上川外相 パレスチナ外相と電話会談 早期沈静化で一致

上川外務大臣は、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相と電話で会談し、緊迫する現地の状況を深刻な懸念を持って注視していると伝えたうえで、地域の安定のため、事態の早期沈静化に向けて取り組んでいくことで一致しました。

上川外務大臣は今夜、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相と電話で会談しました。

イスラエル軍が近く地上侵攻を含む大規模な軍事作戦を実行に移すものとみられる中、上川大臣は「状況を深刻な懸念を持って注視している」と伝えました。

その上で「ハマスなどパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃を断固として非難する。事態の早期沈静化に向けて関係者への働きかけをお願いする」と述べました。

また、現地にいる日本人の安全確保に協力を求めました。

これに対し、マリキ外相は、パレスチナ暫定自治政府の立場やガザ地区の状況を説明し、両外相は、生活に必要な物資を届けたり、市民を避難させたりするための人道アクセスの改善が必要だという認識を共有しました。

そして、地域の安定のため、事態の早期沈静化に向けて取り組んでいくことで一致しました。

会談のあと、上川大臣は記者団に対し「人道的に大変厳しい状況にあることについて、大変憂えていると伝えた。関係国や国際社会と連携しながら取り組みを進めていきたい」と述べました。

日本政府の対応は

日本は、原油の9割以上を中東からの輸入に依存していて、中東地域の安定が重要だとしてイスラエルとアラブ諸国の双方と関係構築に努めてきました。

日本は、ことしG7議長国ですが、アメリカ、イギリスなど欧米5か国が発表したイスラエルを支持する共同声明には加わっていません。

岸田総理大臣は攻撃開始翌日の今月8日、旧ツイッターの「X」にハマスなどによる攻撃を「強く非難する」と投稿しましたが、「テロ」という表現は使いませんでした。

その後、11日になって日本政府は、初めて「テロ攻撃」という表現を使って強く非難しました。

外務省関係者は「音楽祭で無差別攻撃をするなど残虐な行為が明らかになってきたため、テロ攻撃と呼ぶことにした」と説明しています。

また、8日の時点で、岸田総理大臣は「X」に「全ての当事者に最大限の自制を求める」と投稿しましたが、その後、松野官房長官は記者会見で「双方への働きかけを強化し、事態の沈静化に向けて尽力していく」という表現を使っています。

上川外務大臣はイスラエルとパレスチナのほか、ヨルダン、UAE=アラブ首長国連邦、エジプト、カタールの外相らと相次いで電話会談していて、今後、イスラエル軍が地上侵攻に踏み切るかどうかや国際社会の動向などを見極めながら事態沈静化への働きかけを続けることにしています。