説で、自民党候補を支持することが自衛隊などに報いることになるという趣旨の発言をしたことについて、16日、記者団に対し発言を撤回する考えを示しました。

木原防衛大臣は15日、衆議院長崎4区の補欠選挙の応援演説で「自民党候補を応援していただくことが自衛隊ならびにご家族の苦労に報いることになる」と発言し、野党内からは「政治的な中立性が求められる自衛隊の政治利用だ」などの指摘が出ています。

これについて木原大臣は16日、長崎県佐世保市で記者団に対し「自衛官とその家族への敬意と感謝を申し上げたが、必ずしも真意が伝わらなかったとすれば今後は気を付けたい」と述べました。

そのうえで「自衛隊という組織は中立だと思っており、誤解を生むということであれば、その部分は撤回したい」と述べ、発言を撤回する考えを示しました。

岸田首相「引き続き職務に」

岸田総理大臣は16日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「発言については、木原大臣本人が、自衛官とその家族への敬意と感謝を述べたものだとしたうえで誤解を招くのであれば撤回したいと説明していると承知している。引き続き職務にあたってもらいたいと考えている」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、一部の世論調査で支持率が過去最低となったことについて「一喜一憂することなく経済対策の策定に全力で取り組み、先送りできない課題にこれからも一つ一つ取り組んでいきたい」と述べました。

松野官房長官 発言の撤回指示 “事実なし”と否定

松野官房長官は午後の記者会見で「発言はあくまで一議員の政治活動の一環として述べられたもので、政府の立場からコメントすることは差し控える。木原大臣から報告はあったが、やり取りの詳細は差し控える」と述べました。

また、岸田総理大臣や松野官房長官から木原大臣に発言の撤回を指示したかどうかについては「そのような事実はない」と否定しました。

立民 安住国対委員長 “絶対に許されず 首相は更迭を”

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に「防衛大臣が選挙で応援に行き、自衛隊に対して『自民党に投票してくれ』と言わんばかりのことを言うのは絶対に許されず、国会でも厳しく追及せざるをえない。岸田総理大臣は更迭しないとダメだ」と述べました。

維新 遠藤国対委員長 “冷静な判断が必要 丁寧な説明を”

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「もう少し冷静な判断が必要だったのではないか。木原防衛大臣らしくない発言だ。過去には選挙期間中の自衛隊に関連する発言で、防衛大臣が辞任した1つの要因になった前例もあり丁寧な説明を尽くしてほしい」と述べました。

共産 小池書記局長 “罷免すべき 首相の任命責任も問われる”

共産党の小池書記局長は記者会見で「自衛隊の政治利用だと言われてもしかたない発言だ。自衛隊を指揮・監督する現職の防衛大臣が選挙のさなかに、自衛隊の基地がある佐世保市でこうした発言をしたことは許されない。防衛大臣の職にふさわしくなく、罷免すべきだ。臨時国会で岸田総理大臣の任命責任も厳しく問われる」と述べました。

国民 古川国対委員長 “誤解受ける発言は慎む必要ある”

国民民主党の古川国会対策委員長は記者団に対し「自衛隊員に限らず公務員は政治活動を行うことが制限されている。防衛大臣として誤解を受けるような発言は慎む必要がある」と述べました。