【解説動画】中東情勢で偽動画拡散「発信源はロシア」の疑惑も

イスラエルとパレスチナの衝突をめぐって、SNSなどでさまざまな偽動画が拡散されています。その発信源の一つとして、ロシアの存在が指摘されています。

【動画:2分41秒】

※データ放送ではご覧になれません。

BBCのロゴが入った動画 「偽動画」と警告

「欧米がウクライナに供与した武器がイスラム組織ハマスに流出していた」

国際的な調査報道グループの「ベリングキャット」が偽動画だと警告したこの動画。

イギリスの公共放送、BBCのロゴが入っていて、BBCが制作したように見えますが、偽動画だと注意を呼びかけています。

制作者は不明ですが、同じような主張はここ数日、ロシア政府の関係者から相次いでいます。

ロシア側の発言 偽動画とほぼ同じ主張を

ロシアのメドベージェフ前大統領は、SNSに「ウクライナのナチス政権に供与された武器は現在、イスラエルに対して使用されている。事態は悪化するばかりだ。ミサイルや戦車、そしてすぐに飛行機も闇市場で売られるだろう」と書き込みました。

さらに、ロシア外務省の報道官も10日の記者会見で。

ロシア外務省 ザハロワ報道官
「アメリカやイギリスなどNATOがウクライナに供与した兵器は、現場の兵士に渡されなかった。闇市場で売られたので世界のどこにでも現れる」

ウクライナ政府は反論「ロシアがハマスに兵器供与のケースも」

これに対して、ウクライナ政府は反論しています。

ロシアがパレスチナ情勢を利用して大規模な偽情報の発信に乗り出したと批判し、「フェイクだ」とSNSなどで注意を呼びかけています。

ウクライナの国防省も声明を発表し、「ロシアの特別機関が中東でウクライナの信用を失墜させるキャンペーンを進めている」と警告しました。

ロシアがウクライナでの戦闘で奪った欧米の兵器を、ロシアがハマスに引き渡しているケースがあると主張しているのです。

さらにウクライナ軍は、現場の兵士のビデオメッセージも発信し、イスラエルを全面的に支持する姿勢をアピールしています。

ウクライナ軍兵士
「イスラエルに対する今回の攻撃は文明世界に対する犯罪だ。人道に対する罪を止めるため、国際社会は結束すべきだ」

パレスチナ情勢がどのようにウクライナ情勢に影響を及ぼすのか、現時点では不透明ですが、情報・サイバー空間ではすでに戦いが激しくなっているようです。

(10月11日の「国際報道2023」で放送しました)