IOC 2030年と34年冬の五輪・パラ開催地 同時決定すること可決

IOC=国際オリンピック委員会は15日、インドで開いた総会で、2030年と34年の冬のオリンピック・パラリンピックの開催地を同時に決定することを決めました。11月中にも候補地を絞り込む方針で、34年以降の大会招致に転換したばかりの札幌市への招致は極めて困難になりました。

IOCの総会はインドのムンバイで15日から始まり、3日間にわたって今後予定されるオリンピックの開催地選考のあり方や、各委員会からの提案について審議や採決が行われます。

初日の議題では、大会の開催地選考を担う「将来開催地委員会」から2030年と34年の冬のオリンピック・パラリンピックの開催地を2大会同時に決める案が提案され、IOC委員による投票で賛成多数で可決されました。

「将来開催地委員会」は提案の理由として、温暖化による降雪量の減少などから冬の大会を開催できる候補地の減少が見込まれるなか、早期に候補地を確保し、大会を持続的に開催していくためなどと説明しています。

また、将来的に複数の候補地で持ち回りで大会を開催していく案についても検討を続けるということです。

来月中にもそれぞれの大会の候補地の絞り込みが行われ、来年夏のパリオリンピックにあわせて行われる総会で、開催地が正式決定されるということです。

冬の大会をめぐっては、当初、2030年大会の招致を目指していた札幌市とJOC=日本オリンピック委員会が、おととし夏の東京大会の汚職・談合事件などの影響で市民の理解が十分でないとして、34年以降の大会招致に方針を転換したばかりです。

2034年大会についてはアメリカのソルトレークシティーが地元の支持もあって有力とされ、札幌市への34年大会の招致は極めて困難になりました。

JOC山下会長 “地元の意向聞きながら支援継続”

JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は、IOC総会での決議のあと取材に応じ、「今後については札幌市をはじめ、関係機関と話をする必要があるが、2038年以降の大会にも関心があるということであれば、国内でオリンピック活動を広げていく立場のJOCとして、今後もサポートしていくことは自然な流れだと思う」と述べ、地元の意向を聞きながら支援を続けていく考えを示しました。

そのうえで「今回の一連の動きに、おととし夏の東京大会の事案が影響したことは間違いないが、それ以外に開催コストの問題点なども指摘されていた。招致活動を今後も進めるのであれば、開催都市や社会の発展にどのようにつながるかをはっきり示さないと国民の理解を得ることは難しいと思う」と述べました。

アジア・オリンピック評議会に会長選挙やり直し勧告

15日の総会では、アジア・オリンピック評議会がことし7月に行った会長選挙について多数の違反が確認されたとして、IOCが選挙のやり直しを勧告したことが報告されました。

アジア・オリンピック評議会は、アジア大会を主催するなどしていて、IOCの調査では、元会長のシェイク・アハマド氏が選挙に当選した弟のシェイク・タラル氏に有利に働くよう、自国のクウェート政府とともに選挙に介入したとしています。

このためIOCは、選挙のやり直しと、選挙に関する規約の改正を求めたということです。

バッハ会長の任期 複数のIOC委員から“延長すべき”の声も

また15日の総会では、複数のIOC委員からバッハ会長の任期を延長すべきだとする声も上がりました。

バッハ会長は2013年に初めて会長に当選し2期目にあたる現職の任期は2025年までとなっています。

IOCが定めるオリンピック憲章では、会長の任期は1期目8年、2期目4年の最長12年と定められていて、バッハ会長の任期を延長するためには憲章の改訂が必要となります。

総会では、アルジェリアやドミニカ共和国などの委員がバッハ会長の功績をたたえ任期延長を訴えたのに対し、国際体操連盟の会長を務める渡辺守成会長は「スポーツの組織は決められたルールを守らないといけない」などと反対する意見を述べました。

バッハ会長は「とてもありがたい」などと話した一方で、提案に対する賛否には言及しませんでした。