自治体で初 “国産”生成AIの導入を決定 相模原市

相模原市は、国内の企業が開発した“国産”の生成AIを導入することを決めました。
ChatGPTのように海外企業の生成AIを自治体が取り入れる動きは、全国で相次いでいますが、“国産”生成AIは、行政の専門用語に対応し情報管理を国内で行うというメリットがあり、市によりますと、国産生成AIの導入は自治体で初めてだということです。

相模原市が導入するのは、NECが開発している生成AIです。

市はことし6月から市の業務の一部にChatGPTを活用する実証実験を行ってきましたが、業務が効率化したという評価の一方、「森林環境税」について尋ねた際に、税金を負担する人や使いみちについて誤った回答が返ってくるなど、行政に関する専門用語には十分に対応できないという声があがったということです。

また、個人情報の漏えいリスクに不安が残るといった指摘も寄せられました。

市が導入する国産生成AIは日本語に特化して開発されていることから、専門用語に対応するようカスタマイズができます。

また、データセンターを国内に設置するため、情報を国内で管理することができるということです。

東京都や神奈川県など、生成AIを業務に導入する自治体は全国で相次いでいますが、相模原市によりますと、国産の生成AIを導入するのは初めてだということです。

市は今週中にNECと協定を結び、使い勝手などを共同で検証しながら、本格導入する方針です。

相模原市DX推進課の佐伯正和課長は「国産の生成AIは日本語に特化した対応ができるということなので、文章の要約や文案づくりに役立てていきたい。新しい技術を活用することで、しっかりと業務効率化を図っていきたい」と話していました。

専門用語の対応には不十分な面も

相模原市ではことし6月から、23人の職員が生成AIのChatGPTを業務の一部に利用する実証実験を行ってきました。

8割の職員が「業務に活用できる」と回答し、「精度は5割以上ある」と答えた職員も9割近くに上りました。

一方で、行政用語など、専門のことばについては十分に対応できないという声もあがりました。

例えば来年徴収が始まる「森林環境税」について尋ねると、「納税者は森林の所有者や管理者で、日本の環境保全政策の一環」と回答がありました。

実際に納税することになるのは住民一人ひとりで、森林整備や木材の利活用、林業の担い手確保といった使いみちについては、説明がありませんでした。

相模原市DX推進課は「ChatGPTは業務の効率化にとって非常に力になるが、専門用語の対応には不十分な面がある。日本語に特化した国産の生成AIを使って業務に役立てていきたい」としています。