映画の助成金取り消しで製作会社が訴えた裁判 最高裁で弁論

刑事事件で有罪が確定した俳優が出演している映画について、国の外郭団体が助成金を取り消したのは不当だとして、製作会社が訴えた裁判の弁論が最高裁判所で開かれました。来月に言い渡される判決では、助成金の取り消しは妥当だとした2審の判断が見直される可能性があります。

人気漫画を原作にした映画「宮本から君へ」の製作会社は4年前、コカインを使用した罪で有罪が確定した俳優が出演していることを理由に、文部科学省の外郭団体、日本芸術文化振興会から助成金1000万円の交付を取り消され、不当だとして裁判を起こしました。

1審の東京地方裁判所は交付を認めましたが、2審の東京高等裁判所は逆に製作会社側の訴えを退け、会社側が上告しました。

13日、最高裁判所第2小法廷で弁論が開かれ、製作会社側は、「助成金の交付が撤回されたことは表現の自由の実質的な侵害だ」などと主張しました。

一方、日本芸術文化振興会側は、「薬物乱用の防止という観点から交付しない決定をしたことが著しく妥当性を欠いているとはいえない」と反論しました。

判決は来月17日に言い渡される予定で、判決を変更する際に必要な弁論を開いたことから、交付を認めなかった2審の判断が見直される可能性があります。

製作会社側の伊藤真弁護士は弁論のあとに会見を開き、「最高裁判所が文化芸術に対する助成に関して明確な基準を示すのは初めてであり、重要な判断になるだろう」と話していました。