G20財務相・中央銀行総裁会議閉幕 共同声明採択も協調に課題

北アフリカのモロッコで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議が日本時間の13日夜、閉幕しました。ウクライナ侵攻をめぐる各国の対立で6回続けて見送られていた共同声明が採択されました。

モロッコのマラケシュで2日間にわたって行われたG20では、ウクライナ情勢をめぐる対立から前回まで6回続けて見送られてきた共同声明が採択されました。

ただ、そのウクライナ情勢については、「すべての国は領土取得のための武力による威嚇や行使を慎まなければならない」とロシアを名指しせず先月のG20サミットの首脳宣言を踏襲する形で合意にこぎつけました。

世界経済についても「最近のショックに対し強じん性を示してきた」としつつも「リスクは残っている」として協調して取り組む姿勢を共有しましたが、声明ではイスラエル・パレスチナ情勢に関する言及はなく、G20としてどう対応できるかはこれからです。

また、今回のG20では途上国や新興国の抱える債務問題も焦点でしたが、立場の異なる国々の一致を得るのが容易ではないことが改めて示されました。

G20の会議に先立って、日本は事実上のデフォルトに陥ったスリランカを支援するため、主な債権国による協議を行いましたが、目標だった大筋合意には至らず、声明では「可能な限り迅速な合意を求める」と進展を促されました。

G20はこのところ足並みの乱れが目立ち、存在意義を問う声も少なくありません。

イスラエル・パレスチナ情勢の緊迫化という新たなリスクがくすぶる中、世界経済の回復に向けてG20がどう一致して取り組んでいくのか。

改めて課題が突きつけられています。

鈴木財務相「債務問題 引き続き積極的に議論に参加」

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、鈴木財務大臣は現地で記者会見に臨みました。

この中で鈴木大臣は主要な議題の一つとなった途上国や新興国の債務問題について、「債務問題に対しては日本も積極的に取り組み、議論をリードしてきた。先送りのできない課題であり、引き続き積極的に議論に参加していきたい」と述べ、解決に向けて主導的に取り組む姿勢を示しました。

また、緊迫化しているイスラエル・パレスチナ情勢については会議の中で、「深刻な憂慮を表明した」と述べました。

さらに、円安が続いている外国為替市場の状況について、鈴木大臣は「為替相場の過度な変動は望ましくなく、場合によっては適切な対応をとると説明した」と述べ、G20の場で日本の認識を説明したことを明らかにしました。