2034年 冬季五輪招致“事実上 困難”札幌市長 2大会同時決定で

冬のオリンピック・パラリンピックについて、IOC=国際オリンピック委員会が2030年と34年の開催地を同時に決定する方針を示したことを受けて、札幌市の秋元市長は候補地が絞り込まれる来月までに住民の意向調査を実施することは難しく、2034年の大会招致は事実上、困難だという認識を示しました。

IOCのバッハ会長は2030年と34年の冬のオリンピック・パラリンピックについて、開催地を同時に決める提案を15日からインドのムンバイで始まる総会で審議することを明らかにしました。

総会で承認されれば、来月中にも候補地を絞り、来年のパリ大会で開かれる総会での決定を目指すということです。

当初、2030年大会の招致を目指していた札幌市は、おととし夏の東京大会をめぐる汚職・談合などの影響で、今月11日に2034年以降の大会招致に方針転換したばかりでした。

札幌市の秋元市長は14日、記者団に対し「同時決定の可能性は少ないと聞いていたので、少し驚いている。ここまでの言及があるとは思っていなかったというのが正直な感想だ」と述べました。

その上で「候補地の絞り込みが行われる来月のIOCの理事会までに住民の意向を確認し、開催への理解を広げることは難しい」と述べ、2034年の大会招致は事実上、困難だという認識を示しました。

さらに秋元市長は、JOC=日本オリンピック委員会の山下会長などとIOCの総会後に協議し、今後の招致活動の進め方を検討する考えも示しました。

JOC山下会長 “同時決定の可能性認識も今回議論に驚き”

JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は、IOCの理事会が開かれているインドのムンバイで取材に応じ、「2030年と34年大会の開催地を同時に決定するという案は可能性はないわけではないと認識していたが、今回のIOC理事会と総会で議論されるとは思っておらず、驚いた」としたうえで、今後の招致活動などについては、「今月11日の会見でも話したが2034年大会の招致も厳しい状況という認識に変わりはない。総会で正式に2大会同時決定が承認されたあとにコメントしたい」と述べました。