ハマス攻撃を衛星画像で分析 ガザ地区囲う壁に複数の破壊跡か

イスラム組織ハマスとイスラエル軍の衝突は、14日で1週間となりました。ハマス側からロケット弾による攻撃が始まった当初、ガザ地区から戦闘員がイスラエル側に侵入しましたが、人工衛星が撮影した画像でも地区を囲っている壁の一部に、少なくとも3か所、破壊されたような跡が確認できました。専門家は、今回のこうした攻撃について、「前代未聞の規模と計画性だ」と改めて指摘しています。

今月7日、ハマス側からの奇襲攻撃で始まった衝突では、数千発のロケット弾による攻撃が行われるとともにガザ地区を囲う壁やフェンスを超えて多くの戦闘員がイスラエル側に侵入しました。

NASA=アメリカ航空宇宙局の人工衛星が観測した地上の熱源のデータで、ガザ地区周辺で多くの熱源が観測されていることがわかり、衛星画像と重ね合わせると、灰色の煙が出ている場所が複数、確認できます。

また、イギリスの公共放送BBCは戦闘員たちが地区の北部にあるエレズ検問所を含む7か所を突破して侵入したとしていて、人工衛星が8日、この検問所付近を撮影した画像を分析したところ、壁に少なくとも3か所で破壊されたようなあとが確認できました。

パレスチナ情勢に詳しい東京大学の鈴木啓之特任准教授は「攻撃初日の段階で、イスラエルの防空システムは、ロケット弾の対処に忙殺された一方、地上では大量の戦闘員の侵入が実行された。空や海からも越境が実施されていて、多数のロケット弾が放たれる中で越境するという前代未聞の規模と計画性、連携だった」と指摘しています。